Share

第350話

Author: 霧乃吟
征司はライターの金属製のふたを閉じ、もう一度澪を見た。

その口調に感情の起伏はない。

「わざわざ俺に隠す必要はない。お前が何をしようと、俺は止めない」

その言葉は、澪の胸に深く突き刺さった。

まるで、すべては澪の一方的な被害妄想であり、一人で勝手に悲劇のヒロインを演じていただけだ、と言われたようだ。

中絶の話をしても、征司の中にわずかな憐れみや後悔すら生まれないことくらい、澪には分かっている。

澪も、彼から何かしらの愛情を引き出したくて話したわけではない。

ただ、自分が目を覚ますのがあまりにも遅すぎたと、改めて思い知らされた。

長い間、自分自身にどれほど理不尽な苦しみを強いてきたことか。もっと早く、いっそ最初から、征司とは別の道を歩むべきだったのだ。

「一つはっきりさせておくわ。あなたが止めようが止めまいが、私には何の関係もない。私が決めたことに、あなたは最初から口出しする権利なんてないのよ」

澪もまた、二人の間の境界線を明確に引いた。

一瞬で、空気がさらに張りつめたものへと変わった。

表面上は静かに言葉を交わしているが、実際には互いの急所を的確に狙い、相手を逃
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第359話

    澪は何食わぬ顔で目を伏せた。「どうした?」蓮が尋ねた。紗耶はちらりと澪に視線を走らせたものの、特に隠そうとする素振りも見せなかった。いずれにせよ、澪もこれまでの経緯を知っている。「私の特許、取り消されたの。フェイのところにも同じデータが残っているみたい。彼女は大先輩だし、取り消されるのも仕方ないわ」紗耶は割り切れない思いを抱えたまま、力なく首を振った。正直なところ、紗耶には以前からどうしても解せないことがある。これほど世間を賑わす騒ぎになっても、フェイという人は微動だにせず、一度たりとも表舞台に姿を現さない。もちろん、あれほどの大物なら、多少気位が高くても不思議ではない。面倒なことを代わりに処理してくれる人間もいくらでもいる。しかも彼女には、学会の重鎮である賢一や恩師の柴崎教授という強力な後ろ盾がいる。自ら表に出る必要などないほど、十分な後ろ盾があるのだ。蓮は傍らにいる澪へ目を向けた。「特許なんて、また出し直せばいい話だ。今は目の前のプロジェクトに集中しろよ。これほどのプロダクトは、思いつきで簡単に作れる代物じゃないんだからな……そうだろ、澪?」蓮が紗耶を持ち上げ、顔を立ててやろうとしていることは、澪にも分かった。それと同時に、何の実績もない澪は紗耶に及ばないと示したいのだろう。澪はとうとう堪えきれず、鼻で笑った。ちょうどエレベーターの扉が開き、澪は中へ乗り込むと、二人を振り返って言った。「それじゃ、成功を祈るわ」その時、征司が通話を終えて、こちらへ歩み寄ってきた。澪はすぐに閉ボタンを押した。その仕草に気づかなかったのか、征司は澪に一度視線を向けただけで、紗耶と隣のエレベーターに乗り込んだ。ー澪のもとにも、特許の審査結果は届いた。紗耶たちが事情をつかめないのも無理はない。特許を申請した時に使ったのは、フェイという名前ではなく、澪の本名だった。しかも、紗耶たちの思い込みと偏見の強さを考えれば、天才のフェイと澪を結びつけることなど、まずないだろう。自分の狭い世界に閉じこもったままでは、外に広がる景色など見えるはずもない。その日の夜、親友の伊織から誘われて夕食を共にすることになった。食事の途中で、伊織がようやく切り出した。「紗耶、瑞穂メディカルを辞めたの?」

