LOGIN-②変化、そして異様-
春休みが過ぎて守たちは2年生になった。
圭「今年も同じクラスといいね。」
守「嗚呼・・・、そうだな。」 圭「私、やっぱり出席番号1番かな」 守「そりゃそうだろう、名字が赤城だもんな。」そんな何気ない会話を交わしながらゆっくりと学校へと歩を進めた。
学校につく前に浜谷商店の跡地に向かった。お店はすっかり無くなってしまい、そこには途轍もなく大きな豪邸が建っていた。豪華そうな彫刻の表札の名前は「貝塚(かいづか)」。
守は「ふーん」と思いながら学校へと足を向ける。そんな守を圭が血相を変えて呼んだ。圭「大変!早く来て!」
守たちは校門へと走った。
圭「学校名見て!!」
守たちは目を疑った。場所を間違えたのかとも思った。
『私立 貝塚学園高校』
すっかり変わってしまっている。しかし校門に立っているのは確かに守たちの1年の時の担任だった湯村(ゆむら)先生だった。
湯村「おはよう、どうした、早く入りなさい。遅刻するぞ。それとも転校でもするのか?」
湯村先生は冗談が好きだった、ただ決して面白かった訳では無かったが。しかし先生は生徒からの人気はあった。守も圭も先生が好きだった。湯村「ほら、早く体育館に行きなさい。全校集会の後クラスが発表されるからな、楽しみにしとけよ。」
言われるがままに体育館へと入る。何故かステージには玉座のような椅子が3つ置かれていた。守は友人の空口琢磨(からぐち たくま)を見つけ声を掛けた。
守「おはよう、どうなってんだよこれ。」
琢磨「よう、守か。俺も何も知らなくてよ。それに何故かこんなジャージを渡されたんだが。」そう言えば体育館に入る直前に名前を確認された後、守も圭も灰色のジャージの入ったビニール袋を渡された事を思い出した。周りを見回すと何人かはそれに着替えている。胸元には番号が書かれていた。まるで刑務所だ。よく見たら壁に「袋に入った服に生徒は全員着替えること」とあった。ちらほらと着替えを済ませた生徒が増えてきている。
時間が経過し先生の始業式開始の号令があったので全員集まった。ただクラスが分からないので皆まばらに散っている。
湯村「そのままでもいいから聞いてくれ。皆気付いていると思うが今日から本校は『私立 貝塚学園高校』となった。新しく理事長に就任された貝塚社長の挨拶がある。よく聞くように。理事長先生、お願いいたします。」
理事長「ありがとう。皆さん、おはようございます。この学校を買い取り今日から理事長に就任致しました貝塚財閥の貝塚義弘(かいづか よしひろ)です。どうぞよろしく。 えー、これから私が理事長を務めるにあたり、経費削減を兼ねた改善等を施し、この学校のレベルを最大限に引き上げようと思います。それにあたり、色々と廃止していこうと思います。 まずはじめに「修学旅行等のイベント」です。皆さんにはこれから毎日徹底的に勉学に励んで頂くために高校時代という時間を最大限に使いたいので廃止することにしました。勿論、これは経費の削減を兼ねてます。 次は「年4回の長期休み」です。この間に思い出作りをしようと勉学がおろそかになる生徒が毎年多数存在しています。これのお陰でどれだけ平均学力が下がったか。なので廃止させて頂きます。 続けて「昼休み」です。これも時間の最大活用もありますが、実は脳の回転は満腹時より空腹時の方が良いとされていまして、そのことを活かすために学校敷地内を「飲食禁止」とします。なので、食堂や購買でのパンの販売、自動販売機を全て廃止します。勿論持ち込みも禁止です。校内全域に監視カメラやセンサーを設置していますので隠しても無駄ですよ。 そしてこういった「式典」も全て廃止します、時間が勿体ないですから。体育館に全員が集まるのは今日が最後だと思ってください。