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4. 「異世界ほのぼの日記2」⑯

Author: 佐行 院
last update Last Updated: 2025-05-20 10:21:54

-⑯ 業務提携における提案-

 大将・シューゴは不思議で仕方が無かった、どうして1国の王が拉麵屋を経営して自分の店と業務提携を結ぼうと考えたのだろうか。

 前者の疑問は本人の発言で解決したがどうして自分の店と?

パルライ「理由はシンプルですよ、プライベートで数回食べに来た時全てのメニューが美味しかったので。実は丁度、この国に支店を出したいと思っていたのですよ。」

シューゴ「お褒め頂き光栄でございます。」

 1国の王を前にどうしてもいつもの調子が出ずに腰を低くしてしまうシューゴ、しかも自分達の商品を素直に「美味しい」と言われた事が本当に嬉しくなっていた。その王が自ら業務提携の提案・・・、願ったり叶ったりだ。勿論、断る理由はない。

シューゴ「謹んでお受けいたします。」

パルライ「やめて下さいよ、これからは共同経営者、いや仲間ですよ。フランクにお願い致します。」

シューゴ「では、どういたしましょう・・・。」

 頭を抱えるシューゴ達の前に雑貨屋店長のリッチ・ゲオルが突然現れた、その姿に驚いていたのはどちらかと言えば王の方だ。

ゲオル「こんにちは、明かりがついてたので入ったのですが店やってますか?」

シューゴ「あ、ゲオ・・・。」

パルライ「師匠!!」

 ネクロマンサーであるパルライは偉大なリッチであるゲオルの魔力を受け、必死に魔法の修業をしていた身なのだ。

ゲオル「パルライじゃないか、何でここに・・・。どうやら俺いちゃ駄目な空気だね・・・。」

 その場の雰囲気を察した大魔法使いがすぐにその場を後にしたので2人は業務提携についての話し合いを続けた。

パルライ「えっと・・・、どこまで話しましたっけ?」

シューゴ「これから私達は共同経営者で、フランクに行こうとおうさ・・・、いやパルライさんが丁度仰って・・・。」

パルライ「ははは・・・、フランクになりきれていませんよ。もう私の事を王と思わないで下さい、良ければ呼び捨てでも構いませんよ。」

シューゴ「恐れ多いですが・・・、パルライ?」

 シューゴが試しに呼んでみると目の前の共同経営者はにこやかに笑った。

パルライ「うんうん、これからよろしくシューゴ。」

 それから暫くの間2人の話し合いは続き、いつの間にか2人は昼間から堂々と友達の様に朗らかに呑んでいた。2人共調理場で呑む立派なキッチンドランカーだ。

 提携するに当たってパルライから
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    -⑮要人との業務提携- 渚は考えた結果『複製』というスペルを『作成』してみた、朝シューゴや一秀からその日(オリジナル)の醤油ダレを受け取り必要に応じて『複製』する。これなら醬油ダレのレシピは門外不出のままを保てる。キムチ等の材料も揃えると、渚のアイデアで生まれた人気メニューの「特製・辛辛焼きそば」も無事に作れそうだ。 そんな中、シューゴの電話が鳴った。本人曰く見た事の無い番号の様で、新店の従業員面接の連絡かなとスピーカーに切り替え電話に出てみる事にした。シューゴ「もしもし、シューゴです。」男性(電話)「もしもし、突然のお電話失礼致します。拉麺「暴徒」様のご主人様でしょうか。」シューゴ「はい、そうですけど。」 通話を聞きながら屋台の2号車に乗る女将が冷や汗をかいて呟いた。渚「今更だけど何て店名だい、まぁ本人がバーサーカーだから仕方ないか。」一「性格は全く「暴徒(バーサーカー)」っぽくはないけどな。」 横から声を挟んだ一に驚く渚。渚「あんたいたのかい!!」一「最初からいたわ!!」 そんな2人を横目に通話を続ける大将、どうやら面接以上に大変重要そうな電話らしい。選択を誤れば騒動が起こる可能性がある。 それを察したのは『瞬間移動』してきた光だった。男性(電話)「すみません、突然のお電話失礼致しました。私「龍の鱗」という拉麺屋をやっておりますパルライと申しまして、今回「暴徒」様と業務提携をさせて頂けたらなと思いまして。」シューゴ「パルライさん・・・、どっかで聞いた事があるな・・・。ただね、今業務提携どこ・・・。」光「大将、ちょっと待って!!電話保留して!!(念話)パルライさんお久しぶりです、光です。今「暴徒」のご主人と電話されているのってパルライさんご本人ですか?」パルライ(念話)「お久しぶりです、勿論私本人ですけど。どうされました?」光(念話)「いや、それが分かれば大丈夫です。」 電話を保留させてから目の前で沈黙を続ける光に業を煮やした渚が声を掛けた。渚「光、何をやっているんだい。ずっと黙ってて。」光「ごめん母さん、この電話ただ事じゃないと思ってね。大将、これ提携しないと大騒動になります。理由は後で説明しますから早く!!」シューゴ「わ、分かりました。大変お待たせしました、喜んで業務提携させて頂きます!!詳細は後日・・・。」パル

