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第604話

Author: 浮島
美紗希は目を真っ赤にして少し睨み返した。

「ただ彼女が賞を取るのを指をくわえて見るしかないっていうの?

おばあちゃんはもう年取っていて、体も弱くて......久米川にあれこれされて、身体の方さらに悪くなったよ。たとえ末期の骨のがんじゃなくても、医者は入院を勧めて、ゆっくり体を治せって言ってたの」

その言葉に、美紗希の瞳には涙が浮かぶ。

「私は久米川と取引したの。お金ももらったし、医者も紹介してもらった。彼女のためにピアノ曲を書く、その見返りとして。公平な取引だった。

たとえその曲が一生『久米川の曲』として残ることになっても構わない。一生彼女に曲を書き続ける覚悟もあった。

なのにあの女......おばあちゃんをあんなに苦しめた。絶対に、絶対に許さない!」

美紗希は頬の涙を払って、目を赤くして震える声で言った。

「そのまま終わらせるなんてできない。どんなに言っても通じないかもしれない。それでも言わなきゃ!」

蒼空が彼女の手首を掴んで制した。

「落ち着いて」

「止めないで!私はもう......!」

美紗希は泣き叫ぶように言った。

蒼空は声を抑えて言う。

「おばあさんの件から手をつけるの」

美紗希はすすり泣きながら聞き返す。

「どういう意味?」

蒼空は静かに言った。

「もし彼女はおばあさんの診療記録に手を加えて、やるべきでない治療をやらせていたなら――それは医療過誤、あるいはそれ以上。なら、法的責任を問うべきよ。こんなことで終わらせていいわけがない」

美紗希は唇を噛んで言う。

「どうすればいいの?」

だが蒼空が答えようとした時、横から声がした。

「関水さん」

美紗希は声に振り返り、涙をぬぐって背を向けた。

蒼空も振り返り、ちょうど美紗希の顔を隠すように立った。

「リオさん、まだいらっしゃってたの?」

リオは手に抱えたベリンダと共に歩み寄り、申し訳なさそうに言う。

「すまない。さっき、あの連中と話をしようとしたが......私が提出した証拠、彼らは確認すらしていなかったようだ。なのに突然『最終審査の結果』発表して......私が抗議しても、相手にされなかった」

蒼空はまぶたを落として、淡々と答える。

「構いません。リオさんのせいじゃないことは分かっていますから」

リオの目に後悔が浮かぶ。

「最初は誤解していて。本当
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Comments (7)
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ゆーい
瑠々は瑛司の事を「条件が1番いいから」って言ってましたね。 瑛司が居なかったら礼都選んでたとも。 ここからどう繋がって行くか楽しみ!
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桜花舞
相馬は瑛司と従兄弟なんだよね なのに、松木のやつって呼んでるのは理由があるのかな? 瑛司と結婚、じゃなくて、松木家に入らないとってことだったのかなぁ 佑人が誰の子なのか、、、 相馬の子でも、敬一郎の息子や孫じゃないとしたら、 敬一郎からも、瑛司母からも掌返しされるよね 早くバレろー ルルが色んなお話のライバル女子の中でも一番嫌いなので、早くザマァ展開きてほしいな
goodnovel comment avatar
桜花舞
あれはなんでしょうね? 瑛司こそ、全ての人から見て高嶺の花でルルは好きそうなのに、違うんですね 昔は四人で仲良く一緒にいたみたいだけど、、、どういう経緯で瑛司とくっついたのかな ルルが蒼空をずっと気にしてた理由もここにあるのかな
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