LOGIN「確かこの棚にあったはず」俺は書店に着くと、目当ての本が陳列されている棚へ向かった。そんな俺の後ろを涼が静かについてきた。「あった。この本欲しくてさ」「英語?」「そう」「司さん、すごい。俺、全く読めない」「幼少期に父親の転勤で海外に住んでた時期があったから、英語は話せるんだ」「ますますすごい。帰国子女ってことでしょ?」「そうなるな」「俺、司さんのことなんにも知らないんだな」涼が寂しそうに言った。思い返せば、俺たちの関係は身体から始まった。しかも、自分たちの都合のいいような嘘もついてきた。故に、俺は本当の自分を涼に見せてこなかった為、そう思わせてしまうのも仕方ないのかもしれない。「俺は、俺の事を知ろうとしてくれる涼の気持ちが嬉しい。知らないなんてお互い様だろ?」「そうですよね。なんか、寂しくなっちゃって。好きな人の事を何も知らないって」「好きな人か……少し前の俺たちでは考えられない言葉だよな」好きなひとのことを全部知りたい。いつだったか、そんなことを言われたことがあった。その時は、何故だ?と思った。けれど、今ならその人の気持ちが分かる。お互いを知り、自分を知る。 そして、少しづつ相手との距離が縮まっていく。俺たちは、今まさにその最中だ。「少しづつでいい。お互いの事を知っていこう」「そうですね」俺は隣で微笑む涼の横顔を覗き見た。一つ一つの反応が新鮮で、色んな世界を涼に見せたくなる。自分のことを知ってもらえる喜びを俺は初めて知った。俺と涼は、本屋を出たあと少し歩くことにした。「お腹空かないか?」「空きました。そういえば、もうすぐお昼ですね」「この近くに俺がよくランチを食べに行く店があるんだけど行く?」「行きます!行きたいです!!」「ちなみに、寿司って食べられる?」「大好物です」「良かった」「昼からお寿司なんて豪華だなぁ」10分ほど歩いた所に、俺の行きつけの店はあった。「着いたぞ。入ろうか」「はい」俺は少し緊張気味な涼に微笑みかけた。「いらっしゃいませ」いつものように、店員の明るい声が店内に響いた。「ご案内致します」俺と涼は案内されたテーブル席に座った。「混んでますね」「ランチ時はいつもこうだよ。ここの寿司は、どれも美味しいから」「楽しみ」「俺がいつも頼んでるものでいいか?」「はい、ぜひそれが食
俺は毎朝の習慣で6時に目を覚ました。隣には気持ちよさそうに眠る涼が居た。俺は涼の髪をそっと撫でた。「うーん……つかさ、さん?」「起こしたか?まだ寝てていいよ」「うん……すぅ……」涼は俺に抱きつくと、再び、眠りについた。「可愛いな」俺は涼の寝顔を眺めた。これが愛おしいということなのだろうか?俺は涼と出会って色々な感情を知った。今、この瞬間に抱いている感情も俺にとって言葉にできない複雑なものだ。だがこれだけは言える。今朝の目覚めは今までで一番幸せだと。「司さん、おはようございます」目を覚ますと、涼の笑顔が俺の視界に入ってきた。どうやら、あの後、俺は寝てしまったようだ。「おはよう。今、何時だ?」「8時です」「久々によく寝た」俺は伸びをした。涼は着替えを既に済ませていた。「わるい、すぐ支度する」「慌てなくていいですよ。司さんの寝顔ならずっと眺めていたいくらいです」「やめてくれ/」「なんで?」涼が耳元で囁いた。「涼、今のわざとだろ/」「司さんが可愛いから」俺は起き上がった。「あーあ、起きちゃった」「腹減ったんだよ」俺は無理やり話題を逸らした。「俺も空きました」「このホテルの朝食は絶品だから」「ヘぇ」「どうした?」「朝食も食べたことあるんだ」涼がそっぽを向いてしまった。「妬いてるのか?」「言いません」俺は機嫌を損ねた涼の頭を優しく撫でた。「朝食はいつもひとりで食べてる。誰かとここで一緒に食べるのは今日が初めてだよ」「ほんと?」「ほんと」「なら許す」すると、涼は俺を引き寄せ、不意打ちに唇に軽くキスをした。「涼///」「許すからキスしていい?」「してから聞くなよ//」「ごめん」涼は微笑みながら、もう一度、俺の唇に優しくキスをした。「なんだ?」「司さんって、何してても絵になるなと思って」「そんな事ないだろ」「いや、あります」涼は即答した。「完壁な司さんの唯一の弱みを知っている俺は幸せ者ですね」「それは///」「もっと、司さんのことが知りたいです。俺、こんなにも相手の事を知りたいと思ったことは初めてなんです」「俺はそんな涼が羨ましいよ」「どうして?」「素直に思ったことが言えるから」「それは司さんにだけです」「だからそういう所だよ/」「照れてます?」涼は俺の顔を覗き込んだ。