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第358話

    「森宮社長、プロジェクトの買い取り契約については、また改めてお時間をいただくということでよろしいでしょうか」たとえ経営者が代わっても、征司の機嫌を損ねるわけにはいかないと考えて、宮坂常務の態度は終始丁寧だ。澪のように、征司に遠慮なく物を言うことなどできない。この業界でやっていけなくなっても構わないというのなら、話は別だが。征司はドアのほうへ向けていた視線を戻した。「ああ。その時は俺から澪に連絡する」蓮が歩み寄ってきた。「まったく、澪のやつは目先の小銭しか見えてないな。十八億なんて法外な値段を吹っかけたつもりだろうが、事業化された後の収益を思えば破格の安値だ。やっぱりあいつは事業を見る目がないんだな」今日、蓮がわざわざ顔を出したのも、このプロジェクトに出資しているからだ。彼としても、紗耶にはもっと大きく成長してほしい。少なくとも、澪の身勝手な思惑に振り回されなくなれば、今後の事業展開はずっとスムーズになるはずだ。「あの人に見る目がなくて助かったわ。おかげでチームもプロジェクトも何ひとつ欠けることなく手に入ったんだもの。むしろ感謝したいくらいね」ひとしきり腹を立てたあと、紗耶もすでに落ち着きを取り戻した。澪から散々な言われようだとはいえ、結果として欲しいものはすべて手に入ったのだ。本当に損をするのは澪のほうだ。しかも本人は、そのことに気づいてすらいない。「……電話に出てくる」征司は立ち上がり、二人の話には加わらないまま部屋を出ていった。そして、宮坂常務の指示を受けた社員たちがあの社長椅子を運び出している光景が目に入った。紗耶が腰掛けていた、あの椅子だ。今はごみのように部屋の外へ運び出されていく。紗耶が一度腰かけたというだけで、その椅子は廃棄処分となったのだ。征司は数秒間、その椅子を見つめ、やがて何事もなかったかのように視線を外した。澪の多忙な一日は終わらない。瑞穂メディカルでの用事を終えたあとは、アカリ製薬に戻らなければならない。役員階のエレベーターホールへ向かうと、ちょうど会社をあとにしようとしていた紗耶たちと出くわした。紗耶はすでに機嫌を直しているらしく、澪をちらりと見て口を開いた。「澪さん、契約書には早くサインしてちょうだいね。今後のプロモーション計画に支障が出ると

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第357話

    征司とて、多少の動揺は見せるだろうと澪は踏んでいた。紗耶ほど腹を立てなくても、せめて眉をひそめれば、狙いどおり痛いところを突けたと分かる。ところが征司は何の反応も見せず、まるで「夫」と呼ばれたことを当然のように受け入れた。澪は思わず眉を寄せ、急に興が冷めてしまった。「征司、十八億円なんて……いくらなんでも法外すぎる!」紗耶は納得がいかず、唇を噛みながら訴えた。確かに、自分のチームにも技術にもそれだけの価値はある。しかしだからといって澪にここまで吹っかけられる筋合いはない。澪は口元をわずかに歪めた。「何か勘違いしてるみたいね」そして、一語一語はっきりと告げた。「十八億円を求めるのは、あなたのプロジェクトにそれだけの価値があると思ったからじゃない。あなたにそれほどの実力があると認めるわけでもないわ。私が求めているのは、瑞穂メディカルがこれまで投じてきた資金や設備などの資産の対価と、会社が被る損失の補償だけ。あなたたちの技術そのものの価値なんて……1パーセントにも満たないわ」澪は終始冷静だった。感情を交えず淡々と言うからこそ、その言葉はかえって鋭く紗耶の自尊心を切り刻んだ。紗耶の表情が一気に険しくなった。強く噛みしめた唇は、怒りで白くなっている。自分の能力もプロジェクトも価値がないと言うのか。澪はいったい何様のつもりなのだろう。蓮も目を見張った。澪の言葉が容赦ないことは知っているが、それでもさすがに驚かずにはいられなかった。自分に有利な条件で金を引き出したうえ、紗耶の能力や成果まで徹底的に否定する。それどころか、「最初から厄介払いしたい」と言わんばかりの態度で、完全に場の主導権を握ってしまった。いくら何でも、強がりが過ぎるのではないか。傍らで見ている宮坂常務は冷や汗が止まらなかった。なんという修羅場だろうか。常務という立場にいるからこそ、こんな場面に居合わせることができるのだろう。澪がこれほど肝の据わった人間だとは思っていなかった。一見すれば、澪も瑞穂メディカルも完全に不利な状況のはずだが、それを強引にひっくり返し、今度は相手が顔を上げられない状況にまで追い込んでしまった。何より気になるのは――宮坂常務は、おそるおそる征司の表情をうかがった。征司は少しも動じておらず

