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第634話

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午後、竹政のオフィス。

秘書が二つの書類を持ってきた。

「局長。プロジェクトの入札についてですが、現在最も競争力のある提携先を二社まで絞り込みました。どちらもプラン、バックグラウンドともに非常に優れており、優劣をつけがたいため、最終的なご決断を仰ぎたいと存じます」

竹政が書類を受け取り、目を通そうとした時、プライベート用の携帯が唐突に振動した。

画面には「父」の文字がはっきりと表示されていた。

政宗はトップクラスの指導者であり、要職に就いている。普段の公務は極めて多忙で、父子間の連絡は決して多くない。

彼から自ら電話をかけてくるということは、必ず何か重要な用件があるということだ。

竹政の瞳が微かに引き締まり、まだ読んでいない書類を秘書に返した。

「先に川澄副局長のところへ持って行き、意見を聞いてこい」

秘書は意図を察し、書類を受け取って足早に退出した。

オフィスのドアが閉まった瞬間、竹政は通話ボタンを押した。

「父さん」

電話の向こうの政宗の声は、いつものように重厚だった。

「今すぐ家に戻れ」

挨拶もなく、理由も告げず、簡潔にそれだけを言うと、電話は切れた。
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