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第199話

Author: フカモリ
その時、真琴は何食わぬ顔で彼を一瞥し、穏やかに促した。

「エレベーター、きましたわ」

信行はようやく我に返り、行き場を失った右手をゆっくりと握りしめ、ズボンのポケットに戻した。

二人が前後してエレベーターに乗り込むと、真琴はまた彼を見て尋ねた。

「おじい様の病室、何階ですか?」

信行は淡々と答えた。

「23階だ」

真琴は23階のボタンを押した。信行の動揺になど、全く気づいていない様子だ。

いや、今となっては、気にするつもりさえないのだろう。

間もなくエレベーターが23階に着き、二人が病室のドアをノックして入ると、そこには紗友里も来ていた。

真琴の姿を見て、紗友里は弾かれたように立ち上がった。

「真琴!来てくれたのね」

「紗友里」

親友に笑顔を見せた後、真琴はベッドに近づき、そっと祖父の手を握り、身をかがめて気遣った。

「おじい様、お加減はいかがですか?」

由紀夫は鼻を鳴らした。

「なに、大したことはない。医者が大げさに騒いでおるだけじゃ」

すると紗友里が横から口を挟んだ。

「お酒はダメだって言われてるのに、隠れて飲むからよ。ほら、自業自得じゃない」

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