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8.桃瀬穂乃として②

Penulis: 鷹槻れん
last update Tanggal publikasi: 2026-03-17 15:19:57

うなちゃんの視線から逃げるようにして、私はようやく浴室へ向かう。

脱衣所に入ると、かすかに柚子の香りが鼻腔をくすぐった。

眼鏡を外して洗面台に置く。

服を脱ぎながら、胸の鼓動がなかなか落ち着かないことに気づく。

(……どうして?)

離婚したばかりなのに、梅本先生とあんなふうに指先が触れただけで、こんなに心がざわついちゃうんだろう――?

最後の一枚を脱いでから、浴室の扉を開ける。

風呂蓋を開けてみると、途端、ふわりと湯気が立ちのぼる。

湯船は鮮やかな黄色に色づいていた。

きっと柚子の入浴剤が入れてあるんだろう。

ふと鏡を見る。

薄らぼんやりしか見えないから少しだけ鏡に近付くと、眼鏡を外した自分の顔はほんのり赤くなっていた。

「……落ち着け、私」

小さく呟いてから、私は手桶に湯を汲んだ。

張られたばかりの湯は、まだ表面が静かに揺れていて、触れるとちょうどいい湯加減だった。

身体を一通り清めてから肩までゆっくりと湯船へ浸かると、張りつめていた全身の力が、じわりと抜けていく。

「……あったかい」

思わず、ため息が漏れる。

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