登入食事を終えた後、宿の部屋に戻る。メリーさんにはちゃんと今日から二人になるけど追加料金が必要かどうかを確認しておく。
どうやら一部屋いくらの計算らしく、よほどうるさくしたり人数を詰め込んだりしない限りは人数としてカウントしないらしい。それにセルフィはまだ子供でもあるし、子供で一人にカウントするのは問題だ、ということのようだ。ここはメリーさんの温情に感謝だな。
部屋に戻り、まだ何もない部屋に移動すると、さっそくセルフィと正面に向かって話し始める。こっちは椅子に座って、セルフィはベッドに腰かけて、足をブランブランさせながらこっちに向いて話しかけ始める。
「ご主人様は、私の親戚の人ではないですよね? 」
セルフィが、確信を突いた一言を真っ先に向けてくる。
「なぜそう思うんだ? 」
「私の親戚は私とみんな肌の色が同じでした。ご主人様は私ほど日焼けしたお肌をしていません。それなのに、どうして親類縁者だと言い張れるのでしょうか。ご主人様の持っていたカンテイのおかげなのでしょうか」
さてネタ晴らしをしていくか。
「鑑定の結果なのは間違いない。そして、君が俺とは血のつながりがないのも確かだ。だが、間接的に関係はある」
「間接的に……というと、どういう意味なのでしょう」
「君の先祖と俺とは同郷……同じ国の生まれなんだ。ここではない、特殊な生まれでな。かくいう俺も、あと300と18日すれば元の国に帰らなければならない」
「じゃあ、また私はそれだけの時間が過ぎたら捨てられて奴隷に逆戻りということになるんですか? 」
「そうならないように、それまでにセルフィ一人で暮らしていけるように色々教えていくつもりだ。といっても、俺も教わる側ではあるんだが……そこでイアンちゃん」
「え、私ですか? 」
自分の話になると思っていなかったイアンちゃんが驚いて自分を指さしている。
「冒険者として立派にやり遂げられていくかどうか、イアンちゃん目線で確認してほしい。もし俺かセルフィ、どちらかが冒険者としてやっていけないと判断するなら、その時点でセルフィは奴隷の身分のまま、奴隷商に戦闘用の奴隷として引き取ってもらうことにする。こういうことでどうだろう」
イアンちゃんは両手を組んで足でトントン……とリズムよく床を蹴っている。
「そんな浅いところまでの考えでよく人を買おうとしましたね」
「すまん、助け出すのがまず最優先だと思ってな」
「何の考えもなく助け出そうとしてないだけまだまし、という程度なのはわかりました」
イアンちゃんがかなり手厳しい意見で攻めてくる。おっしゃる通りで言い訳のしようがない。
「ですが、こちらの手落ち……つまり、以前の異世界転移者の残滓を何とか回収しようとしてくださったのはこちら側としてもありがたい所ではあります。本来なら、何の手掛かり一つ残さずに自然に消えてしまわなければいけないところですからね」
多分娼館か何かに通ったか、現地で出会いがあって、その結果生まれていった……ん、でもそうなると計算が合わないな。そんなに昔から有休強制消化法案があったわけではないはずだ。ということは、こっちの時間の流れと現実の世界の流れは時間が違う、ということになるのか。
そうなると、318日だと思っていた残りの時間ももしかしたらその通りではない可能性もあるってことか。よく考えておかないとな。とりあえずはあと318日は最低でもいられる、と考えておいたほうがいいだろう。それより長くなる場合、また別で考えておけばいいんだろうな。
「とりあえず、セルフィさんのお父さんなのか、お母さんなのか、それともお爺さんやお婆さんなのか、そこまではわかりませんが、鑑定スキルで判別ができるぐらいの血の濃さでの異世界転移者の子孫なのですから、おそらくはお父さんかお爺さんが異世界転移者だとは思うのですが、セルフィさん、お父さんかお爺さんで出会ったことのない人はいますか? 」
「私は父を知りません。お母さんに父のことを聞いても荒れるばかりでろくに教えてもらえず……お母さんは私をそのたびに叱りつけました。あんなやつのことは聞くな、と……」