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第356話

    突然、雨脚が強まり、大粒の雨が窓ガラスを激しく叩き始めた。澪はただ無言のまま、真っ直ぐに征司の目を見つめていた。外の雨の冷たさが、そのまま胸の奥に染み込んでくるような気がした。すぐには言葉が出てこなかった。いや、そもそも今の征司にとって、澪がどう思うかなど微塵も関係のないことなのだろう。彼は何としても紗耶を守るつもりなのだ。自分が紗耶をクビにしようとすれば、征司は紗耶を瑞穂メディカルから独立させる。紗耶には決定権がないと言えば、今度はその権利まで与える。愛する女には、わずかな屈辱すら味わわせたくないのだろう。その結果、すべてのしわ寄せを受けるのは澪だ。彼の心の中でも、人生においても、澪という存在は取るに足りないのだから。社長室には数秒間、重苦しい沈黙が流れた。その張り詰めた空気を破ったのは、紗耶の甘ったるい笑い声だ。澪はそこで、はっと我に返った。いつの間にか、紗耶は征司のすぐ隣に腰を下ろしていた。すり寄るように身を寄せ、目の前の男だけを熱っぽい瞳で見つめている。「征司、私は本当に平気よ。心配してくれてるのは分かってるから」彼女の横顔には、勝ち誇ったような笑みが隠しきれずに浮かんでいる。紗耶の目には、今の澪は惨めな敗北者にしか映らないだろう。瑞穂メディカルを手に入れたから何だというのだ。征司の心が自分に向いている。それだけは、誰にも覆せない事実だ。征司の目がわずかに揺れ、ようやく澪から視線を外すと、ゆっくりと椅子の背にもたれた。「いくらなら納得できる?」それは澪に向けた言葉だ。もともと澪は、紗耶のプロジェクトに何の興味もなかった。ただ、瑞穂メディカルが資金や設備を提供してここまで支えてきたプロジェクトだから、簡単に持ち出されるのを経営者として看過できなかっただけだ。そもそも、紗耶のスマート医療事業が業界で大した成果を上げるとも思っていない。手放すのが惜しいわけでも、引き留めたいわけでもなかった。社長室で征司の姿を見た時点で、今日の結末がどうなるかなど、澪はすでに察しがついていた。だからこそ彼女も、最大限に有利な条件を引き出すための「交渉の機会」を静かに待っていたのだ。紗耶たちとあえて押し問答を続けたのも、納得できる条件を引き出すためだ。征司なら、愛する女のためにいくらで

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第355話

    征司の眼差しは深く、何を考えているのかまるで読み取れない。蓮の心ない言葉で身に覚えのない疑いをかけられ、澪は吐き気すら覚えた。負けてたまるかと澪が反論しようとしたその時、征司は澪の向かいに腰を下ろし、静かに切り出した。「この件について、きちんと話し合おう。穏便に済ませたほうがいいと思う」彼と顔を合わせるのは、久しぶりだった。久々に会ったかと思えば、また紗耶のためだ。多忙な彼がわざわざ出向き、紗耶の後ろ盾になってやるとは、まったく泣かせる話だ。「これは、開発チームを立ち上げた当時の契約書だ」征司は何通もの契約書を澪の前に差し出し、彼女を見据えた。「このチームは、もともと独立した組織として立ち上げられている。だから瑞穂メディカルから切り離すとしても、手続きはそれほど複雑じゃない。法的にも、大きな問題にはならないはずだ」澪は契約書にちらりと目を落とした。要するに、これ以上見苦しく食い下がらないで、引き際をわきまえろと言いたいのだろう。「私だって、地位や利益に執着しているわけじゃないわ。最初に瑞穂メディカルへ来たのも征司のため。征司が会社の経営から手を引いた以上、私もここにいる理由はないと思ってる」紗耶もそう言って、自分の考えをはっきり示した。彼女の征司に向けた眼差しには、誰が見ても分かるほどの愛情があふれている。自分と征司との間にある特別な絆を、あえて澪の目の前で見せつけているのだ。ずいぶん仲睦まじいことだ。澪はまるで、舞台の端に追いやられたエキストラになったような気分で、二人が人目もはばからず親密な空気を漂わせる様子をただ静かに眺めている。それでも表情ひとつ崩すことなく、淡々とした声で言い放った。「よほど自分が偉いと思ってるのね。自分が決めたことには、周りがみんな従うべきだと思う?」澪は紗耶をまっすぐ見た。「出ていきたいならどうぞ。ただし、この件は裁判で決着をつける。瑞穂メディカルがここまで育てたプロジェクトを、そう簡単に持っていけると思うな」同じような事例は、ほかの会社でも決して珍しくない。会社のリソースを使うだけ使っておきながら、いざ実を結べば「成果はすべて自分個人のものだ」と主張する。これを裏切りと言わずして、何と言うのか。そう言われたことで、紗耶は顔を曇らせた。やがて、ふっと

