登入奴隷商で茶を出される。ちゃんと商売をしている以上飲み物に何かを混ぜられたりはしていないし、鑑定で鑑定してもただの茶葉……といってもそれなりに値段はするらしいので、これは客だ、と見込まれて出されたことになる。普通なら水か白湯、というところだろう。
「さて、まずは奴隷を探しに来た理由を聞こうか」
「知り合いの子が昨日奴隷として売られていたのを見た……では理由として薄いか? 」
知り合いではないし、一方的に知っているわけでもない。ただ、出自は俺と同じだろう、ということだけがわかる。そんな微妙な関係だが、知り合いということにしておいたほうがわかりやすいだろう。
「いや、よくあることだ。親類縁者が奴隷に落ちていて、救い出すために金を出し合って買い戻すなんてのは日常の内だ。それで奴隷から解放されて、一般人に戻れる奴だっている。買う側としても立派な理由だし、最も多い話ではある。知り合いなことを黙って前を通り、こんな時だけ他人のフリかと罵倒合戦になることだってしょっちゅうある。それに比べれば静かで、そしてまっとうな買い主だと思うね」
冷静に語ってくれる。こっちが商売としては初めてなことも察せられているのだろう。奴隷として買わなくちゃ、と俺が焦っていることも考えると、多少吹っ掛けられる可能性もあるな。ある程度まではRMTで出せるので、手持ちの資金とも勘案してよく考えておこう。
「さて……では、昨日仕入れた奴隷を一通り見ていってもらおう。その中にいるんだろう? 」
「ああ、見ればわかるはずなので連れてきてほしい」
「わかった、ちょっと待っていてくれ」
奥にいったん引っ込むと、中から幾人かの奴隷を連れてきた。奴隷といっても鎖につながれているわけではなく、どうやらシエキジュツ……使役術かな? というスキルにより行動、発言に制限が加えられた状態で存在するため、そういった物理的制約はしなくてよく、反する行動をとろうとした際には強い自己抑制が働き、それにより無理やり押さえつけられるような形で行動が制限されるらしい。
順番に通されてくる中に、その少女はいた。程よく日に焼け褐色の肌を持つ彼女は、下を向き何かを待っているかのような暗い目で、ずっとカーペットの一点のシミを見続けるような形でその暗い表情を保っていた。
「あの子だ」
連れられてくる子を教えてイアンちゃんにどの子を買い取ろうかとしているかを教える。イアンちゃんはその子を冷静に見定めて、その上でアドバイスをくれた。
「あの子ですか。でも、精神的に壊れかけていますね。もう少ししたら完全に壊れて、奴隷としても使い物にならなくなるかもしれませんよ。その覚悟はおありですか」
「立ち直らせてみせる。そのためにはまずは引き取る手続きをしなきゃな」
並べられた奴隷を前に、男が値段を告げる。
「さあ、どの奴隷も金貨1枚からだ。年齢と体格、健康の良さによってはさらに値段が張る場合はあるが、底値は金貨1枚だ。まず、それを持っているかどうかから確認させてもらおう」
「なるほど、ちゃんと金はあるかどうかと、お茶の代金としては見せ金は必要だろうな」
男に金貨1枚あることをちゃんと提示し、男は口笛を吹くと、全員にしゃべる許可を出したらしく、奴隷がそれぞれけたたましく話し始めた。
「お兄さん、あたいを買っておくれよ! なんでもするからさ! 」
「いや、俺だ、力もあるし犯罪奴隷だがもう二度と行わないと誓える! だから俺を買ってくれ! しっかり働いてみせる! 」
「……」
「あの、僕を買ってくれませんか。故郷に帰りたいんです。そのためならどんな仕事だってします。お願いします。借金奴隷ですけど、借金を返して無事に故郷へ……」
それぞれ、理由があっての奴隷落ちということはわかった。しかし、今回の目的はひたすら無言で立ち尽くしている女の子に用事があってきたのだ。
「その子と話をさせてほしい。他はいい。その子に用事があって俺は今日ここに来た」
「……」
「おい、セルフィ。お前をご所望だ。ちゃんと話せるか? 」
「……はい」
「残りの奴隷は戻らせましょう。まずは話し合うことですな。どうやらお互いのことをまだ認識し合っていないらしいようですし、その時間はゆっくりあるでしょう」
急に言葉遣いがまともになった。どうやらちゃんと客と認められたらしい。セルフィと呼ばれた女の子とイアンちゃんと三人、応接室に残って話を続ける。どうやらセルフィ以外の奴隷は再び口を閉じられて、元の部屋に戻されていったのだろう。
