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朝、隣にあなたが居る Side:涼

Author: るな
last update publish date: 2026-05-16 21:56:55
ピピピピピ……

スマホのアラームが7時を告げた。隣をみると、司さんが綺麗な寝顔で眠っていた。

「おはよう」

俺は司さんの頬にキスをすると、起こさないようにそっとベッドから起き上がった。俺は軽くシャワーを浴び、着替えを済ませた。そして朝ごはんの支度に取り掛かった。今朝はサンドイッチを作ることにした。

「できた」

その時、ちょうど司さんが起きてきた。

「おはよう」

寝起きの低めの声も格好いい。俺は思わず聞き惚れてしまった。

「おはよう。起こしちゃったかな?」

「ううん、ゆっくり眠れた。それより起きたら涼が居なかった」

そういうと、司さんは俺を後ろから抱き締めた。

「朝ごはん作ってくれたんだ。ありがとう」

「サンドイッチだよ。食べれそう?」

「うん。好き。着替えてくる」

「はーい。飲み物はコーヒーでいい?」

「うん」

俺は司さんが支度をしている間に、コーヒーを淹れ、テーブルに朝食を並べた。

「お待たせ」

スーツを身に纏った司さんが、キッチンに現れた。

「ん?どうした?」

「ううん、何でもない/それより食べよう」

「そうだな。9時に出れば大学に間に合うんだよな?」

「うん。ここから駅
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  • 実は、俺⋯受けなんです!   ひとりの時間 Side:司

    2日ぶりのひとりの時間。出勤時刻まであと2時間ある。俺は行きつけの喫茶店でゆっくりコーヒーを飲むことにした。そうと決まれば早速、目的地まで車を走らせた。しばらくすると、信号が赤になった。俺は車を停止させた。そして、無意識に助手席を見た。涼が居たら信号待ちも退屈しないのに。ひとりで居ても涼のことを考えてしまう。その時、信号が青になった。俺はアクセルを踏んだ。更に車を走らせること約15分。お目当ての喫茶店に到着した。「いらっしゃいませ」俺はいつもの窓際の席に座り、いつものようにホットコーヒーを注文した。数分後、いい香りを漂わせながら、ホットコーヒーが運ばれてきた。俺は一口、コーヒーを飲み込んだ。この味、この香り。いつも通りで落ち着く。そんな時、立て掛けられているメニューが目に止まった。「季節のデザートか。涼、好きそうだな」ひとりの時も、俺の中心には涼が居た。ひとを好きになるって不思議だ。ワンナイトを繰り返していた頃の自分が思い出せない。誰かをこんなにも恋しく想うことがあっただろうか?少し離れただけで会いたいと思う。明後日の水曜日には会えるのに。それまでの時間がとてつもなく長く感じる。けれど、俺の日常は変わらない。大手の商社に勤め、優秀な人材で、会社からも期待されている。今まで作り上げてきた〝俺〟を壊す訳にはいかない。俺はコーヒーを飲み干し、喫茶店を出た。今日は大事なプレゼンの日。準備は完璧だ。このプレゼンを勝ち取ったら、今夜、俺から涼に電話をかけようと決めている。恋人に電話をかけるだけと思うかもしれないが、用事もないのに電話かけることは、俺にとってハードルが高い。それでも、嬉しいことは一番に涼に報告したい。その為にも今日は負けられないのだ。⎯⎯⎯⎯⎯⎯「高嶺、今日のプレゼンもさすがだったな」「ありがとうございます」「先方から引き続き、高嶺に担当して欲しいと要望があった」「本当ですか!」「ああ。おめでとう」「ありがとうございます」俺は上司に頭を下げた。すると、上司は俺の肩を軽く叩き、会議室から出ていった。「はぁ……」俺は誰も居ない会議室で大きな溜め息をついた。完璧な高嶺司で居ることは、正直しんどい。だが、そんなこと口が裂けても言えない。俺のプライドが許さない。つくづく、自分のことをめんどくさいと思う。けれど、俺には今夜楽しみがある。