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    -⑭ 新店舗- 思った以上にあっさりと事が運んだので暫くの間1人ポカンとした表情を浮かべるシューゴの隣で、あたかも自分が主人の様に計画を進めていく渚と新店のオーナーの好美。完全にアウェーな状態になってしまったので調理場へと移動しようとしたのだが。シューゴ「俺・・・、醬油ダレの仕込みを・・・。」渚「何言ってんだい、大将無しにこんな重要な案件を決める訳にはいかんだろ。」 あっさりと渚に腕を引っ張り席に座らされ、しょぼくれていたのだが一先ず思いついた新サービスの提案をしてみる事にした。シューゴ「折角、マンションの真下に店舗を構えるんだから住民の方々限定でお部屋に出前するのってどうかな。勿論、コンビニと同じでビルの内側からも入店出来る様にもした上でだけど。」渚「あんたたまにはいいこと言うじゃないか、見直したよ。」 もう1つの重要事項について決める為、好美が口を挟んだ。好美「あ、あの・・・。オープニングスタッフの採用面接はいつしますか?出来ればコンビニと合同で行っていけたらと思っているんですが。」渚「そうだね・・・、面接についてのポスターを出してもすぐには連絡が来ないと思うから、マンション内の掲示板と街中に数か所貼って1週間後位連絡を待ってみるのが良いんじゃないかね。」 好美はよし、そうと決まれば善は急げだと言わんばかりにポスターを数枚刷って早速マンション内の掲示板に貼っていった。マンションには続々と契約した住民達が引っ越してきている様なのでもう何人かは見ているだろうと思われる、一応コンビニ側の面接を担当する好美と拉麺屋側を担当するシューゴの両方の連絡先を記載して面接希望者を待った。 今回はアルバイトと店長や副店長、そしてナイトマネージャーといったメンバーを募集する。店長と副店長、ナイトマネージャーの面接には「経営にお詳しい方限定」とやんわりと条件を書いておいた。同時に拉麵屋の条件には「調理師免許をお持ちの方」と付け加えてある。理由は2つあり、1つはオーナーとなる好美が経営については全く詳しくないからで、もう1つは好美自身も夜勤での王宮の見回りの仕事に行くので安心して店を任せることが出来る人材を確保したいからであった。渚とシューゴも交えてポスターを何度も何度も読み返して全ての重要事項がしっかりと記入されている事を確認した上で貼りだしておいたから大丈夫だ

