Share

5.部屋の掃除

Penulis: サイ
last update Tanggal publikasi: 2026-08-17 17:57:09

 パウラが持ってきてくれた朝食は、固くて黒いパンと具のないスープだけ。

 質素だけど弱った胃腸にはちょうどいい。

「いただきます」

 部屋にはパウラも出て行って誰もいないから、手を合わせて、気楽に食事にすることができた。

 スープにパンを浸しながらゆっくりと食べ進める。

 ダイニングに行けば、アディノスと同じく王族に出される朝食が出てくる。アディノスは嫌そうな顔をしたが、かといって粗末な食事を横に並べるわけにもいかないし、何よりドローネの遺言がある。

 しかし、部屋で食べる時は人目が減るから一気にレベルが下がって……多分これは使用人の残り物だな。

 まあ、食べられるなら何でもいい。

 モグモグと口を動かしながら周りを見渡した。

 あまり味はないので、ごくごくとスープで流し込んで、私は立ち上がった。

 本当に薄汚れた部屋だ。それほど広い部屋ではない。

 物も全然ないから掃除も楽そうなのに、一切されている様子がない。

「よし。まずは、掃除ね」

 呼び鈴でパウラに来てもらって食器を返して、雑巾とバケツの水をお願いした。

 パウラは怪訝そうな顔を隠しもしなかった。

「はあ……雑巾?」

 声音も表情もひどいものだったが、それでも言う事を聞いて持ってきてくれた。

 よくよく観察すると、態度がそっけないのは性格なんじゃないかな。言葉に棘を感じてたけど、そこに悪意はなさそうで、私の事は別に嫌っていないようだ。

 ただ、感情の幅が狭くて、淡々とした人なんだろう。

 お礼を言ってから、私は袖をめくった。

 さあ、大掃除だ。

***

 の家は田舎にある大きなお寺だった。

 父はそこの住職で、子供は私一人。

 古くから続くお寺だから檀家さんの高齢化はすさまじかったけど、その数は結構たくさん抱えていたから寺を畳むこともできなくて。

 子供の時から父の読経を聞きながら育ったし、寺は継ぐつもりで一応仏教系の大学に進学した。

 進学したものの——頭を坊主にする踏ん切りがつかなかった。いや、宗派としては何も剃る必要はないのだけど、何しろ田舎だから、檀家さんたちの手前一度は剃った方がいいんじゃないかと言われて。