「セルフィちゃんといったね」
「……はい」
「俺は君の祖先……つまり、君の親族とつながりがある」
「……はい」
「いうなれば親類縁者、ということになる。君を買い戻す理由としては充分だ。君は犯罪奴隷かい、それとも借金奴隷かい? まずはそこから確認していこう」
「……名前は、セルフィ、です。種類は……借金奴隷です……」
「そうか。ならそれほど制約もひどくはないはずだな。犯罪奴隷は行える範囲に制限がかかるらしいし、借金奴隷なら奴隷身分からの解放もそれほど難しくないという話だしな」
「そうですね。そういう話であれば日常に戻るのも難しくないかもしれません」
イアンちゃんに確認を取るが、そこに問題はないらしい。借金奴隷だからと言って買う側が何でもしていいわけではないらしいのは既に確認済みだ。
「とりあえず、君のことを奴隷の身分から解放するかどうかは別として、君を買い取ろうと思う。そこに問題はあるかい? 」
「私なんかで、いいんですか? 」
セルフィは震えているのか、言葉を紡ぐのも精いっぱいといった状態だ。
「君だから買い取る。君が親類縁者だと判断できないようならそもそも出会えなかっただろうしね」
「どうやって、私が親類だとわかったのですか? お会いするのは、初めてですよね? 」
「そこは……ちょっと内緒にしたい部分だが、君がついてきてくれるかどうかで話を決めようと思う。どうするね、俺の提案に乗ってくれて、買い取られてくれるかい? 」
「タカナシさん、本当にいいんですね? 」
イアンちゃんが最後の口出しをしてくる。
「ああ、構わない。それで俺が気持ちよく過ごせるならそれに越したことはないからな」
「ならいいです。タカナシさんが納得できる形で済ませるのも私のお仕事なのです」
「私を……買ってください。何でもします」
ここで、セルフィちゃんが初めて、自分を買ってほしいと申し出る。その一言を待っていた。
「何でもはしなくていい。できることをやってもらう。とりあえず、価格交渉からだな」
午前中を実験と洗濯に使って、お昼ご飯の前に残りの石鹸で手をピカピカに洗って、おそらく半径100メートルの中では一番きれいな生物であると言っても過言ではないぐらいにすると、綺麗な手のまま昼食を取り始める。いつもの白パンセットだが、昼の白パンセットはきちんと肉がつくのでお腹にたまる。「さて、午後からはどうするかな……洗濯物を完全に乾かしたら、のんびり昼寝でもするか」「たまにはいいですねえ。というか、まじめに休んでくれるのは初めてなんじゃないですか? 」「そうかもな。今日ほど金にも仕事にも関わらないのは珍しい。まあ、休みでこっちに来てるんだからちゃんと休めってことなんだろう。今日はしっかりとさぼるぞ……さぼれるかな」 今までひたすら走ってきたようなものだからな。突然止まって休んで、心臓に逆に負担がかかってしまったりはしないだろうか。たった半日のことだが、本当に暇つぶしができるかどうか不安だな。「ご主人様は止まると死んでしまう生き物なのですか? 」 セルフィがとんでもないことを言い出すが、割とそんな感じかもしれない。でも、24時間働いてないとダメというわけでもないので、ある程度は休んだりしているし、こっちに来てからは夜の間はすぐに寝るようになった。 夜明けとともに起き、日が暮れると共に寝る、という現代人ではちょっとあり得ない生活を続けてきているところなのだから、実際は体への負荷は軽くなっているはずなんだがな。「そんなことはないと思うぞ。実際、向こうで生活してた頃は今よりももっと遅くまで働いていたし、それに比べれば今の生活は向こうよりもゆっくりしていると言えなくもない。そうだな……午後からはもっと町のことが知りたいな。このボコマズの街に関する文献や周辺の様子がわかるような本があればそれを探しに行くか。冒険者ギルド以外にそういう本や知識が置いてあるところはあるんだろうか」「それも面白そうですね。もしかしたら何か新しい発見や行ったことのない場所を散歩するのもいいかもしれません」 それに、本当にこの街の近くでガラス工芸ができないのか、