なるほど、愛してると言ってたのに急に目の前から消えたからあんな奴……と。つまり、最長でも12年前には同じサービスを使った有給休暇消費者がいたわけか。
でも、12年も前からこんなサービスやってたならもうちょっと話題になっててもおかしくないよな。やっぱり時間の流れがずれてる気がする。もしかしたら、異世界に入り込むタイミングと現実の時間の流れは違うのだろうか。
「まあ、そういうこともあるでしょうね。異世界転移者でなくても普通にあり得る話です。タカナシさんのケースではなくても時々そういう男がいても不思議はありません」
なんだか俺まで責められている気分になってはいるが、俺は今回救う側だ。俺に対して言われているものではない、と信じておこう。
前の異世界転移者の残滓と混ざらないように、ある程度ランダムに決められているのかもしれないな。それでも、こうして出会ってしまった以上、一緒に暮らすことになっても仕方ない、のかもしれない。
「とりあえず、明日から二人で仕事をしよう。しばらく生きていくだけの資金はあるとしても、余裕があるうちに稼がないと、ぎりぎりになってからとれる選択肢を選ぶよりも明らかに仕事ができる幅が違うしな」
「私は何をすればいいんですか? 冒険者なんてやったことないんですが」
「そこは俺の鑑定で気になる言葉を見つけたところだ。君にケンセイの才能があることが分かった」
「ケン、セイ? 」
「ああ、聞いたことはないか? 」
念のため、剣聖という言葉やスキル、それに加えて他の意味でも聞いたことがないかを確認する。
「剣の才能を持った人、ということですかね。セルフィさん、剣を振ったことは? 」
イアンちゃんがセルフィに確認を取る。もしかしたら剣聖じゃなく拳聖であることも含めていろいろ確認を取らないとな。権勢をふるったりするケースもあるかもしれないからな。その場合、かなり厳しい生活になるだろうが、それでもできるだけ頑張る予定ではある。
「無いです。拳で殴り合ったことぐらいは何度か」
「その時、必要以上に人を傷つけたりしたことは? 」
「無い……はずです」
だとしたら、剣を握らせてみるか。運が良ければ、いや、こういう時は高確率で俺の勘は当たるんだ。そうやって生きてきた以上、自分の勘を充てにしていっちょ彼女の育成も含めてやっていくことにするか。
「それでは、お昼はごちそうになったのです。私はこの書類をさっそく提出しに行くので失礼するのです」 足早にイアンちゃんは去っていった。連絡係は忙しそうだな。これも俺のせいではあるんだが、定期的にチェックをする仕事、とすれば仕方がないのかもしれないな。「結局、どうなったのですか? 」 セルフィはまだ袖を握ったままだ。セルフィの手から裾を離させると、セルフィの目を見てしっかりと伝える。「どうやら、休みが17日延びたらしい。その間、こっちに引き続き長く滞在することになりそうだ。さらに延びるかどうかはわからないし、最悪逆に短くなることもあり得るらしいが……今のところは問題なし、ということになると思う」 そう伝えると、セルフィの目の輝きがあふれんばかりにまばゆくなった。「じゃあもうしばらく、ご主人様はご主人様でいてくれるのですね」「俺としては早くご主人様じゃなくてタカナシと呼ばれたいところではあるが……まあ、そういうわけだ、ちょっと長くなった程度だが、よろしく頼む」「はい! 」 セルフィと二人で喜び合って、迷いネコのスープ屋を出る。大銅貨3枚でうれしいことがあったと考えれば十分利益になるし、17日の延長の間に……ざっくり金貨2枚は稼げる。最終日にセルフィに残していく金額を除いて全部換金すれば、それなりの資産にはなるだろう。 現世に戻った後に税金もしっかりとられるだろうが、それでも十分な利益にはなる。こうなったら、こっちで資産家になってセルフィには満足なだけのお金を置いていって、それでもまだ俺の懐に利益が入るように稼ぎまくってやるか。 その為にはいろんなチート知識が必要だ。石鹸づくり、化粧品づくり、リンスづくり、ガラス製品の開発……をするにはビランザの町へ行く必要もあるか。一度行ってみたいな、ビランザの町。どこにあるかもまだわからないし、どのぐらいの旅費や日数がかかるかまではわからない。 訪れて、落としても割れない強化ガラスの製造方法なんかを伝授して、今度こそ春のパン祭りを開