 大学卒業間近22の夏。ひたすら迷って迷って、いよいよ、もう逃げだすか? なんて考えながら眠りについて——その後の記憶がない。

 寝て起きたらこの世界だった。

 死んでないなら、輪廻転生とはまた別の現象なんだろうか。

 ——とはいえ、考えてもしょうがない。

 とにかく今は、この住処を人の住める場所にするのが先だ。——人じゃないかもだけど。

 私は雑巾を硬く絞った。

 雑巾がけって、やっぱり、いい。この磨かれていく感じがいい。

 色々迷った時は掃除が一番だ。それも、雑巾がけ。

 混乱してた気持ちも、胸の空虚なもやもやも次第にすっきりとして来る。

「掃除は心の垢を落とすわあ~」

 やってるうちに楽しくすらなってくる。

 雑巾はすぐに汚れて水場と何往復もしたけど、どんどん綺麗になっていく部屋と、体を使うすがすがしさがたまらない。

 特に床の雑巾がけにはちょっと自信がある。——いや、この身体は貧弱だからかなり苦労したけど。でもこういうのって、コツがあるから。

 だてに実家の寺の長い廊下を何往復もしてない。

 そうして部屋の中を全て拭き終わる頃には、昼過ぎになっていた。

 まだ愛されていた、幼い頃に与えられた部屋だから磨けばそれなりに綺麗になる。

 ただ、全てが4歳くらいの子供用だから、小さめではあるのだけど。

 足の出そうなベッド、所どころ破れたカーテン。

 でも磨き上げられた木の床と石の壁は光ってるようにも思う。

 すっきりしたらお腹が空いてきた。

 再び呼び鈴を鳴らすと、パウラはすぐにやって来た。

 そっと顔だけ入れて部屋を覗いてくる。——その態度はとても王城のメイドとは思えないな。

「どうしたの」

「なんか……ナノリア様が変だって。みんながびっくりしてますよ」

「え?」

「羽を出して歩いてるし、しかも雑巾持ってるって」

「掃除しただけよ。綺麗になったでしょう?」

 今度は何を企んでいるのか——と続きそうだ。

 その不審な顔を変えたくて、私はさっさと扉を全開にしてを中を見せた。

「うわ……」

 パウラから驚いたような歓声が聞かれる。こうやって素直に驚いてくれるのはちょっと嬉しい。

「綺麗になったでしょ」

「はい。え? ナノリア様がしたんですか」

「そうよ」

「一人で? これは……すごい」

「へへん」

「その調子で、クローゼットルームに行きませんか。私の午後の担当箇所なんですよね」

「……………」

 この子、やっぱりちょっと変わっているかもしれない。そう思って黙ったら、はたと目が合う。

 冗談だったのかな。

「すっきりした顔してますね。イライラを掃除で解消することにしたんですか」

「イライラっていうか……」

 ナノリアは確かに癇癪持ちだった。子供の時から閉じこめられていたら、無理もないのか。

 ストレスが溜まりに溜まると、もうどうにも抑えきれなくなって部屋の中で突然叫び出す。メイドたちに物を投げたり、暴れて部屋に引きこもる。

 朝の癇癪に加えて、今日もまた毒蛾のナノリアが発狂した——なんて陰口をたたかれているのも知っている。

「えっと、その節は、物を投げたりして、ごめんなさい」

 もう一度謝っておく。

 パウラはまた驚いたように眉を上げた。

 今日はとことん驚かせてばかりだ。ナノリアの記憶を探っても、こんな顔は見たことがない。

 別人みたいだなって思われてるのかも。中身は別人だけど。

「いいですよ。当たったことないし、兄弟喧嘩で慣れてるんで。——ああでも、そうですね、事前に言ってもらえると助かります」

「今から暴れますって?」

「はい」

 イライラが極限に達した時にそれは難しいのでは。

「伝えたらどうするの」

「しばらく近づかないんで」

 淡々と言われた。パウラはどうにも掴みどころがない。

 とはいえ、癇癪を起こすことももうないだろう、多分。

 ——それよりも、意外とパウラは私の事を見てくれているのかなと思った。

 そうでなければすっきりした顔をしてるなんて、なかなか出てこないんじゃないかな。

「パウラって……変わってるって、言われない?」

「さあ。私は平民なので、ここの人達とは誰とも話さないんで」

「え、そうだったの?」

 王城の、しかも内城のメイドとなると普通平民ではなれない。

 身元のしっかりしている貴族階級か、それに準ずる子女がなるものだ。

「何か、伝手があったの?」

「いえ。みんな嫌がるから私が雇われたんです。結構給金もいいので満足してます」

「ああ、なるほど……」

 原因不明の病に倒れたのは国王ドローネだけだったで、ナノリアの羽に毒があるのでは、という話はすぐに収まった。

 それでも最大の後ろ盾でもある国王を失ったというのは、何より大きい。

