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第2話

Author: 匿名
景臣が、放っておいた婚約者――私のことを思い出したのは、三日後のことだった。

彼は私が大声で責め立て、下手をすれば手まで出してくるだろうと覚悟していたらしい。

だが私はただ、ちらりと一瞥して口にしただけだった。

「……帰ったのね」

その素っ気なさに、彼は逆に苛立ったようで、眉をひそめる。

「その仏頂面は誰に向けてるんだ?ちょっと待たせただけだろうが。電話であんな絶縁みたいなこと言って、本気で俺と別れるつもりか?誰を脅してるんだ?」

久々に帰ってきたと思えば、最初の言葉がこれ。

私はただ心底疲れていて、淡々と返す。

「ごめんね。最近は疲れすぎて、愛想笑いする余裕もないの」

その一言で、彼の表情はより一層険しくなり、まるで鍋底のように真っ黒に沈んだ。冷笑を浮かべながら、嘲る視線を向けてくる。

「誰に教わったんだ、その棘のある言い方は」

ああ、なるほど。

今日は喧嘩をするつもりで帰ってきたんだ。なら、私が何を言っても気に食わないんだろう。

だったら、黙っていればいい。

けれど私が沈黙すると、彼の声は一気に荒くなる。

「なんだよ、その顔は。そんなに不満か?黙り込んで、誰に抗議してるつもりだ!」

……本当に、どうすれば気が済むの?私がどう振る舞えば、この人は満足するんだろう。

二人の間に重苦しい空気が漂うなか、玄関の扉が開いた。春川志乃が遠慮がちに顔を出し、潤んだ瞳で訴えかけてくる。

「芽衣さん、どうか景臣さんと喧嘩しないで……全部、全部私のせいなの。お腹を壊してなければ、今ごろ二人で指輪を受け取っていたのに……叱るなら私を叱って。全部、私が悪いんだから……」

ぽろぽろと涙を零す彼女の姿に、景臣の眉はすぐさま歪み、心底いたわるような声を私に向けた。

「芽衣、もういいだろ。志乃はこうして直接謝ってるんだ。お前はまだ不満なのか?」

私は思わず笑ってしまった。

彼女ってそんなに特別なの?彼女に謝られたら、私は必ず受け入れなきゃいけないわけ?

くだらない二人のやり取りに、心底うんざりして口を開く。

「はいはい、満足よ。あなたの大事な志乃ちゃんをこんなに泣かせてしまって、全部私が悪いんでしょ。だったらもう、さっさと彼女を抱いて寝てあげなさいよ。どうせこのままじゃ、朝まで泣き止まないんだから」

言い終えるより早く、景臣の手が振り上げられ、私の頬に叩きつけられた。

乾いた音が室内に響き渡り、火がついたような痛みが広がる。

私は呆然と立ち尽くし、声も出なかった。

彼自身も、まさか手を上げるとは思っていなかったのだろう。しかし一度やってしまえば、引くに引けず、言葉を続けるしかなかった。

「芽衣!お前は志乃が親に愛されて育ったことを、妬んでいるんだろう。お前みたいに国内に置き去りにされ、誰にも顧みられず、歪んだ性格になったのとは違うんだ!」

その瞬間、呼吸が止まった。

――昔の記憶がよみがえる。

まだ少年だった景臣が、陽射しの下で笑いながら私を抱きしめ、言った。

「心配するな。お前の両親がいなくても、俺が代わりに守ってやる!俺がいれば誰にも傷つけさせない!」

……景臣。もし、私を傷つけるのがあなた自身だったら、私はどうすればいいの。

私が差し出した弱さは、今や彼の手に握られた刃になって、私の胸に突き立っている。

――深見芽衣、本当に哀れだな。

争う気力も尽き果てた私は、静かに荷物をまとめ始めた。

それを見た景臣が、焦ったように声を上げる。

「どこへ行くつもりだ!」

私は振り向きもせず、短く答えた。

「わからない。でも、どこか行く場所はあるはず」

私の、悔しさに滲みながらも必死に気丈さを保とうとするその姿が、あまりにも痛々しく、彼の心臓を一瞬だけ刺し貫いたのかもしれない。数秒の沈黙の後、景臣は態度を和らげた。

「……さっき手を上げたのは悪かった。だがそれも、お前の挑発に堪えられなかったからだ。志乃はお前みたいに邪なことは考えない。うぶで、まっすぐな子なんだ。そんな彼女をどうしてお前は口汚く否定できるんだ!」

私は皮肉な笑みを浮かべる。

「そうね。志乃はうぶで、あなたもうぶ。汚れているのは私だけ。だったら私がいなくなるのが、一番きれいな解決策じゃない?」

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