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第11話

Author: 有限宇宙
律の目は悔恨に満ちていた。

「ごめん、俺は最低だった。以前、お前に……俺は……」

私は微笑み、顔にかかった前髪を払いながら、目尻の涙を拭った。

「いいの、もう過去のことよ。

入院している間、色々考えたわ。私たち、お互いに手放すべきなのよ。

あなたは執着を捨てて、私は過去を捨てる。人はいつだって前を向いて生きなきゃいけないもの。

あなたは確かに私を傷つけたけど、感謝もしてる。子供をくれて、私にまた自分の家族を持たせてくれたから」

律は顔を背け、気まずそうに言った。

「これから、一条家の子供はこの子だけだ。分かってるな?」

私は頷き、言葉を選んで言った。

「あなたが子供に会うのを止めるつもりはないわ。でも、親権は絶対に私が持つ。これだけは譲れない」

律は頷き、真剣に私を見つめた。

「実は俺も考えたんだ。俺は……お前に感情がないわけじゃない……でなければ、あの時飛び出したりしなかった……

紬、もう一度チャンスをくれないか?今度は必ず大切にする。お前と、子供に、完全な家庭を……」

私は少し考え、最後には首を横に振った。

「やめておくわ、律。私たちは合わないのよ」

律は黙って頭を垂れ、逃げるように車椅子を操作して出て行った。

ドアを出た直後、男の抑えきれない泣き声が聞こえてきた。それは次第に大きくなっていった。

退院後、私の反対を押し切り、律は私が住むマンションの全室を買い取り、最高のチームを雇って私と赤ちゃんの世話をさせた。

彼は毎日大竹さんと一緒に赤ちゃんの世話を学び、すっかり献身的な良いパパになっていた。

莉子の消息を次に聞いたのは、二年後だった。

ひき逃げの運転手が捕まり、彼女を自供したのだ。

莉子が「一条夫人」の身分を利用して殺人を依頼したことが明るみに出ると、彼女は誰からも非難される嫌われ者となった。

二年間逃げ回った末、ほとぼりが冷めたと思って国外逃亡を図ろうとしたところ、空港で拘束された。

終身刑。一生反省するには十分な時間だ。

……

遊園地にて。息子が小走りで近寄ってくる。

律が後ろから手を差し伸べ、優しく注意する。

「ゆっくり走れよ」

私は水筒を差し出し、律にもボトルを渡した。

彼は恐縮して受け取り、媚びるように私に聞いた。

「紬、見てくれよ。こんなに頑張ってるんだ、いつになったら正式に『登用』
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    律の顔が青ざめた。失言に気づいたようだ。「もうやめよう……家に帰ろう……」家?私は笑って首を横に振った。「いいえ。私にはもう家なんてないわ。あなたの奥様が家で待ってるでしょう。あなたたちにはこれから子供ができるわ。この子は……あなたが以前約束した通り、私を憐れんで恵んでくれたものだと思っておくわ。私も子供も、二度とあなたのそばに戻らないし、一条家のお金を一円たりとも欲しがったりしない。心配なら、今ここで親子関係断絶の合意書を書いてもいいわよ。どう?」私の提示した条件は、どれも律にとって有利なものばかりだった。しかし彼は顔を強張らせ、しばらく言葉を発しなかった。彼は私の手首を強く掴み、威圧的に言った。「どうすれば帰ってくれるんだ?全財産をお前に渡せとでも言うのか?あまり欲張るなよ!」私は笑った。涙が出るほど笑った。「一条律、あなた全然成長してないのね。いつまで経っても、女に対して金の話しかできないの?あなたの世界では、何でも値札がついてるの?感情も、子供も、私も?何よ、あなたのその財産じゃ、お友達と新しい賭けをするには足りないの?一条律、お金は万能じゃないわ。私があなたから離れたのは、お金のためじゃなくて、もうあなたを愛していないからよ」律は信じられないといった様子で後退した。ありえない。昔、彼に金がなかった時、莉子は彼を捨てた。誰もが彼に言った。金がないからだ、金があればすべてが手に入ると。その後、彼は成功した。金で言うことを聞く妻を得て、莉子も戻ってきた。なのにどうして、彼女は金が万能じゃないなどと言うのかっと、律は思っている。私は彼の困惑を無視し、彼を避けて車道へ歩き出した。大型トラックがスピードを上げて突っ込んでくる。避けきれない。ぶつかると思った瞬間、強い力で突き飛ばされた。張ったお腹を抱えて起き上がると、律がトラックに数十メートル引きずられ、長い血痕を残しているのが見えた。よろめきながら駆け寄り、彼のそばに跪く。彼の口がパクパクと何かを言っている。彼の下半身から絶え間なく溢れ出る鮮血を見て、巨大な窒息感に襲われ、私はその場で気を失った。……手術室のランプが一晩中点灯していた。早産した私が分娩室を出たのは夜だった。律の秘書が駆けつけてき

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