 王家で最も権力を持つのは、王妃だ。その王妃が公の場でナノリアを糾弾した。内城の主であるサフィアに嫌われたナノリアに味方する者は一人もいない。

 触らぬ神に祟りなしだ。

 その上癇癪持ちで、人気者の王子殿下のストーカーだからね。

 ま、評判も最悪だ。

 けれど遺言がある以上世話が必要、というわけで平民から連れてきたのか。

「パウラはいくつなの?」

「22です」

「へえ、私と一緒——」

「え」

「では、ないわね!」

 危ない。妙に親近感を持ってしまった。今の私は15だった。

「ナノリア様」

「ん?」

「なんか……羽、伸びてません?」

 こらこら、指をさすな。

 言われて鏡を見る。確かに、記憶の中の羽はもっとしおれて一部破れた、それこそぼろ雑巾ようになっていた。

「脱皮したのかも。なんかね、痒いから掻いたら、ボロボロと落ちたの」

 パウラは変な顔になった。

 うえぇ、とでも言いそうな失礼な顔だ。

 そうね。羽が脱皮ってちょっとおかしかったかな。

 その時。

 扉がノックされた。

 パウラが用件を聞きに行って、またすぐに帰ってくる。

「ナノリア様、王子殿下がお越しだそうです」

Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi

Bab terbaru

  • 妖精に転生した私は、年上の摂政殿下にめちゃくちゃ甘やかされる   34.惚れこんでいる

     どうやって戻ったか覚えてないけど、気が付けば部屋の中にいた。「——ですって」 パウラが何か言ってるのに生返事を返してた。 ——パチン! 目の前でパウラが掌を合わせて大きな音が鳴る。 はっとしてみれば、パウラは手拭いで手を拭っていた。「あ、すみません。虫が。花について来たみたいで」「あ……ありがとう」 ドライフラワーにする花の準備で、拡げて仕分けしてくれていた。「……そんなにショックでした?」「え」「公爵様の結婚」「や……どうなんだろ。そうかな」 実際、何にショックを受けているのかは自分でもよくわからなかった。 パウラは以前からアディノスよりブレイクを推していたし、実際私がブレイクに惹かれてるのを知ってるんだと思う。もう取り繕う必要もないか。「恋愛の対象外だってのは、分かってたんだよね。……最近特に」「うーん。公爵様もお年ですしねえ」「お年って……まだまだ若いと思うけど」 まあパウラもまだ20くらいだから、彼女からしてもだいぶ年上ではあるけど。「でも、ナノリア様。よく考えてみてくださいよ。何もない所で転ぶわけないのに手を貸したり、毎日たった2分でたどり着くダイニングまで送迎したり。それって普通ですかね」「……………」「子供に対するにしても行きすぎてるって思いますけどねえ」「……………」「気があるかないかで言えば、あると思うんですけどねえ」 私は思わず顔を上げた。 本当に……?「——っや、危ない危ない。パウラの口車に乗るところだった。そんな、簡単に言わないでよ」「口車って

  • 妖精に転生した私は、年上の摂政殿下にめちゃくちゃ甘やかされる   33.過保護なブレイク

     ポールの事は、ちゃんと伝えていなかった私が悪かったと思う。 だから落ち着いてからブレイクには謝罪したんだけど……それは違うと突っぱねられてしまった。 それからというもの。事件のあと、ブレイクは明らかに過保護になった。 いや、前からかなり子供扱いだったけれど、あれ以来さらに輪をかけて——。 朝は支度が終わる頃に毎日部屋まで迎えに来てくれる。 昼は執務の合間に庭での散歩に付き合ってくれて、夜は相変わらずリーフェルの花を届けて、少し長めに話をしてから帰って行く。 ……こんなに私に付き合ってて、大丈夫なのかな。 例えばある日。 花の庭園を眺めていた時、ふと小さなくしゃみが出た。 花粉かな、と思ったら。「ナノリア……風邪か?」 隣を歩くブレイクがさっと手を上げた。 遠くに控える強面の騎士がやってくる。「医師を呼べ」「は」「え」 ブレイクは私に上着を掛けた。——羽を避けるから大きすぎてごわごわする。「ナノリア、すぐに——」「い、いえ、だいじょうぶです! ただのくしゃみですから」「油断したら駄目だ。もし熱が出たらどうする? こういうのは引き始めが肝心なのだから」 結局、この日は部屋に戻って医師まで訪ねてきてしまった。 またある日。 町に遊びに出たとき、私は子供たちに取り囲まれた。 最近は私にも慣れてきて、遠巻きというよりはよく話しかけてくれる。 この日は元気な子供がヒートアップして、私に抱きついてきた。 その瞬間、ブレイクが即座に間に入り、子供をひょい、と持ち上げた。「ナノリアは驚くから、ゆっくりだ」 距離を取らせながら、私の羽をかばうように立つ。 そのさりげない仕草が、嬉しいやらこそばゆいやら。 あとは——そう、書斎で本を読んでいる時。