  • 実は、俺⋯受けなんです!   朝、隣にあなたが居る Side:涼

    ピピピピピ……スマホのアラームが7時を告げた。隣をみると、司さんが綺麗な寝顔で眠っていた。「おはよう」俺は司さんの頬にキスをすると、起こさないようにそっとベッドから起き上がった。俺は軽くシャワーを浴び、着替えを済ませた。そして朝ごはんの支度に取り掛かった。今朝はサンドイッチを作ることにした。「できた」その時、ちょうど司さんが起きてきた。「おはよう」寝起きの低めの声も格好いい。俺は思わず聞き惚れてしまった。「おはよう。起こしちゃったかな?」「ううん、ゆっくり眠れた。それより起きたら涼が居なかった」そういうと、司さんは俺を後ろから抱き締めた。「朝ごはん作ってくれたんだ。ありがとう」「サンドイッチだよ。食べれそう?」「うん。好き。着替えてくる」「はーい。飲み物はコーヒーでいい?」「うん」俺は司さんが支度をしている間に、コーヒーを淹れ、テーブルに朝食を並べた。「お待たせ」スーツを身に纏った司さんが、キッチンに現れた。「ん?どうした?」「ううん、何でもない/それより食べよう」「そうだな。9時に出れば大学に間に合うんだよな?」「うん。ここから駅まで歩いてどれくらいかな?」俺はスマホで学校までの経路を調べた。そんな俺の様子を見ていた司さんが言った。「送ってくよ」「司さん、午後出なんでしょ?ゆっくりしてて?」「十分ゆっくりしてるから。それに、車の方が涼と長く居られる」「朝からなんでそんなに格好いいの?/」「いつも通りだけど?」司さんは、美味しそうにサンドイッチを頬張りながら微笑んだ。「ご馳走様でした。美味しかった」「良かった」「洗い物はしておくから、涼は支度しておいで」「うん。ありがとう」俺は司さんの言葉に甘えて、洗面所で髪をセットすることにした。いつものように、前髪にアイロンをかけ、全体にワックスをつける。「よし、できた」ヘアスタイルが上手く決まる日は朝から気分がいい。リビングに戻ると、洗い物を終えた司さんがソファーで新聞を読んでいた。俺は司さんの邪魔をしないように、静かに隣に座った。すると、俺に気づいた司さんが声を掛けた。「終わった?」「うん」 「これ」すると、司さんは小さなボトルを俺に差し出した。「俺の香水欲しいって言ってただろ?」「もらっていいの?」「もちろん」「ありがとう。嬉

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    涼と出会う前の俺は、社交的に見えて、他人を自分のテリトリーには決して入れさせなかった。自宅に招くことは、プライバシーに関わることなのでもちろん断っていた。それなのにだ。今の俺は自ら、涼に合鍵を渡し、いつでも訪ねてきていいと言った。涼に気を遣ったわけでも、自分をよく見せたいわけでもない。俺は涼と過ごす時間に癒しを感じていた。触れ合わなくても一緒の空間で過ごすだけで満たされる。「司さん、楽しそう」「そうか?」「顔がニヤけてる」「それはない」と言いつつも、食器棚のガラスで自分の表情を確認した。少し口元がにやけているような気がしなくもない。ポーカーフェイスの俺はどこへやら。涼といると俺の知らない俺が出てくる。 時々、自分の変化に驚くこともあるが、それもわるくないと思えるのは、傍に涼が居てくれるからだ。「司さん、カレーできたみたい!」「おお、食べようか。腹減った」俺は涼の笑顔が見れたらそれだけで幸せだ。「いただきます!」涼が出来たてのカレーを頬張った。「美味い!ビーフも美味しいね」「口にあって良かった」「これから俺も牛肉でカレー作ろうかな」いつもは1人の食卓。涼と食べるとそれだけで美味しく感じる。「たまにはこうやって一緒に夕飯を作るのもいいな」「俺もそれ思ってた!なんなら、俺、作りに来ようか?」「涼は、大学とバイトで忙しいだろ?」俺にとって有難い提案だが、涼に無理をさせる訳にいかない。「大丈夫!俺が来れる時だから」「そういうことなら頼むよ。仕事の後に、涼の手料理を食べられるのは嬉しい」「分かった。来る時は連絡するね」「ああ。待ってるよ」涼はどんどんカレーを食べ進めた。「おかわりいるか?」「食べる!」俺は涼から皿を受け取ると、カレーを継ぎ足しにキッキンへと向かった。その様子をカウンターから涼が覗いていた。「見られてるとやりにくい」「だって、司さんが見えないと寂しくて」「可愛いな、涼は」「可愛いのは司さんだからね」「いや、涼だよ」「司さんだよ」お互いに譲らない攻防戦に、俺たちは笑い合った。⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯「もう8時過ぎだ。早いな」リビングのソファーでくつろぎながら涼が言った。「泊まってくか?」「今日も泊まったら迷惑じゃない?明日仕事だよね」「俺は構わないけど」本音をいうと俺が涼と一緒に居

