Partager

俺、転生する2

Auteur: をち。
last update Date de publication: 2025-04-17 16:17:00

そんな折俺にとんでもない話が持ち込まれた。

なんと「第一王子の婚約者に」と王家に請われたのである。

元々父は王と親しかった。

宰相である父は、職場である王城で「自慢の息子の話」をたびたびしていたようで、王が俺に興味を持ってしまったのだ。俺が3歳にもならぬうちから「息子の婚約者に」と言い出していたそうなのである。

父は「嫡男ですので」とそれをずっと断っていたようだが、ここにきて俺に弟が生まれてしまい「唯一の息子」ではなくなってしまった。弟というスペアができたことで、王家に請われたにもかかわらず断るほどの理由にはならなくなったのである。

俺はその話を聞いて何の理由もなく「嫌だ」と思った。

根拠などない。第一王子と聞き「嫌だ」と思い、レオンという名前を聞いて「絶対にダメ」だと思ったのである。

「父上、嫌です!俺は筆頭公爵家嫡男。王家の嫁になど言語道断。無理を押し通すような王家などこちらから切ってしまえばいい。王家にこう言ってください。「アスカはゴールドウィン家の後継者です。それを挿げ替えろと?ご無理をおっしゃる。王家に我がゴールドウィン家を敵に回すおつもりがあるのならば、婚約をお受けいたしましょう』と。それでも婚約をと言われたら、王家を討ちましょう。それがいい。父上と私ならできます!」

「落ち付くのだ、アスカ。まず一度レオン殿下に会ってみてはどうだ?殿下は5歳ながら非常に聡明で穏やかな気質だ。私から見て、お前とは合っているように思うぞ?それにお前には同年代の友もおらぬ。誰とも付き合わずに生きることはできぬのだぞ?公爵家は弟に継がせることもできる。それだけを理由に断るのは難しいだろう。そこまで嫌がる理由があるのならば、それをこの父に教えて欲しい」

今なら分かる。レオンがアスナと同じ名前だったからだ。そ彼がゲームでの俺の破滅の元、攻略対象だからだ。当時の俺は無意識にそれを感じていたのだろう。

だが、前世の記憶を取り戻す前の俺には、嫌な理由など言えなかった。俺自身分かっていなかったのだから。

こうして俺はレオンと婚約することとなった。

この時から俺は、訳の分からない苛立ちと焦燥「とにかく逃げなければ」という想いにかられるようになる。

とりあえず俺は目の前の退屈な授業から逃げ出した。いつも通り二階の窓から飛び降りて華麗に着地!

……のはずがあえなく失敗。飛び降りた先が、前日の雨でぬかるんでいたのだ。

泥で滑った俺は、飛び降りた勢いのまま後頭部を強打した。

そして……前世の記憶を取り戻し、そのショックで1週間寝込んだ。

幸いにも俺の負傷の原因である泥が倒れた衝撃をやわらげ、怪我自体は大したことはなかった。それなのになかなか目を覚まさない俺に、父も母もかなり心配したようだ。

目を覚ました俺は二人に号泣され、二度と二階から飛び降りないと誓わされたのだった。

さて、こうして俺は前世を思い出した。

そして全てを理解した。

筆頭公爵家嫡男アスカ・ゴールドウィン。王太子レオン・オルブライト。

どちらの名前にも聞き覚えがある。ありすぎた。

そう、ここは前世の姉がはまっていた、乙女ゲームの世界だったのだ。もう笑うしかない。

俺はハイスペックなラスボス、すなわち死にキャラに生まれ変わっていた。

おいおい、悪役令息かよ!死ぬ前に神を罵った腹いせか?なんて狭量な神だ!

