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8話

Author: 東雲桃矢
last update publish date: 2026-06-17 12:46:38

 秋明は百合の向かいに腰を落ち着かせる。沈黙が耳に痛い。

(はぁ、気まずいわ……。だからって、雑談を持ちかけられるような相手でもないし……)

 ちらりと秋明を見ると、彼は仕事のやり取りでもしているのか、気難しい顔でスマホを見ていた。

「お待たせしました」

 お茶と大きな封筒を持った紫苑が、執務室に入ってくる。彼はふたりの前にお茶を置き、百合に封筒を手渡した。

「宝生様、こちらを」

「これは……?」

「開けてみろ」

 秋明に言われて封筒を開けてみる。中には紙束が入っており、1枚目は百合の会社を中心とした地図だ。会社の周囲にいくつかピンがついており、ピンには手書きでアルファベットがふられている。

 2枚目以降は見取り図や家の写真で、右上にアルファベットがある。

 今いるような豪邸もあれば、家具付きのマンションや戸建てもある。どれも快適そうではあるが、見取り図を渡された意味が分からない。

「これは……」

「俺が所有する別荘と、即日で住める家具付き物件をピックアップした。これからお前と同居する。その家と、母親が住む選べ」

「なっ!?」

 驚きのあまり、言葉が詰まる。契約結婚をするのだから、秋
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