その上で授業時間を1コマ60分にするとお伝えしておきます。各時間における休み時間を5分としますので移動等に使ってください。 それと大学入試共通1次試験に必要な「6教科8科目」以外の授業も廃止していきます。徹底的に大学入試対策を行っていくためです。 最後に「部活動」も廃止します。これは近日問題になっている教員の先生方の残業問題対策のためです。時間外労働を徹底的に削減して先生方に安心してお仕事して頂く為です。それにクラブハウスの維持費もかかるし。 さて、浮いた経費を少し使って有名進学塾の講師の先生方をお呼びし、朝の7:00の早朝補習と夜の9:00までの放課後補習を実施していきます。 では・・・、今日はこれで解散としますが、この後始まるのはホームルームではなく補習ですのでくれぐれもご出席いただきますよう。 これからは宿題も増加すると思われますのでご容赦下さい。 さてと今から1時間後にクラブハウスを取り壊しますのでそれまでに私物を各々の部室から避難させておいて下さい。解散!」その後「クラスを発表します!!」の一言で横断幕が貼りだされた。生徒の名前の横にはジャージの胸元の番号が書かれている。
圭「守、今年も同じクラスみたいだね、ただ・・・。」
守「ん?どうした?」明らかに圭の様子がおかしい。
圭「出席番号1番じゃないみたいなんだ。」
ふと横断幕に目をやると2年1組の所に守達の名前があり、名前順では1番上のはずの圭の名前の上に「貝塚結愛(かいづか ゆうあ)」の文字がある、それに自分たちのように「番号」がない。不自然すぎる。
そんな中、急いで私物を取りに行く沢山の生徒たち。
これから守たちは、いや、この学校はどうなっていくのだろうか。不安を胸に教室に向かった。
-435 ピンチと言えるの?- メラルークが回想話に夢中になっている間に時刻はランチタイムに差し掛かろうとしていた、その間に豚カツの横に添える為のキャベツをしていた様だが緊急事態が発生した(と言っても結構しょうも無いのだが)。ピューア「お父さん・・・、手元全く見て無かったの?」 どうやら娘を心配させてしまう位の事態だった様だが傍らから見ていただけの俺からすれば何よりも安全第一、「怪我人が出なけりゃ大丈夫じゃ無いか」とついつい言いたくなってしまう。 ただ店主は自分の意図するがままに仕事を進めていたはずだ、きっと今行っている事も何かしらの理由があったに違いない(と思いたい)。メラルーク「な・・・、何がだよ・・・。」ピューア「「何が」って・・・、こっちが聞きたいの。ほら、ちゃんと手元のキャベツを見なきゃ。」メラルーク「何言ってんだよ、この店を開いてからずっとキャベツは俺自身が切って来たんだぞ。手元なんて見なくても千切りなんて余裕だ・・・、ってあらぁ?」ピューア「お父さん、どうすんのそれ・・・。」 マーマンの目の前には当然の様にキャベツが山盛りとなっていたが少しの(いや明らかな)失敗が発生していた様だ、ピューアが心配するのも無理は無いな・・・。メラルーク「参ったな・・・、気付かない内に全部刻みキャベツにしちまったよ・・・。」 そう、店主は手元を全く見ていなかったので気付かぬ内にトンカツの横にふんわりと盛る用の「千切り」では無く餃子の餡に混ぜ込む用の「刻み」にしてしまった様だ。これでは揚げたてのトンカツや鰺フライの横に添えることが出来ない。 娘は調理場で数秒程考え込んだ後、応急処置の提案する事に。ピューア「一先ず本日限定のコールスローサラダとして出してみようか、それだったら刻んだ状態でも問題無いと思うけど。」メラルーク「そうだな・・・、確か冷蔵庫の中に丁度ドレッシングがあったはずだ。」 ピューアの提案通りに動いた結果、偶然使ったドレッシングが美味かったからか、それとも「本日限定」の物珍しさが目を引いたのか食事客からの評判は良かった様だがまだ安心は出来無さそうだった。ピューア「まだ余りそうだね・・・、どうしようか・・・。」 流石にディナータイムでコールスローサラダを食べるお客は少ないだろうというのが親子の見解だった、再び頭を悩ませる店主達の脳
