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17.刺激的な彼女

last update Huling Na-update: 2025-05-26 17:59:00
「坂本さん、結構飲んだねー。俺もここまで結婚に興味がないっていう女性は初めてだよ。結婚願望がないって言うと女性に泣かれたり、愛想を尽かされたりでね。そのくせ親は結婚はまだかってうるさくて……だから全部とまではいかないけど分かる部分もあるよ。」

「やっぱり高柳さんと私は合うんですって。高柳さん私と付き合いましょうよー」

佳奈に惹かれていて今日の質問の返事次第では告白も考えていたが、佳奈に先を越され付き合おうと言われた。しかし、よく飲んでいる佳奈はどこまで本気で言っているか分からない。

「ありがとう。坂本さん結構飲んでいるでしょ?もし酔いがさめてそれでも付き合いたいと思ってくれているなら付き合おうか。今日は帰ろう。」

そう言って席を立つと佳奈はスーツの裾を掴んできた。

「私、高柳さんと手を繋ぎたいです。今、すっごく繋ぎたいです。」

潤んだ瞳で上目遣いをして明るい声で陽気に言ってくる佳奈。手の負えないくらいに本格的に酔っぱらってしまったのかと思ったが、足取りはふらついておらず、呂律もしっかりしている。スタスタと歩きながらも甘える彼女にドギマギしていた。

会計を終えて店を出た後もまだ手を繋いでいる。エレベーターに乗ってからは肩にもたれかかってきてより密着していた。他の男の前でもこんな風になるのか、もしそうならホテルに連れていかれたり危ないことにならないかと心配になった。

俺は他の男と一緒にならないと決めて、そのままタクシー乗り場まで彼女を送り届けることにした。

「坂本さん、家はどこ?タクシー乗り場まで送るからそこからは一人で帰れる?」

そう言うと彼女は急に抱き着いてきて熱烈なキスをしてきた。舌を絡めるとバーで飲んだジントニックの爽やかなライムの香りと味が広がる。

「高柳さん、私、酔っていません。一人で帰れます。もし明日も覚えていたら付き合うって約束してくれますか?」

顔を少しだけ話し耳元で囁くように言ってきた。

「分かったよ、約束する」

「良かった。約束ですよ?明日連絡します。おやすみなさい」

「あ、ああ。」

そう言ってスッと身体を離し、カツカツとヒールの音をたてて佳奈はタクシー乗り場へと歩いて行った。その足取りは軽く酔っぱらっている様子もない。

手を繋ぎたいと甘えてきたと思ったら、熱烈なキスで付き合いたいと誘惑し、自分の言いたいことを伝えたらさっさとその場を後にする佳奈に
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