「司さん、明日は仕事休み?」「ああ」「それなら、明日、どこか出掛けませんか?」「うん、いいね」「やった。嬉しい」涼が俺の肩にもたれかかった。甘える涼の髪を俺は優しく撫でた。「司さん、明日はどこに行きましょうか?」「そうだな。映画でも観るか?」「それいい!食事は俺の行きつけの焼肉屋さんでどうです?」「おお、楽しそうだ」明日の予定を涼と話し合う。それだけで楽しい。けれど今夜は涼に触れて欲しい。俺は涼の耳をそっと舐めた。「んっ、司さん。俺、そこ弱いの知ってます?」「知ってる」「ずるい。また触れたくなるじゃないですか」涼は俺をソファーに押し倒した。「俺の事、好きって言ってみて?」「……すき/」俺の身体は一気に熱を帯びた。「司さん……」涼は俺の名前を呼びながら、バスローブの紐を解いた。「司さん、綺麗だ」「あんまり見るな//」涼の手が俺の上半身を優しく這った。「んんっ//」俺は身体をビクンとさせ、口元を手で覆った。「口隠さないで」涼は俺の手をどかして、バスローブの紐で縛った。「いい眺めだ」涼は唇をペロッと舐めた。なんて色っぽいのだろうか?そして、涼は俺の身体を丁寧に舐め回した。今までの乱暴さはそこにはない。 こわれものを扱うように、丁寧に舌を這わせていく。「んぁっ……//あぁっ」もどかしい。もっと触れて欲しいと俺の身体が疼きだす。「焦らすな……/」「今夜は司さんを優しく抱きたいので。それとも激しい方が好きですか?」「それは……//」「ん?」涼は俺の耳元で囁いた。さっきの仕返しか?このドSめ。でも嫌いじゃない。いや、違う。そんな涼が好きなのだ。その時、俺はかつての涼の言葉を思い出した。『俺と愛のあるセックスをしましょう』今夜は全身から涼の優しさを感じる。これが愛というのならば、俺は初めて本当の意味で満たされるのかもしれない。「どうしました?」「ちょっとな」「俺以外のこと考えてたの?」涼の目の色が変わった。「違うよ。涼のことを考えてた」俺が答えると、涼は俺の手首を縛っていた紐を解いた。「少し痕ついたね」「もっと付けてくれてもいいのに」「いいの?」「ああ。涼がくれるものなら」俺は涼の首に手を回した。「涼、好きだよ」俺は涼の首筋に吸い付いて痕をつけた。それは、俺に初めて独占欲が芽生え
「髪乾かさないと風邪ひくぞ?」「司さん、やってくれますか?」「熱かったら教えてくれ」「はい」俺は涼の髪にドライヤーの熱風をあてた。初めて人の髪を乾かすので加減が分からない。「もしかして、人の髪を乾かすの初めてですか?」「ああ。痛いか?」「ううん。気持ちいいです。司さんとこうやって過ごせるなんて夢みたいだ」「俺もだよ。よし、乾いたぞ」俺は仕上げに軽く涼の頭をマッサージした。「俺、寝ちゃいますよ?」「寝ていいぞ」「嫌、寝たくないです。司さんと話します」やっぱり可愛い。今、無性に涼を抱き締めたい。「なら乾杯するか」俺は、グラスにビールを注いだ。「乾杯」夜景を眺めながら隣同士に座って酒を飲む。今の俺達に駆け引きはいらない。「さっき、司さん言ってましたよね?俺と何話せばいいのか分からないって」「ああ」「お互いの好きなものでも話しませんか?」「うん。いいかも」そういえば、俺たちはお互いの好きな食べ物も知らなければ、苗字すら知らない。ここまで何も知らない相手と恋愛しようと思うのだから、恋というものは不思議だ。「早速、俺から質問しますね。司さんの好きな食べ物は?」「焼肉」「まじですか?俺も大好きです」涼が嬉しそうに言った。「それなら、今度、食べに行くか?」「はい!ぜひ」「予約しておくよ」「もしかして、司さんがいつも食べに行ってる焼肉屋さんって高級なところ?」「まぁ、それなりに。個室だけど」「それなら俺が普段食べに行ってる所に行きませんか?」「いいね。行ってみたい」俺は笑顔で言った。「そんなに期待しないでください」「初めてはなんでも興味がある」「その気持ちは分かります」俺は2杯目のビールをグラスに注いだ。「次の質問行きますね」次は何を聞かれるのだろうか?俺は期待を込めた視線を涼に向けた。「うーんと、家でお酒は飲みますか?」 「飲む」俺は即答した。「おお。俺の予想だとウイスキー飲んでそう」「正解。よく飲むよ。あとはワインも好きだな。ビールも好きだけど」「お酒好きなんですね」「そうだな。毎日飲んでる」俺は、涼のグラスが空になっているのに気づき、ビールを注いだ。「ありがとうございます」「ん、次はワインにするか?」「いいですね」俺は追加でワインとチーズをルームサービスで頼んだ。「涼も酒