-434 やっとか・・・- 俺自身も人の事を言える立場では無いのだが短い(?)間に「両面をしっかりと硬く焼いた目玉焼きにソースをかけたり炊き立てご飯の粘りや甘みを楽しめないと嫌だ」という近所に住む子供以上の好き嫌いっぷりを発揮したソンを横目に一同は黄身が半熟に焼けた大きな目玉焼きの乗った土鍋ご飯を楽しむ事に、1度口にした一同の舌や胃袋を一瞬にして掴んだその味はその濃厚さが故に醤油などを必要としない位の物だった様だ。 だがしかしそれ所では無い事態が発生した様だ、そう、もうすっかりお馴染みとなってしまった父親によって。ソン(当時)「ナイリ、そしてペンネちゃん・・・。俺前言撤回するわ、半熟の目玉焼きって何も付けなくても良いんだな。こんなにも美味いとは今まで全く知らなかったよ。」 正に「無知の知」という奴か、どうやら鳳凰(フェン)より与えられし恵みの影響により好き嫌いをも変えてしまった様だ。ソンはまるで初めて焼いたマシュマロを食べた子供の様にトロトロの黄身がかかったご飯に食らいついていた、それ位に美味い卵を俺も1度は食ってみたい。ナイリ(当時)「父さん・・・、いくら何でも大袈裟じゃ無いか。だってまだ半熟な上にソースや醤油もかけていないんだぞ?」 まだ最初の1口の味を知らない息子(ナイリ)は未だに父親(ソン)の言葉を信じることが出来ていなかった、「たかが目玉焼き丼で・・・」と誰もが言いたくなる雰囲気になってきたがどうなんだろうか。 未だ疑いの目を持ってしまう俺は傍らから見る事しか出来なくて悔しかった、是非とも食えない俺の代わりにじっくりと味わってその味を伝えて欲しいものだ。ナイリ(当時)「嘘だろ・・・、大きくて味が濃いだけじゃ無くて何処かクリーミーだ・・・。」 ナイリの表現から一般的に市販されている卵からかけ離れた味だという事だけは伝わった、新しい経営者はこの味を沢山の住民にも伝えていきたいと即座に考え始めた様だ。ナイリ(当時)「この卵絶対売れると思うけどちゃんとした根拠が欲しいな、君はどう思う?この卵かけご飯は口に合ったかな?」 やはり「子供の舌は正直」だ、まずは素直な味の感想を聞くべきだと思ったナイリ。子供「こんなの初めてだよ、おうちじゃ絶対食べれない!!」 先程まで焼きそばを欲しがっていた子供は箸がずっと止まらないでいた、どうやらこの目玉焼き
-433 大人だろ?- 新婚の妻(シルヴァー・エルフ)が拘りの土鍋で炊き上げた白飯の上に焼けたばかりの目玉焼きを載せた時、義理の父(レイブン)は少し不満げな表情を浮かべていた。何とも美味そうな光景だと言うのに何処が気に食わなかったのだろうか、そしてこれを火種に喧嘩が勃発しないと良いんだが(頼むから平和的に解決してくれよ)。ソン(当時)「なぁ、それだと炊き立てのご飯が卵の味に染まっちゃうじゃ無いか。」ペンネ(当時)「そうだよ?美味しいから良いじゃん、何か悪い?」 俺の記憶が正しければこの2人の仲は良好だったはず、それが「目玉焼き」をきっかけに悪くなるなんて思いたくもない(と言うかくだらなさ過ぎる様な・・・)。ソン(当時)「ほら・・・、炊き立てのご飯って特有の粘り気とか甘みがあるもんだろ?俺はそれも楽しみの1つにすべきだと思うんだよ。」ペンネ(当時)「だったら初めの方は目玉焼きを避けてご飯を取れば良いじゃ無いの、黄身が付いていない所なら100%ご飯の味だよ?」 