だがこれで俺が生まれつき神童扱いされている理由も、明らかに異常なハイスペックであることにも納得がいった。全ては俺が「ラスボスだから」だ。敵は強大であれば強大であるほどクリアしたときの感動が大きいからな。

しかもこの乙女ゲームは単なる乙女ゲームではない。多様性だとやらで、男と女だけでなく、男同士、女同士、あらゆる恋愛が楽しめるクソみたいなハード仕様なのだ。

そして俺はどのルートでも必ずなにかしらの悪事を働き、どこかに飛ばされたり破産させられたりして野垂れ死ぬ。ハイスペックの設定なんじゃないのか?便利に使われすぎだろう悪役令息!

王太子と婚約の話が出たことで、現在俺の置かれている状況が分かった。

今、俺はBLの王太子ルートにいる。しかも俺の意志など関係なく。

ちなみにBLルートでは男同士でも問題なく結婚できる。剣と魔法の世界なので、魔法で身体を出産可能に作り替えることができるからだ。

ゲームのままだと、俺は王子の婚約者として主人公の前に立ちふさがる。愛され系ピンク頭の主人公令息に嫉妬の炎を燃やし、主人公を貶めるためにあらゆる悪事に手を染め、断罪されることになる。

どおりでレオンという名に嫌悪を覚えるわけだ。王太子との婚約?もってのほかだ!面倒だし嫌に決まっているだろう!どちらも俺にとっては鬼門でしかないではないか!

だが実際のところ「面倒で嫌だ」というだけ。生死を分けるほどの問題ではない。

他の奴なら詰んだだろう。だが転生したのは他でもない、この俺なのだ。

記憶を取り戻した俺は無敵だ。何故なら俺は全ルートの攻略済。鬼畜オタクな姉にての全スチルの回収を命じられていたため相当やりこんだ。つまり、このクソゲームを熟知しているのである。

更には今の俺は悪役といえど最高位貴族。ビジュアル的にも文句なしの美形。おまけに頭よし運動神経よし魔力膨大という高スペック。怖いものなしだ!

そもそもゲームの強制力かなんだかしらんが、ここまで最強の設定の俺が「頑張る健気な主人公」やら「お育ちの良いご立派な王子様」やら「王子の側近軍団」程度になぜ敗北する?普通に考えたらあり得ないだろう。

この俺の新しい人生に敗北という文字はない。こう言い切るだけの根拠もある。

実はBLルートの俺にはある得点があった。このルートでだけ特殊な能力が使えるのだ。

通常、魔法は「火」「水」「風」「土」「木」の5種類。だがそこに例外が加わる。「光」と「闇」だ。これは訓練では身に着けることができない特性で、「能力」と言われる異能になる。

このルートでだけ俺はこの能力が使える。光属性のヒールと浄化、闇属性の呪いと解呪が。

しかし難点がひとつ。この能力が判明するのは、婚約式で教会に行った時だ。婚約の誓いのため神像に手を触れた際、神棚に置かれた光と闇の宝玉が光る。そこで初めて俺の能力が判明するのだ。つまり、婚約式に出ないと判明しないのだ。

この能力は、俺の神童ぶりをいわば神の域にまで高めてくれる能力だ。だから、利用しない手はない。存分に世間に知らしめたい。

従って婚約式には出席するしかなくなったのだが。まあ、そこは仕方がない。諦めよう。婚約してもレオンを避けて避けて避けまくればよいのだから。

レオンだってそこまで拒否してくる相手とは婚約継続したくないだろう。早期に向こうから円満に婚約解消させればいいのだ。文句を言われたら「なら俺は将来他所の国に行く」という伝家の宝刀を抜けばいい。歴代最高の魔力の能力持ちを手放すわけにはいかないから、王家も黙るしかないだろう。

万が一不敬が問われ国外追放コースになっても、今から備えておけば野垂れ死ににはならない。いや、こんなスペックを持ちながら、ゲームの俺が大人しく断罪され野垂れ死にしたことの方がおかしいのだ。

この世にはめったに現れぬというこの異能を利用して俺は生き残る。

ひとりで好き勝手に異世界無双をさせて貰おうではないか。

こうして俺は婚約式でレオンと初めて顔を合わせた。

「う、嘘だろ……!無理だ……!!」

髪の色こそ違うが、アスナの面影がそこにあった。

ふるりと身を震わせた俺にレオンが「大丈夫?」とほほ笑みかけ、手を差し出してくれる。

が、俺はとっさにその手を払いのけてしまった。

パチン!