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    -⑬ 深夜営業の相談と好美の願望- 席に着いたばかりで全くもって状況を把握できていない好美に渚が今回企てた支店の話をしていると、渚とシューゴが屋台で販売している間に店舗を切り盛りしている光の元上司、いや叔父の一 一秀(にのまえ かずひで)がその場に到着した。渚と同様にシューゴに呼び出されていたらしい。 ここ数年で店舗を一任される様になった一は、店主であるシューゴ自身の一番の拘りポイントである門外不出の「醤油ダレ」を唯一引き継いでいる人間だった。シューゴ「あ、おはよう。」一「おはよう、急な呼び出しなんて珍しいな。何かあったのかい?実は朝の仕込みがまだなんだけど。」渚「おはよう、悪かったね。実は大将がお客さんに要望されて深夜営業を始めようかって言いだしたんだけどね、週2回から始めてみる方向でそれが可能そうな支店を出そうかって話をしてたんだよ。一応この子がその支店のオーナー店主になる予定の倉下好美ちゃんさ、あたしらと同じ転生者だよ。来たばっかりで緊張しているみたいだから仲良くしてやっておくれ。 好美ちゃん、この人は私の旦那の兄で光の叔父の一秀さんだよ。勿論転生者だからあたしらの仲間さね、昔は光の上司だったんだけど今はここの店舗の店長をしているんだよ。」好美「お・・・、お願いします。」一秀「宜しくね、それでどこの予定なんだい?」 何も知らない一秀に街の中心地に立つ好美のビルを指差し、その1階に支店を出すと伝えた。勿論、好美がビルのオーナーだという事も。 それを聞いた一は急に態度を変えた。一「す・・・、すみません。そ、そんな凄い方だとは知らず。」好美「や、やめて下さいよ。あたしここに来て間もないんですから。」渚「こらこら、また好美ちゃんが緊張しちゃうだろ。」一「悪い・・・、申し訳ない。そんでだけど、店舗を出したとしてどうやって深夜営業をやるんだい?夜中にずっと起きて仕事するなんて正直大変だと思うよ。」 すると好美が腕を組み深く考え始めた、コンビニにおいてもそうなのだがやはり経営に関する知識などない。ましてや今回は調理の知識も必要とされている、食品衛生法の観点から出来れば調理師の資格をも持つ者を探し雇う事が必要とされている。 好美は『作成』を利用してコンビニのオープニングスタッフ募集のポスターに今回の拉麺屋の事も付け加え貼りなおした、勿論不動産

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    -⑫ 熱意に応える為に考え直させる- お客さんからの要望に可能な限り応えようとするシューゴの熱意に敬意を表し、提示された案に渚は決して反対をする事は無かった。 ただ熱意があるのは良い事だが深夜営業を行う為の方法を考える事から始める事にした、まず人事的な面はどうするべきなのだろうか。渚「店主はあんただ、あたしゃ決して反対はしないよ。ただあたしらはずっと昼営業でやって来たんだよ、今更深夜営業って言ったってどうするんだい?」シューゴ「無理のない様に週2日のみの営業から始めてみようと思うんだ。」 しかし、渚には引っ掛かる事があった。店を見回しても「従業員・アルバイト募集」と書かれたポスターらしき物は無い。渚「まさかと思うけど、昼間屋台で営業しながらあんたがやるだなんて言わないよね。」シューゴ「うん、そうだけどどうした?」 シューゴだって1人の人間、自らの健康面も考慮すべきだ。渚は決して無理をして欲しくなかったのだ。きっと初めてと言っても過言では位に渚は心を鬼にして説得した。渚「あんたね、馬鹿な事言ってんじゃないよ!!確かにあんたが熱心なのはあたしやレンカルドさんが一番分かってるつもりさ。あたしゃスープや具材への拘りや熱心な気持ちを知っているからあんたについて来たんだ、そのあんたが倒れちゃこの店は誰が守るんだい!!」シューゴ「うん・・・、分かっているけどさ。じゃあ、他に方法がある訳?」 渚は腕を組んで考えた、ただあっという間に具体的すぎると言える最適そうな案が生まれた。一先ず渚は水を一口飲んで落ち着き、一息ついてシューゴに案を提示した。渚「一先ず、あそこにここの支店を出すべきだね。その為にはある人に相談せねばね。」シューゴ「支店なんて簡単に言わないでよ、それに何処に?誰にしてもらうのさ。」 渚は今更ながら即席で『念話』を『作成』し、ある人に声を掛けてみた。渚「ちょっと待ってな、聞いてみるから。これやるの初めてなんだよね・・・。(念話)ちょっと、好美ちゃん今大丈夫かい?聞こえてる?」好美(念話)「その声は渚さんですか?何かありました?」 渚からの突然の『念話』に驚きを隠せない好美、そして目の前で渚が口を紡ぎずっと黙っているのをじっと見つめているシューゴ。シューゴ「ちょ、ちょっと・・・。大丈夫?」渚「ごめん、今いい所だから。(念話)ごめん好

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