我々が住んでいる元の世界(地球・日本)において、今(2025. 2 .26)現在「世界初のインスタントラーメン」として発売された「あの商品」の上に卵を落として食べる人も少なく無いだろう(だってそういうCMがある位だからね)、それでも周囲の部分から麺を拾い上げると黄身の影響は全くもって出ていないイメージがある。 しかしこの目玉焼きでは「大きな」障害があった、もうお分かりの事だと思うので「乗せる前から分かれよ」とどうしても言いたくなってしまうのは俺だけだろうか。ソン(当時)「あのさ・・・、逆に聞くけどどうやって?」 黄身の周りを器用に切り取ったつもりではいたが目玉焼きが大き過ぎて白飯が上から見えていない状態だったのだ、ただこの問題に関しては話し合いが長すぎて痺れを切らした近所の子供が解決(?)してくれた様だ(実は大人より子供の方が器用で頭が良かったりするのかも知れない)。子供「もう!!早く食べようよ!!そんなのこうすれば良いじゃん!!」 子供が箸で卵を崩したのでその真下は黄身で染まってしまった、しかし少し掘ったら中にはまだ真っ白な状態の炊き立てご飯が残っていたのである(と言うかどうして先に気付かなかったんだろう)。ソン(当時)「あらま、そう言う手があったか!!君(きみ)、頭良いじゃ無いか!
-432 何でそうなっちゃうの・・・- 父親(レイブン)の意見を採用した新婚夫妻は早速2人で鉄板を持ち上げて出来上がった目玉焼きを皿へと滑らせる事に、ただ何となくだけど何と言うか・・・、逆じゃね?ソン(当時)「いいか?慎重にだぞ、慎重にだぞ?折角綺麗に焼けているんだから形が崩れない様にな?」 何となくだが「慎重に」という言葉に別の理由がある様な気がしたんだが・・・、それってまさか傍らで見ていた俺だけ?ナイリ(当時)「分かっているよ、でも黄身が半熟のままの内に食べたいから急がないと。」 決して急ぐ(焦る)必要は無いと思われる案件だと思ってしまう今日この頃、でも早くしないとお腹を空かせた子供が泣きだしちゃうぞ(そんな事は無いと願いたいが)?子供「ねぇ・・・、まだなの?折角の白いご飯が冷めちゃうよ?」 俺の記憶が正しければ一家が白飯を食いまくっていたのは前日の話だった様な気がする、確か最終的にはペンネが残りを全て攫ってしまったはずだが?ペンネ(当時)「いや創造主さん、折角の米なんやけんたった1食びゃあで食う訳無いでしょうが。」 まぁ・・・、おまはんがそう言うなら我がは別に構へんけど・・・、って何で異世界に存在するシルヴァー・エルフのあんたが阿波弁になってんねん!!ペンネ(当時)「まぁ・・・、それは良いとして。」 待たんかい、それは俺の台詞だろうが!!ちゃんと台本読み込んでなかったのかよ(多分俺の知らない所で渡されているはずなので)!!ペンネ(当時)「読み込んでましたよ、でもついさっきADさんが来て「ここの台詞は監督がボケにしたいそうなのでペンネさんに言って欲しい」と言われたんです!!」 監督って誰なんだよ・・・、いくら何でも俺の知らない所で話がおかしくなり過ぎていないか?もういいや、話を進めるぞ? ペンネによるとどうやら鳳凰からの「贈り物」であった米は大切に食べていく為に小分けにしていた様だ、確かにしっかりと育てた(?)米を1食で食べてしまうのは勿体ない。ソン(当時)「ペンネちゃん、いつの間に白飯なんて炊いていたんだよ?」ペンネ(当時)「折角美味しそうな目玉焼きが焼けているんだから土鍋で炊いたご飯に載せて丼として食べたいじゃない、それにおかずだけの食事なんて寂しいでしょ?」 ペンネの言葉から察するに、新婚夫婦の食の好みは似たり寄ったりと