「まず、軽いほうからですと、稼いだ金額の一定報酬の没収があるのです。それではせっかく稼いだ意味がなくなるのでこの刑罰だけは受けないほうが良いと思うのです」 たしかに。だが、最悪すべてのお金をセルフィに託して帰っていく、という方法も取れるから、これについてはそれほど重荷になる刑罰ではないな。「その次に、有給休暇を使って働いているならば有給休暇を使うこと自体が罰、ということになるので、極端な有給休暇の日数削減措置が取られることがあります。これは最近あった事例ですが、有給休暇中に長距離トラックの運転手のアルバイトをして儲けていた人が、50日の有給休暇減を言い渡された事例がありますね。タカナシさんの場合、100日ぐらい行くかもしれません」 有休休暇中に働いたら罰則……そういうのもあるのか。有休を減らされてその上罰金まで取られるとなると、かなりのマイナスになるのは間違いないな。そうならないようにイアンちゃんを抱き込んでおく必要があるか。「あとは最悪の場合、拘禁刑にまで発展する可能性はあります。これはよほどのことがない限りは適用されることはなく、現時点でも過去の事例では一件しか存在しないらしいですが、何をしたら拘禁刑を申し付けられるほどの罰則を命じられるのかはわかりません。充分に注意してくださいね」 有休中に働いたら罰則どころか懲役か。そこまでの物になるのはちょっと想像しづらいが、そういう可能性がある、ということは覚えておいたほうが良いだろうな。 セルフィは足をぶらぶらさせながらこちらの話を真面目に聞いている。おそらく固有名詞や拘禁についてはわからないだろうが、罰金なんかは理解していると思われる。「ほら、だから働きすぎると悪いことも起きるんですよ。ご主人様はもうちょっと真面目に休むべきです。せっかく不労収入を稼ぎつつあるんですから、それにあぐらをかいてもっとゆっくりするべきです」「真面目に休むってのも変な話だが……まあ、とりあえず今日は休日だ。今後はよく考えて休むことにする……が、やることもそんなにないからな。娯楽は必要だな。もっと娯楽を世間に提供していくことを考
「見つけました、タカナシさん」 商業ギルドを出たところで、イアンちゃんに捕まる。なんか前もあった気がするな。イアンちゃんから用事があるってことは、アザーワールド社がらみ、つまり有休がらみの話である可能性は非常に高い。「おはよう、イアンちゃん」「おはようございます。今日はお仕事ではないんですか? 」 イアンちゃんが確認をしてくる。お仕事だったらこの間みたいに付き合いながらお話をする、という流れになるのかもしれないが、今日は休み、しかも昼時。ゆっくり食事をしながら話し合いができる時間だ。「暇だから問題ないよ。むしろどこかでご飯を食べながらゆっくり話をするぐらいの余裕がある。どこかイアンちゃんのおすすめのお店へ行こう。お金も今日は稼いだし、俺のおごりでもいい」「なるほどなのです。では、たまにはお言葉に甘えるのです。おすすめのお店は……この近くにスープの美味しい店があるのです。そこに行くのがいいのです」 もしかして、「迷いネコのスープ屋」ではなかろうか。ちょうどいいな。セルフィのほうを向くと、コクリコクリと肯定をしている。どうやら、イアンちゃんのお勧めに外れなし、と思っているようだ。「じゃあ、そこで。イアンちゃんのおすすめならハズレは引かないだろうからね」「信頼されていて何よりなのです。いくのです」 イアンちゃんについていくと、やはり行く先は「迷いネコのスープ屋」だった。今日はランチじゃなくて普通のスープを頼もう。さて、何味があるのかな。「三人で」「テーブル席にどうぞー」 案内され、テーブル席に着く。久しぶり……というほど間が空いているわけではないが、割と最近来たのでまだ店の雰囲気も覚えている。「お二人は来たことあるのですか。なんだか慣れている感じなのです」「実は先日二人で来たところなんだ。だから今日はランチ以外の違う味を試すチャンスかなって」「なるほどなのです。ここはランチ以外もお勧めなのですよ」 ミニボア肉の豆スープと、ガルキン肉出汁入りスー