  • 実は、俺⋯受けなんです!   恋人と過ごす休日

    車を走らせること15分。マンションの地下駐車場に到着した。「俺、荷物運ぶから、鍵頼めるか?」「うん。でも、重いから俺も持つよ」「それならこれ」俺は涼に、食器が入っている袋を手渡した。「こっち、軽い方じゃん」「涼は鍵開けてくれるから」「んふっ、司さんは優しいね」そういうと、涼は俺の頬にキスをした。「ここ、外だぞ/」「誰も居ないから大丈夫だよ」今日も涼にペースを乱された。俺は熱くなる頬を隠すように話を逸らした。「ほら、行くよ」「はーい」駐車場からフロントに続くドアの鍵を涼が開けた。重たいそのドアを開けると、大理石を基調とした高級感溢れるフロントが現れ、常駐しているコンシェルジュの方が俺たちに気づき声を掛けた。「お帰りなさいませ。高嶺様」「こんばんは。お疲れ様です。これから彼が一人で家に来ることもあるので、よろしくお願いいたします」俺は涼をフロントまで手招きした。「かしこまりました。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」コンシェルジュが涼に問いかけた。「桜庭涼です」「桜庭様ですね。よろしくお願いいたします」「あ、はい」戸惑いながら涼は答えた。コンシェルジュとの会話が済んだ俺たちは、上層階専用のエレベーターに乗った。そこで俺はふと気づいた。「涼の苗字って、桜庭だったんだな」「そういえば、言ってなかったかも」「んはっ、俺たち名前も知らずに恋人になってたのか?」「俺ららしくていいじゃん」「それもそうだな」「俺の事、コンシェルジュさんに伝えてくれてありがとう」「どういたしまして」その時エレベーターが最上階へ到着した。扉が開くと、俺たちは手を繋いで歩き出した。 「お邪魔します」「ただいまでもいいのに」「え!?いいの?」俺は何気なく言ったつもりだったのだが、涼は驚いた表情を浮かべた。「ああ。涼ならいい」「やった!嬉しい。ありがとう」「それならこれも要るよな」俺は涼に合鍵を手渡した。「え、待って……こ、これって。どうしよう。俺……」「要らなかったか?」「違うんだ。すごく嬉しい。嬉しくて泣きそう」「なんだ、びっくりさせるなよ」「俺ばっかりプレゼントもらってる。俺も何か司さんにお返ししたい」「俺は涼と出かけたり、食事したり、一緒に過ごすだけで癒されてるよ」「それは俺も。だから、それ以外で何か司