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第354話

    澪が社長室へ入ると、征司はそれまで座っていた椅子から立ち上がり、窓際へ歩み寄った。どんよりとした曇り空のもと、窓の外には重苦しい雲が垂れ込めている。ドアが開く音に気づいて、征司がわずかに首を巡らせ、澪に視線を向けた。そのそばでは、紗耶が椅子に座り、甘えるように征司を見上げながら話していた。しかも、それは澪の椅子だ。今日は蓮まで面白半分に来ている。澪を見るなり、その目にからかうような笑みが浮かんだ。ろくでもないことを企んでいるだろうと澪は思う。宮坂常務は険しい表情で傍らに立ち、澪が姿を見せると、困り果てた様子で歩み寄ってきた。「社長、森宮社長と一度お話しされては?」澪は、いまだに我が物顔で社長の椅子に座っている紗耶を冷ややかに一瞥し、短く問い返した。「何の話?」征司は片手をスラックスのポケットに突っ込んだまま、すぐには口を開かなかった。澪が来ても、その端正な顔立ちに感情の揺れは一切見えない。代わりに、紗耶が脚を組んだまま口元に笑みを浮かべた。「あなたを呼んだのは、一つ伝えておきたいことがあるから。私、開発チーム全員を連れて瑞穂メディカルを辞めることにしたの。今開発している製品もこちらで引き取って、これからは独立してやっていくわ」それは相談でも何でもない、一方的な通告だ。まるで瑞穂メディカルを辞めることも、すべて自分の一存で決められるとでも思っているような口ぶりだ。まさか、こんな話を持ち出されるとは思わなかった。あまりに常識外れで、澪は呆れるしかなかった。紗耶は企業を何だと思っているのか。開発チームが製品ごと辞める?会社の就業規則も、コンプライアンスも、知的財産権に関する法律も、何もかも無視するつもりらしい。瑞穂メディカルの資金も設備も人脈も、さんざん利用しておいて、今度は会社を切り捨てて独立するというのか。「言っておくけど、開発中の製品を持ち出すことは絶対にありえない。チームのメンバーが個人の意思で会社に残るか辞めるかについては、好きにすればいい。けれど、瑞穂メディカルの資金とリソースを使って進めてきたプロジェクトである以上、その成果物は会社に帰属するの。あなた個人のものじゃない」よくもまあ、これほど厚かましいことが言えるものだと、澪は内心で舌を巻いた。これまで紗耶は、大小さまざま

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第2話

    若い看護師ははっと口をつぐみ、気まずそうな顔をした。まさか澪が、夫の弱みをあんなに平然と口にするとは思わなかったのだ。けれど同時に、それは本当なのだろうとも思った。そうでなければ、結婚して七年も経つのに子供がいないなんて、どう考えてもおかしい。そのせいで、彼女の澪を見る目にはさらに同情が増した。澪は、本当の理由までは口にしなかった。征司は最初から澪との間に子供を持つつもりなどない。結婚した最初の夜、彼は氷のように冷めた声で、澪にこう告げた。「仕事が忙しい。子供のことまで考える余裕はないし、持つつもりもない。だから、期待するな。相談しようとしても無駄だ」あの頃

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第1話

    結婚して七年。朝比奈澪(あさひな みお)は夫の森宮征司(もりみや せいじ)に知られずに、ひそかに娘を産み育ててきた。娘の穂積玲衣(ほづみ れい)は今年五歳になるが、征司はその存在さえ知らない。父親になる機会を、澪が最初から与えなかったからだ。夜勤の休憩に入ると、澪は隣のS県でひっそり育てている娘から届いたボイスメッセージを再生した。「ねえママ、私、なんでパパに会ったことないの?私のパパって、もう死んじゃったの?」まだ舌足らずな、甘えた声が流れてくる。澪は一瞬、本気で考えた。生きてはいる。でも、父親としては死んだも同然だった。最近、玲衣は少しずつ自分なりの考えを持つよ

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第5話

    そばにいる征司の友人、佐伯蓮(さえき れん)も笑いながら口を挟んだ。「ほんとだ。何、その顔。ずいぶん機嫌悪そうじゃん」彰人は席に着くと、向かいに座る紗耶をちらりと見た。紗耶はいつも通り落ち着いていて、彼らとの距離の取り方も心得ている。振る舞いにも隙がなく、人としても申し分ない。それなのに、澪は陰であんなふうに彼女を悪く言っているのだ。「さっき下で誰を見たと思う?澪だ」それを聞いても、征司の表情は少しも変わらなかった。冷ややかに整った顔に感情はなく、テーブルに置いた指先で、気のないように軽く卓を叩いている。妻である澪のことなど、まるで興味がないようだ。紗耶は彰

  • 森宮社長、奥様は娘を連れて離婚します   第4話

    征司は紗耶のものをこの家へ運び込むことを許した。それは、森宮家の妻である澪がどれほど惨めに敗れたのかを、家中の者に見せつけるのと同じだ。離婚するつもりでいるとはいえ、澪はまだ征司の妻だった。征司がどれほど急いで紗耶を表に出したがっていようと、離婚も成立していないうちから、自分がここまで踏みにじられる筋合いはない。澪は作業員たちを静かに見渡し、運び込まれた家具を一つずつ指さして言った。「どれも高いものですよね。全部譲りますよ。中古で売っても、いい値段になると思いますから。お手数ですが、外へ運び出してください」作業員たちは、ただ雇われて来ただけの人間だ。そんなうまい話を聞か

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status