商業ギルドに向かう。道中の、原料であるいろんな材木の香りを楽しみながら進む。木工工房も工房によっては作るものが違い、樽を作る工房、皿やフォーク、匙を作る工房、大工、荷車や車輪を作る工房、とそれぞれ作るものがある程度決まっている。 その中で徒弟に勉強をさせつつ、暇なときに他の仕事をさせるためにリバーシはちょうどいい小物らしい。あちこちの工房で作っているらしく、それぞれ工房の特色が出ているらしい。 それぞれ眺めてみたくはあるが、サンプルが商業ギルドにあるかもしれないな。商業ギルドで時間があればリバーシの台やコマの材質、ニスの厚み、触感などがそれぞれ違うものを用意されているのだろう。「さて、ラムーさんは何処にいるのかなっと……」 商業ギルドに到着して、カウンターでラムーさんを呼び出してもらうように頼む。居場所を探すのでしばらく待ってくれと言われたので、その間に商業ギルドの商品閲覧場所で、リバーシの台が何台か飾られていることを確認する。 銀貨数枚分の親方手作りの高級リバーシ台が並んでいるのを見る。値段は銀貨2枚から5枚ほどの価格帯が用意されており、数がそんなにないことを見ると、売れているのか、それとも参加している親方が少ないのか。その辺はラムーさんに聞けばわかるな。 やはり、底値は銅貨35枚というのが手習い価格らしい。このうち3枚は俺の取り分、ということだろう。木工工房の取り分がいくらになっているかはわからないが、ちゃんと金を払ってくれているのならいいな。 しばらくして、目の保養をし終えたぐらいでカウンターから呼び出しを受け、戻っていく。「申し訳ありません、ラムーは現在マヨチュッチュに行っているようです。急ぎの話でしたらそちらへ向かっていただけると助かります」「そうですか、わかりました。時間もありますしそちらへ向かおうと思います」「お手数をおかけします。よろしくお願いします」 受付を離れ、商業ギルドを出る。「セルフィは使ってみたいリバーシ台はあったか? 」「そうですね……綺麗な台はありましたが、使っている間
木工ギルドを後にして、モクロク親方のところへ向かう。木工工房が立ち並ぶ木工工房区までくると、色んな木材の香りがして、なんとも森に入ったような気持ちにすらさせられる。「このあたりへは初めて来ますね。いろんな木の匂いがします……あと、何かツンとした匂いもしますね」「おそらく、保護剤や接着剤だろうな。表面に塗ったりすることで長持ちさせたりする効果がある薬品だと思う」「よく知ってますねえ。さすがご主人様です」 二人でブラブラ木工工房をいくつかのぞき込みながら、モクロク親方の工房へとたどり着く。「おはようございます、タカナシです。モクロク親方いますか? 」 声をかけると、見覚えがある徒弟さんが顔を出す。「あ、タカナシさん。ご無沙汰してます。親方なら今特注品を作ってるので声をかけるのはちょっと」 徒弟さんが声を小さくしてモクロク親方に聞こえないようにしている。どうやらかなり集中して物作りをしている様子で、かなり細かい彫刻などを行っているのだろう。 徒弟さんがそれだけ神経過敏になっているということは、邪魔したらノミの一つでも飛んできそうな具合、ということかもしれない。俺も大声を出すのは控えよう。「実は徒弟さんに相談があってね。ちょっと木工ギルドでも確認してきた話なんだけど」 声のトーンを落として会話をする。セルフィと徒弟さんと三人で、膝を突き合わせて会話をする。「リバーシ用のコマを失くしちゃってさ。木工ギルドにスタンダード用のばら売りのコマがないか確認したら売り切れだって言われたのよ。もしかしたらこっちには予備がないかなと思ってきたんだけど」「なるほど、そういうことでしたか。確かに、バラ用のコマもこっちで作って木工ギルドに納品しています。いくつかでしたら融通が利くと思いますが、いくつ御所望ですか」 いくつか融通してくれるらしい。足りなくなるたびに木工ギルドかここへ足を運ぶのは面倒くさいな。まとめて五個ぐらい注文してしまうか。「じゃあ……5個いけるかな」「わかりました
