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9話

Author: 東雲桃矢
last update publish date: 2026-06-01 13:15:40

「なんだか、雲行きが怪しいなぁ……」

 ノエルは自室から空を見上げながらぽつりと呟く。だが、空は雲ひとつない晴天だ。今度は目線を下に下げ、庭を見る。フォルターが馬車に乗り、またどこかへ出かけようとしていた。

 例の社交パーティーに参加して以来、フォルターは外出の頻度が一気に上がった。何かに取り憑かれたように招待されたパーティーや食事会に参加をしては戻り、教えてもらった金のかかる娯楽に手を出す。

 噴水がある庭がいいと聞けば噴水を作り、客用の別館があるといいと聞くと、別館を作る。フォルター自身も貴族達を招待し、晩餐会などを開いたりしていた。ノエルも参加し、彼らに愛想を振りまいたりしたことがある。

 フォルターの散財は奴隷のノエルから見ても凄まじいもので、どこにそんな金があるのか不思議だった。

「まぁ、僕としては今のほうが気楽でいいからいいけど」

 目先の流行りに夢中になっているフォルターは多忙を極め、ノエルを調教する時間が激減した。以前はほとんど毎日、何時間もハードな調教をしていたが、今では週に2、3回セックスをする程度に収まっていた。おかげで体の負担が一気に減り、気分もいい。

 物思
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     いよいよフォルターの番になり、布を被せたまま会場に運ばれる。視覚と体の自由が奪われているため、聴覚が頼りだ。「お待たせいたしました。本日の目玉商品はこの男! フォルター・アーロゲントです!」 司会の言葉と共に、布が取られる。会場からはどよめきの声が聞こえた。「あのアーロゲントが……」「しばらく見ないと思ってたら、まさか奴隷になってたとはな」「はは、面白い。買って見世物にしよう」 目隠しをしていても、照明の温度と視線が肌を突き刺す感覚が分かってしまう。大勢の人に見られると意識すると、自然と勃起していく。「見ろ、こんな状況なのに勃起してるぞ」「堅物そうな顔して、とんでもないド変態だな」(あぁ、もっと見て……♡) 久しぶりに裸で人前に出る快感を感じ、興奮してくる。目隠しがなければ、どんな人間が見てくれているのか分かるのに、目隠しは少し首を振った程度では落ちそうにない。「こちらの商品は8億からです。お手元の札を上げて落札してください。それでは、開始!」 札を上げる微かな音と、司会が値段を確認する声のみが会場に響く。フォルターの値段はあっという間に10億を越え、本日の最高額も越えた。「12億、12億2千万、12億6千万……!」 上がっていく金額を、ドキドキしながら聞く。「15億! 他にはいらっしゃいませんね? フォルター・アーロゲント、15億で落札です!」 木槌を叩く音が響くと、フォルターは移動させられた。目隠しを取られると、倉庫のような場所だ。真っ先に視界に入ったのは、透明の大きな箱を乗せた馬車。箱の中には拘束具がついている。「高額で買ってもらえてよかったな」 顔を上げると、ジャンが微笑んでいた。「ジャン様……! 俺は、どんな人に買われたんですか?」「それは会ってからのお楽しみってやつだ。お前の購入者のご希望で、お前をあの箱に入れて連れて行くことになった」 ジャンが指差すのは、あの透明の箱だ。あれでは人々に見られてしまう。「悪趣味な……!」「そう言うな。お前のご主人様の希望だ。それと、これもな」 頭に何か着けられたが鏡が無いため見えない。「何を着けたんです?」「よく似合ってるぞ」 ジャンは答えることなく、拘束具を外してフォルターを抱え、箱に向かって歩く。箱の1面は観音開きするようになっており、そこからフォルターを入れ

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