その音に皆の視線が集中する。

払いのけられたレオンの手は少し赤くなっていた。かなりの強さで叩いてしまったようだ。わざとではない。だが、これはさすがにヤバかったかも。

ところがレオンは、俺に向かって怒るどころかほほ笑んだのである。

「ごめんね?びっくりしたよね?……僕は君と婚約できてうれしい。これから仲良くしてね?」

父の言う通り穏やかな性質ではあるようだ。大人たちも賞賛の目をレオンに送っている。

「…………驚いたのだ。わざとではない。痛い思いをさせてすまなかった」

俺は婚約や仲良くということには一切触れず、手を叩いたことだけを謝罪した。

下手に頷いて言質をとられたくなかったのだ。

認めたくないが、俺はレオンが怖かった。笑顔でありながらレオンが俺に向けるその視線には、どこか子供らしくない熱が籠っていたから。

俺は、なんとしてもレオンを避け続けようと心に誓ったのだった。

Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application

Dernier chapitre

  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   ディスポーサー

    俺は高々と宣言した。「よし。では、聞け。俺たちは『ディスポーサー』。血統を笠に着て貴族の名誉を貶める生ごみどもを処理する。ここをその拠点とするぞ!」リオが宇宙ネコのような表情になった。なんだその顔。面白いな。アスナはさすが、当たり前のように受け止め、飄々とこう返してきた。「ディスポーサー…生ごみ粉砕機、か。なかなかのネーミングセンスだな」「煩い。いいだろう?分かりやすくて。文句があるなら今のうちに言え」「もう決定なんだろ?いいよそれで」「まだ調べていないがここにはきっと地下室もあるはずだ。そこでごみを分別できる」「なんで分かったんですか?地下室もあります。ゴミを分別……ですかあ……ふぅ……」そんなにイヤそうな顔をするな、リオ。ある程度は処理済みのものになるから、そこまで面倒なことにはならない。たぶん。「学園に……そうだな……意見箱を設置しよう。横暴かつ不当な扱い、人道に反する行いなどの心当たりがあれば、匿名で告発してもらうんだ。アスナはその裏を取れ。リオは告発者が誰なのかを突き止めろ」「了解!方法は俺に任せてくれるんだろ?」「ああ。好きにやれ」「はい!質問させてください。アスナ様の告発された側の調査はいいとして、ボク、匿名の告発者をどうやって探せばいいんでしょうか?」そこからか。「告発対象の近くにいるものから当たれ。お前のその顔を活かせばいい。周囲のものを誑し込んで聞き出せ」「ええーー!」「ゲームのお前の得意とするところだっただろう?周りを皆味方につけたピンク頭の主人公、エリオット。お前ならできるはずだ」「あざといの、正直嫌いなんですよねえ。だからアスカ様が推しだったのに……。ふう……。いいですよ、やります!下僕ですもんね!やりますよっ!」その後はワイワイガヤガヤ。意見箱をどんなものにするか。(エリオットの出してきた画がいかにも厨二感満載のものだったので、俺とアスナは遠い目になった)どうやって誰にも見られずにその中身を取り出すか。これは、アスナの黒魔法を応用することにした。その意見箱の中に疑似的にアスナの空間収納を付与する。そうすればアスナがどこからでも取り出せるようになる。「お揃いの衣装とかどうですか?なんか秘密結社みたいでカッコいいの!」「リオ、なかなかいい考えだ。色は黒一択だな」「敢えての『漆黒の礼装