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    「涼、シートベルト」「はーい」俺が自分の車に人を乗せることは滅多にない。ましてや、助手席に乗る人なんて皆無だ。それくらい涼は俺にとって特別な存在なのだ。「この車高そう」「まぁ、それなりに」「本当に俺が恋人でいいの?俺、学生だし、お金もないし、司さんみたいに格好よくもないよ」「逆に涼は俺が恋人でいいのか?涼からしたら俺はおじさんだろ?」「俺は司さんがいい。司さんじゃないと嫌だ」涼は即答した。「俺も涼がいい」 「じゃあ、俺のどこが好き?」「自分の気持ちに素直な所。甘えると可愛い所」俺は車を走らせながら言った。「うんうん。他には?」「格好いい所」「やった。俺も司さんの好きな所言おうか?」「俺は遠慮しとく」「なんで?」「……恥ずかしいだろ」俺は呟いた。「司さん、可愛い。あ!可愛い所、大好きだよ」「ん、ありがとう/」「司さん、顔赤い」「あんまり見るな/運転してるから」「はーい」助手席で楽しそうにしている涼を横目に、たまにはこういうドライブもわるくないと思い始めている俺が居た。「着いたぞ」「ここ!来てみたかったんだ!」車から降りた涼は嬉しそうに言った。「駐車場広いから周りをよく見て」「司さん、お兄ちゃんみたい」「あながち間違ってもないかもな」「そこは恋人だって言うとこでしょ?」「あ、そうなのか?」「司さんって、たまに抜けてるよね」「うるさい」俺は涼の髪の毛をワシャワシャした。「ちょっと、髪が乱れるって」「ほら、行くよ」「はーい」俺が右手を差し出すと、涼は嬉しそうに俺の手を握った。「こういうデートしてみたかったんだ」「それは良かった」俺と涼は笑い合った。「色々あるんだね」「そうだな」涼は食器を選びながら言った。「これだけあると迷うな」「ゆっくり選べばいいよ」「ね、司さんはどっちが好き?」涼は色違いのマグカップを俺に見せた。「うんと、青」「この色いいよね。ならこれにする!」「俺が決めていいのか?」「もちろん。どっちも気に入ってたから選んでくれて嬉しい」涼は終始嬉しそうな表情を浮かべながら、青を基調とした食器を選んでいく。「これくらいかな」「よし、会計行くか」「こんなに買ってもらうのはわるいよ。俺も払うよ」俺は涼が財布を出そうとする手を止めた。「俺に買わせて?俺

  • 実は、俺⋯受けなんです!   朝が来た Side:涼

    「うーん……」俺は窓から差し込む朝日で目を覚ました。隣をみると、一緒に寝ていたはずの司さんが居なかった。その代わりに、キッチンからコーヒーのいい匂いがした。俺は眠気まなこを擦りながら起き上がり、キッチンへと向かった。「おはよ、司さん」「おはよう、よく眠れたか?」「うん、とっても。朝ごはん作ってくれてるの?」「まぁ、簡単なものだけど」「十分豪華だよ。ありがとう」俺は料理をしている司さんの背中に抱きついた。「涼、顔洗っておいで?」「もう少しだけ」俺は司さんの首に鼻を近づけた。今日もいい匂いがする。俺は思わず目を閉じた。「涼、寝てる?」「わぁ、ごめん」「やっぱり寝てた」「だって、司さんの傍は落ち着くから」「それは嬉しいけど、朝食もできたぞ」「はーい」俺は離れ難い気持ちを押し殺して、朝の支度を始めた。洗面所には、歯ブラシが一本と男物の頭髪料や化粧水が並んでいた。司さん以外がこの部屋に来た形跡はない。俺は安堵した。それと同時に自分の女々しさに嫌気がさした。 「何やってるんだ……俺」「涼。出来たぞ」 キッチンから俺を呼ぶ司さんの声が聞こえた。「今行く」我に返った俺は、急いで顔を洗いキッチンへと戻った。「冷めないうちに食べよ」「うん」「どうかしたか?」司さんは俺の顔を覗き込んで尋ねた。「ううん、なんでもない」俺は咄嗟に司さんから目を逸らした。今、司さんの目を見たら全てを見透かされそうで怖かった。「そっか、ならいいけど」司さんはこういう時、俺が話すまで深く追求することはしない。俺にはできない。大人の余裕なのだろうか?「この後、2人で出かけないか?」朝食を食べていると司さんが俺に話しかけた。「いいよ。どこ行く?」「涼が使う食器とか歯ブラシが買える所。パジャマもいるか?」「え?俺の?」「これからも来るだろ?ここに」その言葉に司さんを一瞬でも疑った自分が恥ずかしくなった。司さんは、俺の知っている誰よりも格好よくて可愛いい人だった。「来る!毎日でも来る!!」「んはっ、いつもの涼だ」「俺、司さんが大好きみたい」「俺も好きだよ」「ううん、きっと、俺の方が好きだ」俺は司さんを見つめた。「だから、これからも俺だけの司さんで居てね」「当たり前だろ」司さんは微笑んだ。「涼、そんなにくっつくと食器洗えない」

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