  • 妖精に転生した私は、年上の摂政殿下にめちゃくちゃ甘やかされる   32.救出

     ポールが私の腕を掴んで強引に引きずった。「来い!」「い、いたっ。やめっ——!」 すごい力だ。 抵抗したくても力の差がありすぎてどうにもならない。 ベッドから引きずり降ろされた。「離して……!」「黙れ……立てよ」「どうするのよ!」「帰るんだよ、殿下の所に」「はあ……?」 冗談じゃない! 私は必死で座り込んだ。「嫌よ。そもそも、無理に決まってるじゃない。すぐにブレイク様が気付いて——!」 いや、こいつも一応貴族の子息だ。それなりに準備をしているのかもしれない。連れてきた王国騎士をすべて動かせば、ちょっとした小競り合いどころか、小規模な戦のような事にはなってしまうんじゃないだろうか。 そう思うと血の気が引いた。 引きずって部屋を出ようとされる。「おい、動けよ。羽に穴を開けられたいか?」 こいつ、私の羽が弱点だって知ってるから……。 羽は……それだけは恐い。 絶望的な気持ちで、重い足を奮い立たせた。 どうしよう。そういえば妙に廊下が静かだ。どんな手を使ったのか、人がいなくなってる。 このまま、こいつに連れ出されてしまうのか……。 そう思ったら、廊下からバタバタと足音がする。「ナノリア!」 ブレイクだ。 その声に泣きそうになった。 瞬間、強く腕を引かれて、窓の方へ引っ張られる。「くそっ、どうして……お前か!」 パウラは緊張した顔のまま言った。「おかしいと思うと伝言しました。まさかご本人がこんなにすぐ来られるとは」「パウラ……」 すごい有能。 足音が部屋まで来て、ブレイクが顔を覗かせた。その顔と目が合って、ほっとし

  • 妖精に転生した私は、年上の摂政殿下にめちゃくちゃ甘やかされる   31.不穏な影

     そうしてまた平和なコーンワルドの生活が続き、季節はすっかり夏を過ぎた。 アウルラディスの言った通り、天幕の綻びに少し改善の兆しが見えた。わずかな変化だったけれど、コーンワルドの皆は歓喜に湧いた。 山頂での事や、私がここに滞在すれば綻びが修復される——という事は伏せていたけれど、妖精がやってきて天幕が再生したから、やっぱり皆私のおかげと思っているようで。以前にも増して大事にしてもらっている。 私のコーンワルド生活もすっかりなじんで、時々町に遊びに行ったり、週末にはブレイクがあちこち連れて行ってくれるようになった。 忙しい摂政殿下なのに、と思ったら、以前から色々準備をして、公爵領に帰ってこれるようにしていたから——って。詳しいことはわからないけど、アディノスが国王になるためにも、自分は早く王城を出た方がいいと思っているようだった。相変わらず執務はしているようだけど、まだしばらくは王城に帰らないと言っていた。 ヨットにも乗りに連れて行ってくれたし、魚釣りも、乗馬も、川遊びも。 ちょっと……いやだいぶ、本当に親子のような立ち位置になってしまっている気はするけど。 ——いいの、幸せだから。今はそれで。*** 夜の屋敷は静かで、秋になって私は部屋の窓を開けて眠るようになった。 庭の木々は風に揺れ、葉が擦れる音が遠くでさざめいている。虫の音も風の音も、それを聞きながら眠るとよく眠れるし、体の調子がよかった。 リーフェルの花は温室で咲いている分だけになるから、毎日1輪ずつ。相変わらずブレイクが届けてくれる。 それを枕元に置いて私は眠りにつくようになった。「自分で取りに行くので、毎日来てもらうのは申し訳ないです」 そう言った私に、ブレイクは言った。「私の楽しみなんだ。この花を摘んでここに来るまでの間、ナノリアが喜ぶ顔を想像して。嫌でないなら続けさせてくれ」 そう言ってすっかり慣れた手つきで枕元に花を足す。「——また少し輝きを増したようだ」

