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第 113 話

last update Date de publication: 2026-08-31 13:13:49
クラリスは、ジュリアスの変化を静かに見た。

まだ危うい。

けれど、今夜の彼は自分の危うさを知っている。

それだけで、以前とは違う。

晩餐が再開されてしばらくすると、セルゲイ大使がレオンハルトへ話を振った。

「王弟殿下。今回の皿は、どこで用意を?」

「王妃執務院の儀礼補佐官が候補を出し、クラリス顧問が確認し、王弟府で保管しておりました」

「儀礼補佐官」

セルゲイはその言葉を繰り返す。

「新しい役職ですか」

「試験導入です」

クラリスが答えた。

「これまで非公式に行われていた確認業務を、正式な役割として記録するためのものです」

「なるほど」

セルゲイ大使は
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    善意を数字に閉じ込めるためではなく、善意が数字の外で消えないようにするための言葉だった。 顧問室に戻ると、イリスが出迎えた。 「余り布に値段はつきましたか」 「一部だけ」 「一部」 「大判は個別記録。小片は袋単位。修繕用端布枠を試験的に認める方向です」 「では、全部に値札はつかなかったのですね」 「はい」 イリスは満足そうに頷いた。 「よろしいかと。小さな布にまで値札をつけられると、布も落ち着きません」 「布の気持ち?」 「たぶん」 クラリスは少し笑った。 オスカーは報告書を書き始めている。 表題。 余り布記録基準および財務院協議報告 内容は、いつ

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    グレゴールは、しばらく黙っていた。 やがて、低く言う。 「理屈は分かります」 「ありがとうございます」 「ですが、甘いと言われますよ」 「誰にでしょうか」 「財務院内に」 グレゴールは隠さなかった。 「余り布にも価値がある。なのに顧問室は現場裁量を認めた。財産管理を甘くしている。そう言う者は出ます」 「出るでしょうね」 クラリスは答えた。 「対策は?」 「基準を公開します」 「公開」 「はい。どこまで個別記録し、どこから袋単位にするのか。修繕用端布枠の上限。月末報告。異常値の照会条件。すべて文書化します」 「それで批判が止まると?」 「止まりません」

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    クラリスは、彼の表を見て内心で感心した。 仕立て場の話を、すでに財務院の言葉に置き換えている。 これは重要だった。 現場の言葉だけでは、財務院は動かない。 財務院の言葉だけでは、現場が止まる。 両方をつなぐ者が必要だ。 「大判は個別記録に値します」 エリオットは続けた。 「しかし小片まで一枚ずつ評価額をつけると、評価作業、確認、承認、台帳記入の費用が、小片の価値を上回る可能性があります。すべてに値段をつけると、値段をつけるための費用の方が高くなります」 ボルクが低く笑った。 「港でもよくあります。紐一本を追うために、紐十本分の人件費が飛ぶ」 グレゴールは、

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