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白熱する選挙戦に、この想いを込めて――㉖

Auteur: 相沢蒼依
last update Date de publication: 2025-08-28 09:26:41

「大丈夫。一瞬だけど夢を見た。克巳さんに絶対に見せてあげたい、壮大な景色の夢」

「壮大な景色って、まさか……」

俺のセリフだけでそれを悟れちゃうあたり、有能な恋人と言える。

「はっきりと見た。だからこそ克巳さんをそこに連れて行って、直接見せてあげたいと改めて思い知ったよ。だから克巳さん、俺についてきてほしい」

「うわっ!?」

克巳さんの左手を握りしめながら強引に引っ張り、スタッフが用意してくれたお祝いの壇上まで歩いて行く。

「俺ひとりであそこに行かせようとした克巳さんには、お仕置きだよ」

俺が進むと、人混みが自動的に道を作ってくれた。難なく歩けることに感謝しながら小さく頭を下げつつ、急ぎ足で壇上に向かう。

「俺はただの秘書なのに、壇上にあがるわけにはいかないだろ」

「秘書の前に恋人でしょ。つねに俺の隣にいなきゃ困るんだってば。愛してるんだから」

「あまり、目立ちたくないんだが」

そんな文句を言った克巳さんを遠心力を使い、壇上に向かって放り投げた。

「うげっ!」

議員に当選した俺よりも先に壇上に登場した克巳さんを見るなり、報道陣がそろってシャッターを切った。これはこれ
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    「玄関前でなんて、克巳さんらしい。目の前に自宅があるのに、そこでヤっちゃうんでしょ?」「どうなるかは、陵次第。そうやって俺を煽り続けたら、寒空の下で裸体を晒すことになるが、それでいいのかい?」「克巳さんにくっつけば、寒くないもんね! と言いたいところだけど、寒がりな俺には無理な話だわ。キスは、自宅に帰ってからでいい?」 今が冬場でよかった。夏場だったなら、素直に自宅にあがってもらえなかったであろう交渉がうまくいき、安堵のため息をつく。「わかった。それにプラスして冷えた躰を温めるのに、お風呂で乾杯するのはどうだろうか。陵の好きなビールの銘柄は、そろえてあるよ」 陵の腕に自分の腕を絡めてから、ゆっくりと階段を上りはじめた。すると俺を引っ張る勢いで、リズミカルに階段を上って行く。「さすがは俺の有能な秘書さん。仕事終わりのビールほど、美味しいものはないからね。しかも克巳さんと一緒に乾杯できるなんて、マジでしあわせだ~!」「飲むのとヤるの、どっちが先だろうか?」「それ、俺に聞くまでもない話でしょ♪」「いつも通りということか。承りましたよ、将来有望な新人議員殿」 陵に引っ張られながら上って行くこの感じは、きっと俺たちの未来の姿なのかもしれない。ときには揉めたり不安になったりしながらも、結局はこうして仲良く歩むことができる。「陵、将来のために少しだけでいいから、早漏の治療をしなければね」「え~……。将来のためってその言い方。もっとマシな頼み方があるでしょ」「俺と同じタイミングで一緒にイケたら、もっともっと気持ちよくなれるよ。どうだい?」 途端に重くなった足取りの陵を、今度は俺が引っ張る番になった。「……だったらがんばってみようかな」 引っ張った立場になったはずなのに、すぐさま陵が俺を引っ張る。 無理するよりも、こうして尻に敷かれているほうが、もしかしたら性に合っているのかもしれないと思ったのだが、その後の行為により熱くて甘い夜になったのだった。 おしまい

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  • 欲しがり男はこの世のすべてを所望する!   番外編 なおしたいコト3