  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   拠点3

    ここまで言って、静かに目を閉じているエリオットに声をかけた。「エリオット。もう起きているんだろう?寝たふりはもうやめろ。誘拐監禁については不問とする。その代わり、この屋敷はおれのものだ。いいな?そうだなあ……『演習中に大物と出くわして死ぬところだったが、アスカ様に助けられた。そのお礼としてこの屋敷を贈る』ということでどうだ?」「……いつから起きていると気付いていたのですか?あーあ。ボクがいても平気でいちゃつくんだもん。やってらんない!いいですよ。お二人で好きに使ってください。後で権利書を送っておきますから」不満そうに唇を尖らせるエリオット。二人で好きに使ってくれ、だと?この期に及んで何を言っているんだ?「お前も使うだろ?まさか、逃げるつもりか?」「え?………ボクも?」「ここは狂人の館だ。お前も十分狂人だろう?俺に執着するあまり誘拐監禁までするんだからな。可哀そうだが俺なんぞに捕まったのが運のつきだ。死ぬまでこき使ってやるから覚悟しておけ。お前は死ぬまで俺の下僕だ。その代わり楽しませてやる」「!!はい!狂人は言い過ぎだと思いますが、死ぬまでアスカ様と共に、ってなんかいいですね。ふふふ」「前世の記憶持ちが三人か。よくも集まったものだ。探せばもっといるかもしれないな?」俺の何気ない言葉にアスナがぎょっと目を見開いた。「いや、これ以上いらねえぞ?!俺だって身体を捨てねえと追えなかったんだ。そこまでする奴が他にいてたまるかよ!心当たりでもいるのか?……気付かなかったな。横恋慕しやがるヤツは潰したつもりだったのに……」いやいやいや!黒いぞお前!何してやがるんだ!全く………「そんな狂人はお前くらいだろう。そういう意味じゃない。他のゲームのシナリオがどこか別の場所で進んでいる可能性があるのでは、と言ったまでだ。同じ世界を題材にしたスピンオフがあっただろう?」エリオットは心当たりがあったようで、「ああ、あれか!」と手を叩いた。「でもこっちはBLアリの乙女ゲーでしたけど、あっちは……R18の大人向けでしたよ……?なのでボクはやったことがありませんが……」「俺もねえぞ?!」「マジかあ……。こっちと交わらないことを祈るしかねえな。俺はアスカだけで十分だし!」余計なことを言ってしまったせいで、なんだか違う方向に話が進んでし

  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   拠点2

    なんという性格の悪さ!自分の愛を超えられるものなどいないだろう、と確信しているのだ。「……愚かだな。だが、嫌いじゃないぞ」彼は想像しただろうか。世界をも超える愛を。身体を捨て魂になってまで追いかけて来る執愛を。狂人の相手には受け止められなかったに違いない。だからここは憐れな小鳥を閉じ込める檻となった。だが、自らここを望むものにとって、ここは理想京。「出ることができない」のではなく第三者の立ち入りを拒み「余所者を排除できる」素晴らしい愛の褥。まあ、俺にとっては……秘密基地といったところか?俺は普通の愛では満足できない。前世の俺は、家族の愛を知らなかった。だから「普通の暮らし」「普通の家族」というものに憧れた。そんな俺にできた親友。阿須那は俺から「普通」を奪おうとした。俺を孤立させ、俺の世界を阿須那のみで構築させようとしたのだ。だから俺は彼を憎んだ。恐れた。時々想像する。それが穏やかに伝えられたものだったらどうだったろうか?俺は彼を受け入れたのだろうか。阿須那が彼の取り巻きからが俺を庇ってくれていたら?俺の中で阿須那の愛が「普通」になり、彼が俺の唯一の家族となったのではないだろうか。だが現実はそうはならなかった。阿須那は俺を手に入れるために画策し、俺はそんな阿須那を受け入れられず逃げる道を選んだ。未来への希望が無かったわけではないが、そんな未来など訪れなかった。この世界にまで俺を追ってきたと知り、俺はその執着を恐れると同時に、歓喜したんだ。世界を超え身体を捨ててまで俺を求め続ける阿須那。これ以上の愛があるだろうか?これ以上に信じられる愛があるだろうか?エリオットの夢見た世界とは違うのかもしれない。彼の理想は「アスカは素晴らしい王子様と一緒に幸せになりました」。確かにレオンは理想の王子様だ。その容姿、能力、地位、名誉、どれをとっても他の追随を許さない。俺にとっては、その寛容、知性、俺と対等に話せる丹力。婚約者としての俺は最低だっただろう。レオンを避け、茶会にも出ず、会おうともしない。何とかして会ってもつれない態度で毒を吐く。だが彼は俺に無理強いをしなかった。権力にものを言わせることもできたろうに、そのままの俺を受け入れ、学園という「ともに過ごせる場所」に俺が出るまで待ち続けた。俺が好ましいと思うのは、