役所での用事を済ませ、銀の卵亭に帰ってくる。今日は本当にお休みを取っている感じがしてなんだかいいな。たまには休みも悪くない……っと、そういえばずっと休みを取ってこっちに来ているんだったな。そういう意味では休みらしい休みは何度目だろうか。 もしかしたら初めてなんじゃないか? 休みだと言いつつ何かしら金稼ぎに走っていたことを考えると、俺は初めて休みを取っているのかもしれないな。 なんだかんだ勝ち取った休みは貴重だ。しっかり休んで明日からの仕事に備えて……いや、ちゃんと休むか。セルフィも今頃石鹸のついた鍋から石鹸をこすり取って、服を洗っているはずだ。乾かして干して、ちゃんと効果があったのかどうかも確認しなきゃいけないしな。 これは昼ご飯は銀の卵亭で取ることになりそうだ。セルフィが楽しそうに石鹸で遊んでいるだろう光景を瞼の裏に想像しながら銀の卵亭に帰ると、大体予想通りの光景が目に入ってきた。 それほど泡立ちはしてないものの、白い泡に包まれた、綿のパンツと普段は血まみれにしている服をあわあわしているセルフィの姿を見れた。 鍋に付着した余りだからどれだけでも使えるとはいえ、ちょっと泡立てすぎな気もするが、しっかりと洗濯板で洗いながら楽しそうに血の汚れを落としている。「順調か? 」「おかえりなさい。順調ですよ。綺麗になってますよ、ほら」 まず自分の服で試したらしいが、今朝までは返り血で少し汚れていた綿の帽子と冒険活動用の服が、綺麗に汚れが落とされていた。光り輝く……というほどまでではないが、綺麗に落ちていると納得できるぐらいに綺麗になっていた。 本当にきれいにすすぎが出来ているかどうか確認するために水で洗って確かめるも、ひたすら石鹸を使ってる割にきちんと泡を落とし、石鹸も綺麗に落とされていた。「お、ちゃんとすすいである。えらい」「戦ってる間に泡だらけになっても困りますからね。ちゃんと必要な分しか石鹸は使っていません」 たしかに。戦闘が始まって汗をかき始めたら汗で石鹸が泡立っても困るし、それが原因で肌荒
部屋に戻って、買ってきた紙に書く内容をまず考える。セルフィは要らなくなった鍋をこすって泡立ちを確認して、「せっかく泡立つので、これを利用して服を洗ってきます! 」と、井戸のほうへ行った。 きっと、鍋をこすっては泡を洗濯物に移して洗濯板で綺麗に洗濯している最中なんだろう。俺の着替えも持って行ったので、ついでに両方洗うということらしい。まあ、任せよう。鍋も綺麗になるし、後片付けが一つ楽になった。鍋はまた別の機会に何かで使うこともあるだろうからそのままアイテムボックスにしまっておくか。 さて、俺の頭の中の方法を達成するには、いくつか確認しなければいけないことがある。この近くに火山があった形跡や、そういう地層が見当たるかどうか、という点だ。石灰石の層が存在しなければコンクリートはおろか、モルタルもセメントも作ることはできない。 石灰石があればセメントを作るのは比較的簡単であると言える。が、とりあえず街の建物の様子を見るあたり、石材同士の接着剤として使われている形跡はあるので、セメントに関しては問題はないと言えるだろう。問題は量かな、それとも質かな。 とりあえず、モルタルにしろコンクリートにしろ、防水仕様にする方法はいくらかあるのでその方法からまずは記していくことが必要か。 耐水性があり、自己修復機能を持つコンクリートは特殊な火山灰と石灰石の混合で得られるから……まず、その特殊な火山灰というのが存在するかどうかから調べないといけないな。 調べ方は……水酸化ナトリウムに溶かせばいいはずだが、水酸化ナトリウムを手に入れる方法がないし、そもそもこの方法で得られる火山灰は石英質を持つはずだから、ガラスを作り上げられる砂でもあるはずだ。だからこの近くでは産出しない可能性が高いな。 だとすると、ローマンコンクリートの再現は非常に難しいか。そもそも石灰石があるだけでも儲けものなのだから、それ以上の贅沢は言わないのがいいな。ここは普通のコンクリートで作って数十年たって劣化するのは折り込み済みで建設してもらうしかなさそうだ。 もし、地面を掘ってガラス質の地面が掘り起こされるようならその限りではないが、どう
