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act:毒占欲の果てに2

Auteur: 相沢蒼依
last update Date de publication: 2025-07-21 14:25:03

 次の瞬間、焼けるような痛みが腹部を襲った。痛みが伝わってはじめて、自分が森さんに刺されたこと認識する。着ていたブルーのシャツに血がじわじわと滲んでいき、どんどん黒い色に染まった。

「あ、ぁ"あ"、あ"ぁっ!!」

「まるで、ヤってるときみたいな声をあげるのな。感じているのか稜? ん?」

 額から汗を垂らして歯を食いしばり、なんとか激痛に耐えながら森さんを見上げると、下卑た笑いを浮かべて、刺しているナイフをさらに腹に押し込む。

「やっ、やめてえぇ!! い、いぃ、痛いっ……っ、もぅ…やめ――」

 耐え難い痛みに足をジタバタ動かしてのたうち回り、涙ながらに訴える俺を、またしても恐怖が襲う。森さんは刺していたナイフを抜き取って、両手で持ち直し、勢いよく振り上げたからだ。

(――もう、ダメだ……)

 ぎゅっと目をつぶり、襲ってくるであろう痛みに耐えるべく、躰を強張らせていたら、跨っていた森さんの重みが、いきなりなくなった。

 恐るおそる目を開いて、躰を捻りながら刺されたところを押える。出血の量がひどくて、アスファルトに血溜まりができている状態が目に留まった。その最悪の事態をみずから確認し、この
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