  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   拠点

    どれくらいのめり込んでいたのだろう。気付けば俺の横には空の皿とティーカップが置かれ、エリオットが疲れ切ったようにソファで居眠り、アスナは俺の横で機嫌よさげに鼻歌を歌っていた。「お。もう良いのか?」俺の視線に気づいたアスナが、チュッとキスをしてきた。「おい!」ジロリと睨んでも「いいだろ、誰も見てねえんだし」と悪びれない。「お前もずいぶんと偉くなったものだな?」ビシっとデコピンしてやると、額を押さえながらブウブウと文句を垂れだした。「ひでえ!だって恋人だろ?こんくらいいいじゃん」「いつ恋人になった?」「えー!お互いの好意を確認して、あんなことまで許しといて恋人じゃねえとかねえわ。てか、お前、好きでもなんでもねえやつとできんの?」「そんなわけないだろう。お前でもあるまいし」「なら恋人ってことでいいじゃん。お前さ、俺に相当許しちゃってんの、自覚あんだろ?さっきだって『あーん』で食わせてやってたんだぜ?気づいてねえだろ?」確かになんだかんだ絆されまくっている自覚があるだけに言い返せない。悔しいが、確かに「恋人」という言葉が当てはまるのだろう。素直に認めるのもしゃくで、足を蹴ってやった。「…………声をかけろよ」出た声に含まれる甘えたような響き。アスナの言う通り、アスナに甘えるのが当たり前になってしまっていた。我ながら、本当にどうしようもない。クソ!蹴られたアスナは嬉しそうに笑いながらご機嫌で俺の髪をもてあそび始めた。「ははは!夢中になって読んでたもんだからさ。食うかな、って口元に出したら大人しく口開けんの。可愛かったぜ?あーんされてんの見たエリオットの顔、見せたかったよ」言いながらツンと俺の唇をつつく悪戯な指先。ギュッとその指を握り、はじき返してやる。「悪趣味だぞ?この腹黒め」「お前だって、飛鳥よりかなり黒くなってんじゃん」「そりゃ俺はもう飛鳥じゃねえからな。記憶が戻るまでの5年、俺はアスカ・ゴールドウインとして生きていたんだ。同じはずがないだろう?忘れたのか?俺はもともと悪役なんだ。悪役らしくせねばな?」飛鳥の方が良かったのか?飛鳥は前世の自分なのに、なぜか胸がぎゅっと痛んだ。するとアスナがキョトンとした表情でこう言ってのけた。「え?お前も飛鳥だろ?口は悪くなってるけど、根本は変わんねえよ。飛鳥もあ