いつもの朝が来た。昨日は大変だったが、今日もいつもと変わらぬ風景を与えてくれている太陽に少しだけありがとうの祈りを込める。 セルフィはいつも通り寝ているので、今日も先に起きて、ドアをきっちり閉めて身支度に井戸のところへ。昨日はしっかり体を動かしたし、ゴブリンとも戦って多少服に臭いが残っている。今日は戦闘服を洗ってしまおう。 どうせ今日は着ないのだ、洗ってドライヤーで乾燥させて、綺麗にして、また明日からの仕事に使うでも問題ないだろう。 顔を洗って歯磨きをして、戦闘服と肌着を石鹸で洗い始める。しばらくするとメリーさんが通りかかったので挨拶。「おはようございます、メリーさん」「おはようございます、タカナシさん。セルフィちゃんは? 」「まだ寝てますよ。もう少しすれば起きて……あ、今起きてきましたね」「おあよーございましゅ」 いつも通り寝ぼけたセルフィが水汲みにきたので井戸から水をとりだし、寝ぼけた顔の横に置いてやる。セルフィは寝ぼけた顔に水をぴしゃりと何度かかけて顔をごしごしとこすり……そして、眠気の取れたいつもの顔に戻った。 セルフィが顔を洗って房楊枝で歯磨きをしている間に洗濯を終わらせ、部屋でドライヤーをかけ始める。しばらくすると、セルフィも洗った服を持ってきたので、同時にドライヤーをかけてまとめて乾かしてしまう。「……そろそろ乾いていると思います」「そうか、どれどれ……まだ端っこが湿ったままだな。端っこを集中的に乾かしていこう」 脇の部分と裾の部分を集中的に乾かし、触って湿っぽさがなくなるまでドライヤーを使い続けて、服を乾かし終わったところで朝食を取りに食堂へ。「おはようリンカちゃん、朝食二つね」「おはようございますタカナシさん、朝食二つー! 」「あいよー」 親父さんの反応を聞いて席に着く。お通しこそ出ないものの、今日は白パンがあるかどうかは悩ましいところだな。 しばらくして、親父さ
今日は東門から出るらしい。東門から出るほうが草むらに近く、また薬草の採取場からは離れているうえにこちらはモンスターが出やすい方向だということらしい。東のほうに行けば行くほどモンスターも強く、ゴブリンの巣なんかもできやすいとのことで、戦闘を行う冒険者は大体東門から出ていくらしい。「さて、では行きますよお二方」 イアンちゃんが先頭に立って歩みを進める。「はい、イアン先生」「なんですかタカナシさん」「このあたりには何が出るんですか? 」「このあたりにはスライム、ホーンラビット、ミニボアの三種類が出
「とりあえず、冒険者として恥ずかしくない格好はしないといけないな……着たままの服一着だけでは洗濯もできないだろうし、サイバルさんのところへ行くか。服は……俺も一着しか持ってないけど、セルフィは女の子だし、洗濯して乾かしてる間の服も必要だろう。よし、まずは服、その次に装備、それが終わったら……時間があればお金を稼ぎに行こう」「はい、頑張ります」「とりあえず武器は……これを持っててもらうか」 アイテムボックスからショートソードを取り出
話し合いが終わり、さっきまでいた店員を呼びに奥へ顔を出す。「すまない、話し合いが終わった。この子を買い取ることにしたい。いくらだ」「そうですか。お決めになりましたか。この子は……正直なところ性格も暗く、まだ幼いのでこれから育つ分も考えると……金貨4枚というところでしょうかね」 指を4本、差し出してきた。「ちなみになんだけど、人が一年間生活するのにいくらぐらいかかる? 」 小声でイアンちゃんに確認する。「そうですね、家がある前提だと金貨2
奴隷商で茶を出される。ちゃんと商売をしている以上飲み物に何かを混ぜられたりはしていないし、鑑定で鑑定してもただの茶葉……といってもそれなりに値段はするらしいので、これは客だ、と見込まれて出されたことになる。普通なら水か白湯、というところだろう。「さて、まずは奴隷を探しに来た理由を聞こうか」「知り合いの子が昨日奴隷として売られていたのを見た……では理由として薄いか? 」 知り合いではないし、一方的に知っているわけでもない。ただ、出自は俺と同じだろう、ということだけがわかる。そんな微妙な