-431 大人だろ?- その場にいたシルヴァー・エルフは上級鳥獣人親子の発言を受けてため息をついていた、決して「くだらない」と言うべき会話では無かったと思うが何となく気持ちも分からなくもない。 そんな中で鉄板の上では蒸し焼きとなっていた料理(と言うべきだよな、うん)が「その時」を迎えようとしていた、白身が程よく色づいて真ん中の黄身は箸を入れた瞬間にトロっと蕩けそうな半熟となっている。一応俺個人はこれで「出来上がり」と言って良いと思うのだがやはり黙っていない者がいた様だ、近所の子供もずっと待ってくれているのにいつ「頂きます」が出来るってんだよ・・・。ナイリ(当時)「よし、黄身が良い具合の半熟になったみたいだからこれで出来上がりだな。でもこんなに大きな目玉焼きを載せる事が出来る位の大きな皿ってうちにあったかな・・・、ペンネはどう思う?」 どうやらこの流れからしてナイリ自身は「半熟派」の様だが今はそれ所では無いみたいだ、ただペンネはこの家に嫁いでまだ間もないので親子ほど家に詳しくないと思うのだが先程まで言い争いをしていた父親には何となく聞きづらい状況に・・・(なって無いと思うよ)。ペンネ(当時)「別にお皿じゃ無くても良いんじゃない?」ナイリ(当時)「「皿じゃ無くても良い」ってどういう事だよ、鉄板から直食いは流石に火傷しちまいそうだぞ?」 おいおい、俺も気になる事を言ってくれるじゃねぇか。どういう事か聞こうか?ペンネ(当時)「ほら、私がここに引っ越して来た時に持って来たお盆があるでしょ?あれにラップかアルミホイルを巻いて載せれば良いんじゃ無いの?」ナイリ(当時)「ああ・・・、成程ね・・・。」 よく考えてみればテレビ番組で偶に見かけるデカ盛り料理も皿ではなくお盆に直接載っている場面を見た事がある様な気がする、ただ問題が1つ浮上するんだよな・・・。ナイリ(当時)「確かに良さそうな案だけど、黄身が出て来ちゃったらラップを巻いていても結構汚れちゃうんじゃないの?ほら、特にラップ同士の境目から染み入っちゃうと元も子もない様な気がするんだけどな。」ペンネ(当時)「まぁその時はその時よ、お盆ごと洗っちゃえば良いじゃない。」 そんなに深く考える事では無い、すぐに解決する様な問題では無いかと夫を揶揄する妻。確かに「そりゃそうだな」と俺も納得したいと思っているが黙っ
-430 そっちかい!!- 子供との約束を破る訳にはいかない、そう思いながら持参してきた鉄板にバターを敷いて火入れする上級鳥獣人(バルタン)は妻(シルヴァー・エルフ)が持って来た水の位置を確認しながら卵を割入れた。先程初めて見た時もそうだったがやはりその大きさに驚きを隠せない、この目玉焼きだけでパーティーが出来そうだ。子供「大きいね、この何の卵?」 何処からどう見ても鶏卵に見えない大きさ、近所の子供がこう聞いてもおかしくは無い。ナイリ(当時)「一応ウチで採れた卵なんだけど・・・、レイヤーだからね?」 「子供に「レイヤー」と言った専門用語を言ったって分かる訳が無いじゃ無いか」と隣にいたペンネが引き気味になってしまっている中、鉄板に乗った卵の白身が段々色づいて来た。 ただ現時点で聞くべき事かどうか分からないが、さっきから気になってたんだけど皆醤油はいらないの?ナイリ(当時)「創造主の癖に何も知らねぇの?馬鹿だな、本当に新鮮な卵は何も付けなくても濃厚なその味だけで楽しめる位に美味いんだよ。」ペンネ(当時)「ナイリ、いくら何でも失礼だって!!」 そうだぞ、(自分で言うべき事では無いが)一応俺偉いんだぞ?ナイリ(当時)「悪かったよ、ただ創造主さんは目玉焼きに醤油を必ず付けるってのか?」 いつもそうだよ、目玉焼きはご飯に載せて醤油をタラリだけど?