    「はじめのヤツ、なにを言ってるんだか。俺はそこまで真面目じゃないっていうのになぁ」「どこかの大臣のように抱えてる仕事を、すべて事務方任せにするなんてことを、稜はしないだろ? そういうことさ」「いやいや、しちゃうかもよ。それこそこれからやって来るはじめに要望書を丸投げして、堂々と楽をするかも♪」 ふふふと笑いながら、お茶を一口いただいた。「そんなことよりも稜の睡眠時間は、きちんと確保しなければならない案件だ。今現在こなしている仕事の効率を考えると、もう少しほしい。先々週から、徐々に落ちはじめてる」「うわぁ! 睡眠時間だけじゃなくてそんな細かいことにも、克巳さんってば目を光らせてるんだ……」「当然だろ。俺は君の恋人兼秘書だからね」 切れ長の一重まぶたを細めてほほ笑む、克巳さんの顔を見ただけで、未だに胸がときめくのはどうしてだろう。もしやこれは、克巳さんとの夜の営みが、しばらくご無沙汰なせいだったりするのかな?「稜の物欲しそうな顔は、そろそろお茶のお代わりが必要なのかい?」 克巳さんの笑顔に見惚れていると、手にした湯のみを奪われそうになる。お茶は、半分くらい残ったままだった。「おかしいな。俺としたことが、珍しく読みを外した」 顔を俯かせつつ、中身を確認しながら湯のみに伸ばした手で、優しく頬に触れる克巳さん。俺の体温が低いせいか、ほっとする温もりをじわりと感じた。「克巳さんの手、ホカホカしてるね」「稜、いい機会だから治さないか?」 俺の感想を無視して、妙な提案を告げる。 頬から耳朶に移動した克巳さんの指先は、感じさせるように耳の穴をまさぐった。その動きでビクつきそうになり、手に持っていた湯のみを慌ててデスクに置く。「ちょっ、克巳さんっ……あっ、いきなり」 隣の部屋には、事務員の女のコだっている。それなのにこんなことをされたら感じまくって、大きな喘ぎ声が出てしまうかもしれない。「稜の早漏を治す治療を、俺としてはおこないたい」「そ、早漏っ!? は? めちゃくちゃクソ真面目な顔して、なにを言い出すかと思ったら」 クソ真面目と表現したけど、悲壮感も若干を漂わせている克巳さんを、まじまじと見上げてしまった。「政治にまわしてる集中力を、少しだけでいいから、ぜひとも股間にまわしてほしいと考えた」 感じるように弄られている、耳の感覚を吹き飛ばし

  • 欲しがり男はこの世のすべてを所望する!   act:ゲイ能人・葩御稜として②

    「さて改めまして、もう一度ご紹介致します。モデルで俳優の葩御稜さんです」「こんにちは、ど~も♪」 テレビカメラに向かっていつものようにほほ笑み、ふたたび右手を振ってみせた。「稜さんってお呼びしますね。今日はプライベートについて、いろいろ突っ込んだ質問していきますので、どうぞヨロシク」 アナウンサーが原稿を手にして、にこやかに笑いながら俺の顔を見る。「遠慮せずに、ど~ぞ♪」 緊張を解すべく、目の前に置いてあったお茶を一口飲んだ。「えっと稜さんは幼い頃から、モデルのお仕事をされていたんですね」「こちらが、そのときのお写真になります。すっごくかわいらしい」 アシスタント嬢が大きく

  • 欲しがり男はこの世のすべてを所望する!   act:毒占欲の果てに6

    (さっきの台詞、稜はどんな表情で言ったのだろう。綺麗な君と顔を突き合わせて、その姿を見たかったな――)「克巳さんの優しさに、甘えさせてもらうよ。とりあえず仕事を終わらせてから」「仕事?」 俺の躰から飛びのくように離れると、すぐ傍にある備え付けの電話に手を伸ばした。手早くボタンを押し、どこかにコールしながら口元を綻ばせる姿は、俺のあこがれた葩御稜そのもののほほ笑みだった。「あ、マネージャー。おはようございます、お疲れ様。突然で悪いんだけど、頼まれてくれないかな? 例の件に巻き込まれてしまって、職場を追われそうな人がいるんだ。○×銀行って言えばわかるでしょ♪ そうそう、その人。俺のこれか

  • 欲しがり男はこの世のすべてを所望する!   act:毒占欲の果てに5

    「――警察の事情聴取、克巳さんは終わったの?」 ベッドの脇にある椅子に腰かけ、ぼんやりと考え事をしていた俺に、唐突に投げられる質問。俯いていた顔をあげ、稜に向き合うようにしっかりと座り直した。「ああ……たいしたことは、聞かれなかったけどね」 男と揉み合ったときに怪我をしたので被害者扱いとなり、三回ほど警察署に顔を出して、昨日終えたばかりだった。 「俺もここで、事情を聞かれたんだ。ひとつだけ、腑に落ちないことがあってさ」「なんだろうか?」「……俺の持ち物の中で、一個だけなくなってるものがあった。克巳さんはそれの行方を、実は知ってるだろ?」 稜の言葉に息を飲み、ごまかすように視線

  • 欲しがり男はこの世のすべてを所望する!   act:毒占欲の果てに4

    『まだ生きてるの? やっぱりしぶといのね』『リコちゃん……?』 理子さんが口元にふんわりとした柔らかい笑みを浮かべながら、ゆっくりとした足取りで稜に近づき、容赦なくヒールで顔を踏みつける。『っ、なっ、なんで!?』『なんでって、それはこっちのセリフなんだけど。自分のやったことを思い出しなさいよ』(――もしかして彼女、俺たちの関係を知っている!?) 内心酷く焦ったとき、理子さんが頭を踏んでいた足を退けて、稜の顔を蹴りあげようとした。しかしその動きを稜は素早く見極め、うまく腕でガードする。腹に力を入れたせいで、彼の出血が見る間に酷くなっていった。『黙って蹴られなさいよ。それだけのこと

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