「んぁっ……あぁぁっ///」「もうこんなに濡れてる」「涼が、触るから//」涼は俺のモノを手で扱いた。いきそうになると、動きを止めては、俺を焦らす。「うぅ……あぁっ//」「ヒクヒクしてますね」涼は、俺のモノの先端を口に含んだ。「あぁぁっ///」舌の感触が気持ちいい。涼は舌と手を上手く使いながら、俺のモノを愛撫した。俺はだらしなく足をひらいて、更なる快楽を求めた。「涼、欲しい//」自分から懇願するなんて恥ずかしすぎる。けれど、それくらい俺は涼を求めている。ここまで来たらなんとでもなれだ。俺は涼を押し倒し、その上に跨った。そして自ら腰を沈めた。「あぁぁぁぁっ///」今まで感じたことのない快感が俺の全身を襲った。俺は無我夢中で腰を振った。「司さん、いい眺め」涼は俺をみながら呟いた。涼の吐息も荒く、目付きも色っぽかった。涼も感じてくれているのだろうか?俺はひたすら腰を振りまくり、涼の腹の上に自分の欲望を放った。「はぁ……はぁ……///」「俺の身体に司さんのいっぱい付きましたね」「ごめん……我慢できなくて//」「嬉しいです。多分、俺は司さんのことが好きなんだと思います」そういう、涼の表情はどこか吹っ切れて見えた。「多分、俺も涼のことが好きなのかもしれない」「ははっ、俺たちお互い恋愛には向いてないみたいですね」「そうだな。こじらせ過ぎだ」「それ自分で言いますか?」涼が笑った。「でも、ちゃんと恋愛するなら相手は涼がいい」「それは俺も同感です」俺は涼を抱きしめようとして、彼に止められた。「司さんのが付いてしまうので、先に風呂に入りませんか?」「そうだった。ごめん」「司さん、謝ってばっかだ」今日の涼はよく笑う。つられて俺も微笑んだ。「司さん、痒い所ないですか?」 「うん、大丈夫」「じゃあ、流しますね」涼は俺の髪を丁寧に流し始めた。涼の綺麗な指が、俺の地肌に心地よく触れた。たまにはこういう時間もわるくない。「はい、洗えました」「ありがとう」「お湯でも浸かりますか?」「そうだな」俺が先に湯船に浸かると、続いて涼も浸かった。「おい、くっつき過ぎだ/」「今更照れてるんですか?」涼は俺を後ろから抱き締めるように、背中にピタリとくっついた。「司さんの背中大きい。落ち着く」甘えるように俺に抱きつく涼を不覚にも可
涼と恋人関係になってから3日が過ぎた。しかし、涼からの連絡は一切ない。俺は、今日も圭のバーでひとり寂しく酒を煽っていた。「司、飲みすぎ」 「少しくらいいいだろ?明日休みだし」「そんな飲み方、司らしくないわ」そういうと、圭は俺からグラスを取り上げた。「おい、返せよ」「嫌よ。今の司に出すお酒はない」「なら帰る」「ね、司。友人として言わせてもらう。頭冷やしなさいよ」「分かったよ」俺はテーブルに1万円札を置くと、足早に店をあとにした。足がフラフラする。 頭もクラクラする。 真っ直ぐ歩けない。「あ、すみません」俺は通行人にぶつかった。「お兄さん、格好いいね。ひとり?」なんだ、ナンパか。めんどくせぇ。「急ぐので」「って、急げてないじゃん」俺は不覚にも腕を掴まれて、身動きが取れなくなってしまった。「いい店知ってるから行こ」「結構です」心は拒んでも身体が思うように動かない。俺は半ば強引に店の中へ連れ込まれそうになった。「何してるんだよ。行くよ」すると、聞き覚えのある声がした。その声の主は俺の腕を引っ張ると、振り向きもせずに歩き出した。「涼、腕痛い」涼は何も言わず、俺をホテルに連れ込んだ。 そして、涼はホテルの部屋に俺を押し込むと、そのまま床に押し倒した。「涼、やめろ!」俺の制止も聞かず、涼は俺の唇に強引に舌をねじ込んだ。「んんっ……くるしっ、」咄嗟に俺は涼の唇を噛んだ。「いてっ」涼の唇には血が滲んでいた。「司さん、俺が来なかったらあの男と寝てたの?」「寝ないよ」「そっか」そういうと、涼は俺から離れた。「司さん、ごめん。俺、頭冷やしてくる」俺は咄嗟に、部屋から出ていこうとする涼を抱き締めた。「俺は大丈夫だから」この時、俺は初めて涼の脆さに触れた気がした。「涼、腕痛い」涼は何も言わず、俺をホテルに連れ込んだ。 そして、涼はホテルの部屋に俺を押し込むと、そのまま床に押し倒した。「涼、やめろ!」俺の制止も聞かず、涼は俺の唇に強引に舌をねじ込んだ。「んんっ……くるしっ、」咄嗟に俺は涼の唇を噛んだ。「いてっ」涼の唇には血が滲んでいた。「司さん、俺が来なかったらあの男と寝てたの?」「寝ないよ」「そっか」そういうと、涼は俺から離れた。「司さん、ごめん。俺、頭冷やしてくる」俺は起き上がり