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第553話

Author: フカモリ
しばらく抱きしめられたまま、真琴はそっとその背中を撫でた。

何か言おうとしたものの、言葉が見つからない。

ほんのひととき、時間が止まったかのようだった。

そうして腕の中に収まっていると、不意に信行のポケットの中でスマホが鳴った。

その着信音にハッとして、真琴は両手を彼の胸に当て、すっとその腕の中から抜け出した。

信行がスマホを取り出して画面を見ると、渚からの着信だった。

今度ばかりは、彼は一瞬のためらいもなく、真琴の目の前で電話を切った。

向かいに立つ真琴にも、画面の表示と、通話を拒否する様子ははっきりと見えていた。

この一本の着信で真琴は瞬時に我に返り、酔った勢いの甘えにほだされることはもうなかった。

後ろへ二歩後ずさりし、冷静な声で告げる。

「帰るわ」

渚からの電話で信行もまた現実に引き戻された。

伏し目がちにこちらを見つめ、真剣な口調で言う。

「あいつとの関係は、すぐにでもきっちり終わらせられる」

その言葉に、真琴は顔を上げてまっすぐに見据えた。

「そんなことしなくていいわ。さっきのハグなんて何の意味もない。私はちっとも揺らいでいないし、これからのこ
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