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6話

مؤلف: 東雲桃矢
last update آخر تحديث: 2025-12-27 17:55:01

 1歩あの家から離れる度に思い出すのは、優しかった成也との思い出。

「ずっと大事にするから」

「誕生日おめでとう。君を産んでくれた両親に、心から感謝してるよ」

「結婚しよう。俺達なら、きっといい夫婦になれる」

 今となっては、すべて嘘っぱちの言葉。分かっていても、幸せだった記憶が引き留めようとする。

「馬鹿だな、私」

 立ち止まり、ため息をつくのと同時に、何者かが後ろから明里に抱きついた。驚きのあまり、声も出ない。

「へへ、捨てられたんだろ? 俺が慰めてやるよ」

「い、いや!」

 男の手が明里の体を這いずり回る。

 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!

 必死に身を捩るが、男は離れない。むしろ更に強く抱きつき、明里の耳を舐める。

「ひっ!」

「へへ、たまんねぇな。もっと聞かせろよ」

 男の手が、ブラウスのボタンに伸びる。

「や、やめて……!」

「なにしとんのや!」

 ドスの利いた低い声が聞こえるのと同時に、男が引き剥がされる。茶髪の美丈夫が、男を投げ飛ばしていた。

「恥を知れ」

 美丈夫は伸びてる男に吐き捨てるように言うと、明里に駆け寄り、抱き起こしてくれた。

「大丈夫か、明里」

 美丈夫のぬくもりに安堵して気が抜け、意識を手放す……。

 明里は夢を見ていた。成也がまだ優しかった頃の夢を。

 遊園地に行ったことがないという明里を、遊園地に連れていき、たくさんはしゃいだ。懐かしい記憶。

「子供ができたら、また来よう」

 将来をほのめかすような言葉に、胸が熱くなったものだ。

「ん……」

 目を覚ますと知らない部屋にいた。高級な調度品が並ぶ部屋には、生活感が感じられない。どこかのホテルだろうと推測する。

 上体を起こして見回すと、自分がベッドに寝ていることに気づく。服はシルクのパジャマになっていた。

「いったい、誰が……」

 困惑しているとドアが開き、若い女性が入ってくる。女性は明里を見ると、目を丸くし、それから嬉しそうに笑う。

「旦那様、明里さんが目を覚ましましたよ!」

 女性は大声で叫びながら、部屋から出ていく。

「だ、誰……?」

 残された明里は、ぽかんとドアを見ることしかできない。

 ドアは再びすぐに開かれ、先程の女性と美丈夫が入ってくる。さっき助けてくれた人だと気づくと、明里はベッドから出ようとする。

「ゆっくりしとって」

 美丈夫は関西訛りで、人懐っこい笑みを浮かべながら明里を制する。明里はベッドに入り直すと、美丈夫を見上げた。背が高く、肩幅もがっしりしている。高級スーツを着ているが、厭味ったらしさなどはない。顔つきは優しく、目元が母に似ている。

「あの、あなたは……?」

「まずは自己紹介からせへぇんとな。俺は神宮寺涼。君の兄や。お兄ちゃんって呼んでくれてもええんやで」

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