  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   新しい未来

    ふ、とエリオットの表情が変わる。「……やっぱりアンタ、アスカ様なんですよね。………どうしようもなくアスカ様なんだもん。俺の推しよりもアスカ様らしいなんて……皮肉でしかないですよ……ズルいなあ……そんなアンタだから俺は………」「ふは!だろうな。俺たちは来るべくしてこの世界に来たのだと、俺は思っている。いや、むしろこちらにこそ生まれるはずだったのだ。転生前の俺も、飛ぶ鳥と書いて飛鳥。まあ、苗字だがな。そしてこいつの前世の名は、阿須那レオン。これは推察だが……元来こいつもレオンに生まれ変わるはずだったのだと思う」「!!それって………!………ほんと、ズルイや。アンタ、ボクの見たかったアスカ様そのものなんだもん……」俯くその肩がわずかに震えている。目を瞑り、次に開いたときには……エリオットは「健司」の表情になっていた。「改めてご挨拶申し上げます。俺は坂本健司。そしてボクはクレイン侯爵家が当主、エリオット・クレイン。火、水、風、土の四属性に加え、闇、光魔法が使えます。隠していて申し訳ございませんでした。このボクの心からの忠誠を、アスカ・ゴールドウィン様、今のあなたに捧げます。仕方がないのでその異物にも忠誠を。その代わり……あなたはずっとあなたで居てください。何者にも負けず、折れず、自由な存在で居てください。ボクはゲームに描かれなかったあなたの行く先が見たい」俺を見上げるその瞳には、これまでにはない確固とした光が宿っていた。あのどこか焦燥に駆られるような奇妙な熱ではなく、しっかりと地に足をおろしたもの。これまでの彼はその立場を変えながらもあくまでも「ゲームの中のエリオット」を演じていた。可愛らしく健気なご令息。時に浮かんだ狂気にも似た光は、彼が求めた「自らの存在意義」が揺らいでいたからだったのだろう。それが俺たちにいらぬ警戒心を抱かせたのだ。今の彼は一皮むけたように見える。これまで俺たちに騙されていたという怒り。その怒りを凌駕する、この世界に転生してきたものが自分だけではないという安心感。そして……新たな希望。「……いい顔になったな」ゲームでのエリオットは、言葉は悪いが「誰かに甘えて生きていく」タイプだった。しかし健司の本質は違う。「誰かのために誰かを支えて生きていく」タイプだ。ならば、俺が貰う。俺の下僕として

  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   不測の事態6

    しばらく口を開けたり閉じたりと何かを言いかけてはやめ、やめては言いかけるのを繰り返していたエリオットだったが、ようやく理解が追い付いたようだ。「ええ?!な、なんですぐに教えてくれなかったの?俺、言ったじゃん転生者だって!しかも同じ日本人なんでしょ?おまけにチートじゃん!なんで?!俺、アンタのこと『推し』って言ったよね?そりゃゲームだと俺は敵だし、絡みたくないのは分かるけど!分かるけどさああ!敵じゃないって分かったんだから、せめてあのクソ豚始末した時に教えてくれてもよかったんじゃないのっ?どおりでおかしいと思った!だってアスカ様ってば、ツンデレハイスぺなのにちょっとなんていうか箱入り息子で陽とのこと疑わないでしょ?だからあんな主人公に嵌められちゃって断罪されちゃうんだし。そこが可愛かったのに!俺が守ってあげたかったのに!なのに、アンタってばツンデレにしてはなんつーか、わりと常識的だし。意外と優しいしさあ!おまけにそんなヤツくっつけちゃって!断罪だってサクサクっと回避してレオン殿下にも好かれまくってるし!どう考えてもおかしいじゃん?!でもそれって俺が転生したせいで変化があったのかな、って思ってたのに!思ってたのに!まさかアンタも転生者かよおお!それに、なんだよそいつ!前世からくっついてきた?そんなのアリ?絶対に敵わないじゃん!運命じゃんそんなの!ズルいよ!ずる過ぎるでしょ!!人間じゃないってチートがすぎるし!従魔なんて完全にあのゲームとは別もんじゃん。別ゲーじゃん!俺が転生したせいで変わったんじゃない。このゲームを変えたのはアンタたちだったんだ。じゃあなんで俺、こっちに来たんだよおおお!何したらいいんだよおおお!」ガクリと崩れ落ちて床ドンしながらの弾丸トーク。「……エリオット、お前……自分のこと『俺』って言うんだな。そっちが素か」「え?!ここ、慰めたり謝ったりするところじゃないの?!ひっかかったの、そこ?!そんなことはどうでもいいでしょうがっ!」「確かに。アスカ、ちょっとくらい慰めてやれよ。なんつーか、不憫」「お前の慰めなんぞいらねえんだよっ!俺は!アスカ様、いや、アンタに慰めて欲しいの!偽アスカ!慰めろ!!」「……良かったじゃねえか。俺が本物のアスカだったら、断罪を回避したらお前なんぞごみクズみたいに捨てているぞ?

