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第7話

Author: 石見綾乃
母が息を引き取ってから、私は一度も泣かなかった。

葬儀の手配も、役所への届け出も、必要なことはすべて自分で済ませた。叔父が何度も泣き崩れて動けなくなるたび、そばで支えて声をかけたのも私だった。

周りからは、気丈だとか、しっかりしているとか、何度も言われた。

でも、強かったわけじゃない。

母が亡くなったことを、まだどこかで受け止めきれずにいた。ただ悲しすぎて、涙さえ出なかっただけだった。

葬儀を終えて3日目、私は誰もいなくなった実家で、母の遺品を整理していた。

箱の底から、編みかけの赤いセーターが出てきた。次の正月に私が帰ってきたら渡そうと、母が少しずつ編んでいたものだった。

首元はもう少しゆったりさせたほうがいいかしら――そう言いながらセーターを編んでいた母の姿を思い出した。

セーターを手に取ると、柔らかな毛糸が指先に触れた。

その瞬間、ずっと張りつめていたものが切れた。

「お母さん……っ」

セーターを胸に抱きしめたまま、私はその場に崩れ落ちた。

一度あふれ出した涙は、なかなか止まらなかった。息が苦しくなるほど泣き、声も出なくなる頃には、どれだけ時間が経ったのか
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