LOGINまた、確認中。 だが今度は、王弟府側の確認中だった。 「南施療院未着事件との重なりは?」 「一件、時期が近いものがあります」 クラリスは、ゆっくり息を吸った。 「足跡が増えましたね」 「はい」 カレルは淡々と答えた。 「ただし、まだ足跡です」 「分かっています」 その夕方、ミレーヌは自分の小さな作業机で、臨時棚C-3の流れを図にしていた。 NVT-S-007。 低等級布。 通常外套用八梱。 正規保温布の可能性がある一梱。 臨時棚C-3。 王宮指定先急送。 搬出先不明。 線を引くと、途中で急に途切れる。 その途切れた場所に、彼女は小
リーヴェ商会側は、マルティンのみ。 商会主サムエル・リーヴェは来なかった。 代わりに、丁寧な書簡が添えられている。 本件については代理人マルティン・ケイルに説明権限を委任しております。 それもまた、少し引っかかった。 商会主が出てこない。 代理人に任せる。 責任署名と現物確認の問題に似ている。 上は署名する。 実際に説明するのは下。 そして、どこまで下が知っているのかは分からない。 マルティンは、昨日よりさらに顔色が悪かった。 だが、まだ商会代理人としての姿勢は崩していない。 「クラリス顧問。本日は、一次回答の補足ということで」 「はい」
リーヴェ商会からの一次回答は、約束通り翌日に届いた。 約束を守った。 そこだけを見れば、商会は誠実だったと言える。 だが、王宮筆頭実務顧問室の机に広げられた書類を見た瞬間、クラリスは小さく息を吐いた。 「……増えましたね」 オスカーが言った。 「ええ」 「分かったことが、ですか」 「分からないことが、です」 リーヴェ商会の一次回答には、同日搬入・搬出の棚記録が添付されていた。 商会倉庫内の棚番号。 搬入時刻。 搬出時刻。 商会内管理番号。 品目名。 備考欄。 昨日確認した通常外套用毛織物八梱の記録もある。 L-204からL-211。
クラリスが尋ねる。 「三日以内に」 「明日中に一次回答を」 「それは」 「現物不一致は、すでに共同調査の追加照会手順に入っています。施療院用の正規布が見つかるまで、代替手配も判断できません」 サムエルは口を閉じた。 そして、短く答えた。 「……明日中に、一次回答を出します」 確認はそこで終わらなかった。 八梱の中に、ひとつ妙なものがあった。 L-209。 外装は問題ない。 中身も通常外套用。 だが、外装の紐の一部に、結び直した跡があった。 ダンがいれば、すぐに気づいただろう。 今日はボルクが気づいた。 「この結び、商会の通常結びと違いますね」
サムエルは、すぐに口を開いた。 「まだ、他の棚に一時移動した可能性があります」 クラリスは彼を見た。 「積み間違いの相手は、この八梱ではなかったということですか」 「可能性としては」 「では、どの梱ですか」 サムエルは黙った。 マルティンが額に汗を浮かべている。 「確認中です」 その言葉は便利だった。 だが、もう便利な言葉だけでは進めない。 「確認中であることは記録します」 クラリスは言った。 「ただし、リーヴェ商会が昨日回答した“同日通常外套用毛織物との積み間違いの可能性が高い”という説明は、この八梱確認では裏づけられませんでした」 マルティンが慌て
リーヴェ商会は、任意の倉庫確認を受け入れた。 返答は丁寧だった。 だが、その丁寧さは歓迎ではなく、防御に近い。 弊商会としては、積み間違いの可能性を確認するため、同日通常外套用毛織物八梱の現物確認に協力いたします。ただし、確認範囲は当該八梱に限り、商会内部帳簿全体の閲覧はご遠慮願います。 クラリスはその文面を読み、静かに頷いた。 「当然の範囲ですね」 オスカーが言った。 「ええ。商会としては、内部帳簿全体を開くわけにはいかないでしょう」 「ですが、八梱は見せる」 「積み間違いと説明した以上、見せないわけにはいきません」 イリスが茶を置く。 「積み間違いには、相