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第639話

Auteur: シガちゃん
半月後――本来なら由奈と祐一の婚約パーティーが行われるはずだったが、信三の裁判のため延期となった。

秀雄の弁護団は控訴審で最大限の弁護を尽くし、さらに徹也が生前に殺人に関与していた証拠を提出。結果、当初六年とされた有期刑は三年へと減刑された。

もっとも、当の信三は高齢であり、捜査にも全面的に協力していたことから、最終的には執行猶予一年という処分に落ち着いた。

裁判所の外は、拍子抜けするほど静かだった。中道家が情報を徹底的に抑え、記者の目を避けていたのは明らかだった。

信三は付き添いの者たちに囲まれ、そのまま車へ乗り込み、現場を後にする。

車内で、彼は軽く咳き込んだ。秀雄がすぐに水を差し出す。「お父さん、今回の徹也の件ですが、もう少し考えてから行動すべきでしたね」

信三はキャップをひねり、水を一口含んでから、淡々と返す。「放っておけば、いずれ中道家はあいつに潰されてしまう。それより、この件の詳しい状況は、美雪や秀明に知らせなくていい」

秀雄は答えず、視線を落とした。しばしの沈黙のあと、信三が口を開く。「家の方はどうだ?」

「大きな混乱はありません。多少噂が出ている程度です
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    心愛はその言葉を聞くと、俯きながら小さく笑った。これまでにも、異性からアクセサリーを贈られたことは何度もある。けれど、どれもどこか似ていた。「どれくらいのものを贈れば喜ぶのか」――相手はそんなことを考えながら、彼女の機嫌を取るための「正解」を探しているようだった。高すぎれば惜しくなる。かといって安すぎれば、彼女に相応しくないと思われるのが怖い。そうして選ばれるのは、結局その時々で流行っている無難な品ばかりだった。彼女のことを本気で考え、時間をかけて選んでくれる人はひとりもいなかった。だからこそ――智宏が渡してくれたこの贈り物が、同じアクセサリーであっても、込められた想いがまったく違うと、心愛にはすぐに分かった。心愛は小さく唇を噛んだ。「今、中道さんに渡せるようなもの……何も用意してなくて」そう言いかけた瞬間だった。智宏が何か言葉を返すより先に、心愛はそっと身を寄せ、彼の頬に口づけを落とした。一瞬、智宏の動きが止まる。普段、どんな時でも冷静で感情を表に出さない瞳に、初めて大きな揺らぎが浮かんだ。驚きと、隠しきれない喜び。長い間抑えていた感情が、静かに表情の奥から滲み出ていた。やがて智宏は小さく息を吐き、いつもの落ち着きを取り戻すように尋ねる。「……今のが、僕への贈り物ですか?」心愛は恥ずかしそうに視線を伏せた。長い睫毛がわずかに揺れる。「えっと……その……贈り物の代わり、ということで……」本当は、後でちゃんと選びたいと思っていた。彼に似合うものを、自分の気持ちを込めて贈りたい。そんな想いは胸の奥にしまったまま。智宏はすぐには答えなかった。ただ、彼女の手をそっと引き寄せ、もう片方の手で後頭部に触れる。真っ直ぐ向けられた視線に、心愛の鼓動が急に速くなった。まるで、周囲の時間だけが止まったようだった。「……じゃあ、僕からお願いしてもいいですか?」低く穏やかな声が耳元に届く。その瞬間、心愛の耳まで一気に赤く染まった。けれど――彼女は逃げなかった。智宏はそんな彼女を見つめ、ゆっくりと額へ口づける。それは、何かを確かめるような、そして大切なものに印を残すような優しいキスだった。心愛はそっと目を閉じる。胸の奥は、どうしようもないほど大きく揺れていた。――けれど。彼がくれたものは、

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  • 徒に過ごした六年間――去り際に君の愛を知る   第798話

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