メリーさんにちょっと庭を借りるのと、火を使うこと、それから危ない薬品を使うのであまり近寄らないようにできるかを聞いて、了承を得てから早速石鹸づくりを始める。家主の了解を得てから仕事を始めるのは基本だな。 まず、ギド親方始め色んな工房からもらってきた灰を水に混ぜ込んでよくぐるぐるとかき混ぜて、しばらくした後指先で軽く触れてみる。ヌルっとしていたら成功だ。その後、灰を布で濾して灰汁にする。 本来なら手袋とマスク、ゴーグルあたりが必須の工程だが、この時代の技術水準でそれに近いものは用意できないので、せめて口元にマスク代わりのあて布をしてそれをマスク代わりにしておく。 手袋はゴムみたいに完全に密封できるタイプじゃない限りはかえって手荒れを加速させるし、手に成分が残ったら清潔魔法と水魔法で洗い流せるのでそれで代用していこう。 次に、買ってきた油を軽く熱し、生ぬるくする。人肌から少し熱めぐらいにすると、そこに灰汁を投入。そのままの温度を維持しながらひたすら混ぜ合わせる。混ぜ合わせる分量さえ間違えてなければ、温度を調節しながら混ぜてやることで石鹸が徐々に硬くなってくるので、そこで塩をぶち込む。 塩を入れることで塩析という現象が起きる。これは石鹸よりも塩のほうが水分子を引き付けるため、その分だけ石鹸成分は脱水される……という感じの現象だ。これで更に石鹸が固まりやすくなる。 これ以上の固まりやすさは石鹸作りに使う油が動物性であるか、植物性であるか……というところで大きく変わってくる。今回はヤシの実っぽい物から作られた油を使用した。おそらくボア肉の油が一番安く手に入る動物性の油だろうが、それを入手するルートがまだ確保できてないため今回は断念する。 油が固まってきたところで、ビッグラットスレイヤーの表皮を削って絞った汁を追加し、香りづけにする。これで匂いの問題は解決できるはずだ。本来ならオイルベースにして油化されたものを使ったほうがいいのは確かだろうが、そこまでの精油技術は今のところない。 そこまで作るにはまず精油蒸留器や圧搾機から作らなければいけなくなり、本末転倒というか本業から行き先が離れてしま
早速朝市へ買いだしに。市場でビッグラットスレイヤーと植物油を購入。そして、ギド親方のところへ行き、炭を使い終わった後の灰をどうしているかを質問しに行くと、普通に捨てているということなので、いくつかの工房を回って捨てすぎて問題がない程度にそれぞれ分けてもらってきた。 数カ所回ったおかげでかなりの量の灰を手に入れることが出来たので、原料が足りなくて少ししか作れなかった、ということにはならないだろう。しかし、ちょっと多いかもしれないな。もうちょっと油を買い足しておくか。 油を買い足し、朝市ではない普通の商店で塩を買い求める。岩塩でもよかったが、砕いた後の塩が売っていたのでそっちを購入。これで砕いて溶かす手間が一つ減った。灰、油、香りづけ、塩と四つの材料がそろったため、後は灰を水にくぐらせて濾すための布と、熱している間持つだけの鍋を買い求める。 後、燃料は自分の火魔法とする。ここで燃料に炭や薪を使って、その灰でまた石鹸を……という無限ループを作ることはできるが、そこまでするつもりはないし、一回こっきりの予定だ。一回分だけ作るならまあそれほど問題はないだろう。 これを商売にするつもりはないし、既に存在する石鹸ではあるので、自分で使う分をちょいちょいと、気に入った香りで作りたいと思っているだけだ。さっさと帰って試しづくりと行こう。 そう思って街の中心部を通り抜けると、何やら人だかりができている。どうやら新しい掲示物があるらしく、それを見るために人が集まっている様子だ。若干騒がしいし、自分に関係があるかもしれないので念のため見ておく。 人だかりを少しずつかき分け、前まで出て掲示物を確認すると、布告というかお願いというか、知恵貸し願いのような内容だった。 街の発展に伴い、北西の川から上水を引きたいのだが、できるだけ綺麗な水のままでこちらまで導水したい。何かいい方法はないか? 礼は出す。とのこと。 つまり、水道口が土のままの導水路では不満、ということだろう。ちゃんと掘って、周りを固めて、土や川の滞留物やその他いろいろは流れてくるにせよ、できるだけ少なく、そして街の中を流れる間も綺麗なままで流してきて、井戸や湧き水の形で街中