  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   父上、キレる3

    アスナにも手伝わせて二重三重に結界を張り終えれば、そのタイミングで父上が現れた。「火急の話を聞いたが、何があった?!マーゴットには内密にということだが、彼女に関して何かあったのか?」既に魔力が駄々洩れだ。初めて父上と対面したエリオットが「ひえ…!」と小さく叫び、身を震わせている。仕方ない。さりげなくエリオットを背に庇い、父上の圧を遮断してやった。「アスカ。後ろに隠したのはなんだ?そ奴が何か関わっているのか?」ブワッ!明確な殺気がエリオットに向かって放たれた。庇ってやったのに、無駄だったようだ。エリオットはもはや声すら出ず、蛇に睨まれた子ネズミのようにブルブルと震えている。

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-26
  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   エリオット

    エリオットもそれに気づいたようだ。「お気遣いありがとうございます、アスナ様。では、遠慮なくそちらに座らせて頂きますね?宜しくお願いいたします」にこり、と笑う表情はとても可憐なのだが、チラリと俺に視線を寄越して目を細めた姿に一瞬だけ肉食獣の気配を滲ませる。あえて俺にだけ分かるように。うん。やはり面白い。従順なだけの犬よりよほどいい。そんなところまでアスナにそっくりだ。「いいな。……実にいい」思わず口にした俺に、アスナがしかめっ面をした。「アスカ、あいつに近寄るなよ?頼むから余計なことは考えるな。アイツは鬼門だ。俺だけにしておけ」机の下で俺の足を蹴るアスナ。その足を遠慮なく

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-24
  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   レオンからの連絡

    結局、アスナが部屋に軽食を運んでくる、ということで落ち着いた。腹は減っていないと言っているのに「お前はもっと食うべきだ。やせすぎ」とアスナが譲らなかったのだ。俺はベッドの上に座り、アスナが手に持ったサンドイッチを「あーん」で食べさせられるという辱めをうけた。こんなことならさっさと食堂に行っておくのだった、と後悔したが後の祭り。全く今日はなんという一日だ!翌朝、両親や皆に引き留められるまえにさっさと学園に戻ろうと荷物を纏めている俺に、アスナが特大の爆弾を落とした。「見なくていいのか?」「?何をだ?」「あー……侯爵のコレクション。結構な量があるが……どうする?持ってく?それともここに

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-29
  • 悪役令息に転生した俺は、悪役としての花道を行く…はずだったのに話が違うぞ⁈   不測の事態2

    この屋敷は単なる貴族の別邸ではない。そもそも、この部屋はおかしい。部屋に窓が全くない上に、このベッドの置かれているのも普通ではありえない位置なのだ。通常ベッドは部屋の奥か隅に置かれることが多い。手前にソファや椅子、テーブルなどを配置し、奥にベッド、もしくは寝室に通じる扉、左右のどちらかにバスとトイレ等の洗面、更に追加で衣装部屋、というのが一般的な私室となる。寝室と居室を兼ねている場合も同様。寝室に通じる扉の無い分部屋は広くなり、奥にベッド、ということになる。稀に中央

    last updateDernière mise à jour : 2026-04-04
Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status