  • 妖精に転生した私は、年上の摂政殿下にめちゃくちゃ甘やかされる   30.恥ずかしい

     ベッドに潜り込んだまま、私はいっそ寝てしまおうと目を閉じたけど。 たっぷり寝た後で、再度眠れるわけもない。 顔から火が出そうで、しばらく動けそうにないけど。朝食の時間は迫って来ていた。 廊下の向こうでセレナらの声もする。「リーフェルの量を……減らした方が……」「でも……ナノリア様が気に入っておられますもの……」「しかし昨夜の様子を見るに……」「体への影響は……」 何やら困ったように相談しながら、準備してくれてるらしい。 昨日の私の醜態を見ていたらしい。 ——見られてたんだ。 そりゃそうか、ブレイクはいつも私の部屋に入る時、ドアを開けているし。私が眠ってしまったのなら、あの後セレナを呼んだんだろう。 あの後……。 布団の中でさらに悶えた。 しばらくすると、控えめなノックがする。「ナノリア様……起きておられますか?」 セレナの声だ。 私は顔だけ出して返事をした。「……はい」 そっとドアが開かれる。「その……お加減は……?」「昨日の事、覚えてらっしゃいますか」 口々に言われて、私はベッドから出た。 心配かけちゃったかな。「ナノリア様」 こそ、と枕元にパウラが来る。 身支度はセレナらに頼むけど、部屋の片づけはパウラが担当してるから基本的には一緒に来る。 普通下級メイドは顔を出さずに裏方に回るものだから、見知った顔がある方がいいだろうっていう配慮だと思う。 見ればパウラはなぜか清々しい顔をして、またぐっと親指を立てていた。「私はいいと思いますよ。あの王子様よりこっちの方が」 パウラ&hel

  • 妖精に転生した私は、年上の摂政殿下にめちゃくちゃ甘やかされる   29.リーフェルの花

     コーンワルドでの生活は自然と共に過ぎて行った。 アウルラディスに言われたから、ブレイクが色々と配慮してくれてるのかもしれない。 もともと、蔦に覆われた古城のようなこのコーンワルドの屋敷は自然にあふれている。 窓を開けるだけで、風が通ってどこか森の香りがする。 朝は鳥の声で目が覚めて、昼は庭の光が部屋に差し込み、夜は遠くの山の影が窓に映る。 アウルラディスの言葉もあったし、私は庭に出て、風を感じたり、花を眺めたりする時間が増えた。庭のあちこちに休憩所が置かれ、庭師の数が増えた気がする。屋敷の中にも緑が増えた。 そして、部屋にはいつも、リーフェルの花が飾られた。 ——いい香り。「ナノリアに良いと聞いたから」 そう言って、ブレイクが毎晩、その日の分のリーフェルの花を摘んで持ってきてくれる。 不思議と私の部屋に飾っている花は持ちが良くて、なかなかしおれないので……部屋はまるで祭壇のように花であふれるようになった。 そろそろ、一旦止めてもらおうかな。でも……。 黄色い花が壁際に、棚に、窓辺に、机に、ベッドの横にまで飾られ、ふわりと甘い香りが満ちている。 光を受けて淡く揺れる花弁は、見ているだけで胸がぽうっと温かくなる。 日が経った花には花のよさがあるし、新しい花には新鮮な香りがあって、どっちも捨てがたい。 コンコン——。 この時間の来訪にもすっかり慣れた。 ブレイクが花を持ってきてくれる時間だ。 私は急いで駆け寄って、ドアを開けた。「……ブレイク様……!」 さっき夕食で会ったばかりだったけど、一日に何度でも、その姿を見るだけで胸がほっこり温かくなる。特に夕食後のブレイクは、いつもより気が緩んでいるのか表情が柔らかくて。着崩したシャツの胸元も、かすかに香るお酒の香りも、近寄り難いくらいの大人の魅力がある。 もっとずっと一緒にいたいって、思ってしまう。「&

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status