ナイリ(当時)「何でだよ、何も付けなくてもコクのある黄身の味だけで楽しめるだろ?!」 そっすか・・・、ナイリさんって本当に卵が大好きなんですね・・・。一先ず話を進めても良いでしょうか、先程から結構な分数が経ったような気がするんで・・・。子供「ねぇ・・・、いつ水を入れるの?焦げ付いちゃうよ?」 本人の見た目からはまだ小学校に入って間もない様に思われるがもう既に調理実習で目玉焼きの作り方を習ったと言うのだろうか、この世の中「人は見た目に寄らない」って言うもんな・・・(この子供が人間だとは限らないが)。ペンネ(当時)「そうだね、早く蒸し焼きにしなきゃ。」 急いで水を加えて蒸し焼きにしていくペンネ、ただこの調子だとこれからの新婚生活が心配である(おいおい、大丈夫かよ)。そんな中、そう言えばさっきから黙りこくってるものが約1名いなかったか(別に忘れてた訳じゃ無いよ)?ソン(当時)「まさか卵を焼いただけでこんな
-64 駐車場探しから始まった商売話- 電話の向こうにいる焼肉屋の板長の厚意により中型車も置ける駐車場を借りる事が出来た好美、ただとある懸念材料を思い出していた。 好美のマンションとヤンチの店はそれぞれ街を挟んで反対側に位置している、それが故に利用者としての目線から考えると少々不便さがあるのだ。大家の声色から心中を読み取った板長は、好美を安心させようとこう伝えた。ヤンチ(電話)「大丈夫ですよ、うちの店の駐車場と言っても今建設している2号店の物の事ですから。」 実は数か月程前から弟であるケデールの肉屋と業務提携を結ぶ事になり、その第一歩として好美のマンションの2つ隣に店を構える事になっ
-59 斬新な登場- 好美は冗談のつもりで「同棲してみれば?」と言ったつもりだったが、久々の再会を果たした2人はその場の流れからかなり真に受けていたみたいだ。美麗「好美、いくら何でも「はい、そうですか」でスタート出来る物じゃないと思うんだけど。」秀斗「そうだよ、荷物の移動は『転送』や『アイテムボックス』で何とかなるとしてもバルファイ側の不動産屋にどう説明するんだよ。」 冗談ではなくなってきたと察した好美はほぼやけくそ気味の勢いで話を進めだした。好美「じゃあ、そのバルファイ側の不動産屋に話をつければ良いって訳よね。」美麗「確かにそうだけど、すぐに行ける所じゃないでしょ。」 貝塚財
-㊺ きっかけは一服- 恐れながら女神(というより古龍)に質問した好美には気になる事があった。好美「あのセリー神様、どうして美麗(メイリー)はこの世界に来ることになったんでしょうか?」 今までの転生者達のパターンでは、映像付きで説明がされていたが、神々の世界でも親子の間で違いがあるらしく・・・。セリー「そうですね・・・、美麗(みれい)さんは覚えてらっしゃいますか?」美麗「えっと確か・・・。」 美麗が言うには降雪は無かったものの、コート等を羽織らなければ外を歩けない2月の事だった。 この日美麗は会社の会議で使う資料を自室に忘れたのでランチついでに家(というか店)へと取りに帰ってい
-㊳ 郷土の味と株主の大好物- 宝田親子がクロンの部屋に行っている頃、好美は自分も何か用意しないとと思い「暴徒の鱗」に注文する為、内線電話の受話器を手に取った時にふとある事を思い出した。好美「そうだ、ビールのアテにはあれよね。」 好美は『アイテムボックス』から薄くて白いトレーを取り出してラップを破り、円形の中身をまな板の上に乗せて細長く切っていき、アルミホイルを敷いたオーブントースターで焼き始めた。好美「これこれ、良い匂いがしてきた。」 好美が学生の頃、母・瑠璃が仕送りとして送って来ていた荷物の1つを『転送』と『複製』を繰り返して酒の肴にしていた。勿論、元の世界で夜勤をしていた頃の