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エリオット

Penulis: をち。
last update Terakhir Diperbarui: 2025-08-10 20:52:49

慌てて教室に向かえば、授業の始まるギリギリだった。

「申し訳ない。レオンに呼ばれていたのです。詳細はのちにレオンから説明がありますので」

さっさと言い置いて返事を待たずに席に座った。

「さあ、授業を始めてください」

「あ、ああ。……では、授業を始めよう。第三章、五節からだ……」

心配そうに俺とアスナを見ていたエリオットが、小さな声で声をかけてきた。

「アスカ様?大丈夫でしたか?あの……もしかして、例の噂のことでしょうか?

アレは本当に単なるうわさなのです。ボクとレオン殿下には…

小声で話していたのだが、しっかりと教授の目にはとまってしまったようだ。

ジロリと睨まれてしまった。

「そこ!エリオットくん、静かにするように!」

教授の注意を受け、慌てて教科書を開くエリオット。

だがどうしても話をしたかったようで、今度はごそごそとノートの端に「後でお話があります」と書いて差し出してきた。

アスナと俺が黙って頷けば、ようやく安心したように少しだけ肩の力を抜く。

無視をされるとでも思ったのだろうか?安心しろ、お前とレオンのことは全く疑ってなどいないから。面倒なことになるな、思っていただけで。

授業が終わったとたん、さっそくエリオットが俺とアスナを廊下に引っ張り出した。一目の無いところで、という配慮だろう。つまり、人に聞かれたくない内容だということだ。

エリオットは俺たちを空き教室に押し込むや否や、怒涛のように話出した。

「いったい何があったのですか?レオン殿下はどのような御用で?あの、もしもクと殿下の噂のことですが、あれは単なる噂にすぎません!アスカ様から殿下を奪おうなどと大それたことは思ってもいませんのでっ!そんなことをするくらいなら、最初からアスカ様に協力などしておりませんっ!どうか信じて下さいっ!!」

目に涙を浮かべて必死の形相だ。

俺とレオンが噂のことでもめているのではと勘違いしたらしい。

「時期に公表されるはずだから、もういいだろう。話というのは、俺とレオンの婚約解消が正式に決まった件についてだ。レオンがあまりにも落ち込んでいたのでな。心配した側近にレオンと話をして欲しいと頼まれたんだ。

確かに噂も原因のひとつではあるが、どのみち予定していたこと。その時期が早まっただけだから、俺としては何の問題もない。気にするな。お前の責任ではない」

それを聞いて安心するかと思いき
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