朝だ。今日も眩しい太陽……太陽という言い方であっているのかはわからないが、お日様がちょうど視線をぶつけてくるのは間違いない。 目が覚めて、いつも通りの寝起きの良さを感じる。こっちへきて、寝起きがだるいということがない。これが若返りのおかげなのか、それとも別の要因なのかはまだ判断つかない。 まぁ、気持ちよく起きれていることに違いはないのでありがたく起きていることにしよう。今日も元気だ太陽が眩しい! それでいいのだ。「おはようございます、ご主人様」 セルフィも元気そうで何よりだ。さぁ、今日も一日を楽しく過ごそう。 井戸で身支度を整えて、洗濯物を洗うと、そろそろ石鹸が欲しくなってきた。買えないこともないが、市販の石鹸は液体で、あまり香りもいいものではない。 そうだな……ビッグラットスレイヤーの香りがするような爽やかな石鹸を作る方が良さそうだな。獣脂と灰が必要か。灰は……どこかの工房で出た炭の灰を使わせてもらって、ゴミを引き取りに行く方向性で行けば安く仕入れられるかな。 あ、でもビッグラットスレイヤーはたぶん酸性だろうから、アルカリ性の柑橘以外の香りのする果物のほうがいいかな。何か探してみるのがいいかもしれないな。でもまあ、香りづけ程度なら問題ないか。獣脂のそのままの香りを使うことに比べたら多分大幅にましだろう。 洗濯板でほとんどの汚れは落ちてくれるので問題ないが、香りのほうはそうそう抜けない。もしかしたら鼻がもう麻痺しているだけで、そこそこの匂いを放っている、という可能性だってあるのだ。何かしらの機会に匂いをリセットして、さわやかさを演出する必要があるともいえる。 さてどうするか。ギド親方のところへ行って灰をもらえるか相談して、もらえたら石鹸づくりに費やしてみる、というのも悪くないが……ちょっと、一日かけて石鹸づくりをしてみて、服の汚れをきっちり落としてさわやかな香りのする服を調達するのも悪くないかもしれないな。今日はそういう日にしておくか。 洗い物を終えて服を干すと、今日は時間に余裕があるので火
コボルトファイターは武器も立派な割に動きのほうがついてこれてない。それが分かっただけでも儲けだ。もし、こちらのほうが確実に早く動けるならば一方的にボコることができるので美味しいモンスターだと言えるだろう。 だが、コボルトスカウトは斥候と名前がついている以上、素早いモンスターである可能性が高い。ナイフも持っているようだし、それだけ危険であるかもしれない。苦手なのはこっちかもしれないな。 しばらくコボルトファイターを倒して三層をうろうろしていると、コボルトと同じぐらいの大きさでナイフを持った、コボルトっぽいものがタタタッと駆け寄ってきた。自然に出てきたので普
教えたがりのおじさんから情報を得て、食事も無事にし終えた。どうやら四層ではコボルトフェンサーやコボルトバーサーカーなど、より戦闘意欲と武器の鋭いモンスターが襲ってくるらしい。とりあえず三層に降りてみて、そこで戦えるかどうかを確認したほうがいいだろうな。「さて……二層の地図も出来上がったし、三層まで行ってみるか」「大丈夫ですか? 三層のモンスターはより強いとさっき聞きました。ご主人様はまだいけますか? 」「二層でも大丈夫だったし、三層もきっと大丈夫だろう。とりあえず行くだけ行ってみて、ダメそうなら戻ればいいさ。今
次のコボルトを探す。探さなくてもその辺にうろうろしているが、この中で一番近いコボルトを探す。できれば同時に三匹以上の集団には出会いたくない。こっちは二人、同時に相手にできるのは二匹が限界だ。 もっとこなれてくれば複数モンスターにも対処できるようになるかもしれないが、こちとら戦闘はまだ三日目なんだ。そこまで手慣れたベテランでもないし、もしかしたら戦闘開始三日目でダンジョンに潜るというのも無謀な話だったのかもしれない。しかし、実際にできてしまっていることを考えたら決して無謀な策ということでもないらしい。 さて、俺の番だ。コボルトは決して大きい体格をしていない
パナメラのダンジョンに入場する。入った先では人が幾人もいて、臨時パーティーの募集やそれぞれの持ち物の確認、今日の探索予定などを確認していたりする。ダンジョンの中で確認していてもいいのかとも考えたが、どうやら第一階層はモンスターが出てこないらしい。さすが初心者向けダンジョン、緩いものだな。 実際に活動するのは一層の途中から、ということらしい。楽しみにしすぎて地図も何も持ってこなかったおかげで、自分で地図を作りながら進まなくちゃならないな。「とりあえず奥へ行くか。この辺はまだ安全というより何も出ないらしい。モンスターが出るところまでまず行こう。戦ってみてから







