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第86話

last update 公開日: 2026-03-19 19:00:00

2月12日、午前2時。

ベッドの中で何度寝返りを打っても、眠りは訪れなかった。

夜10時に神崎さんが帰り、氷室様と原稿の最終確認を終えてから、もう4時間が経つ。

朝が来たら、世界中のメディアの前で真実を語る。

世間が、私たちをどう見るのか……そう思うと怖い。

でも、それ以上に──氷室様の本当の気持ちが分からないことのほうが、私を不安にさせていた。

私は彼を愛しているけれど、氷室様は?契約が終わったら、私はどうなるんだろう。

私は、たまらずベッドを抜け出した。

リビングに行くと、灯りがついていた。

恐る恐る中を覗くと──氷室様が、ソファに座っていた。

夜景を眺めたまま、じっと。

「氷室様……」

私が声をかけると、氷室様は振り返った。

「咲希……まだ、起きていたのか」

「はい。眠れなくて」

「俺もだ」

氷室様は、少しだけ苦笑した。

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