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【第12話】夜会①(アルカナ・談)

last update Huling Na-update: 2025-12-29 09:58:45

 胸糞悪い惺流の算段を知っている身としては、此処で留守番なんかもっての外だ。高位貴族達の夜会だとはいえども、どうせ私の姿は見えない者ばかりだし問題は無いだろう。

(叶糸相手には通じないけど、他が相手なら完全に隠す事も出来るのだし)

 ——そう思って私は、「私も夜会に行く、ぞよ。何かあれば、助けてやれるからな」と胸を張って伝えた。なのにどうだ。「無理じゃないかな」と即座に否定されてしまった。

「何故⁉︎じゃっ」

 初対面時の『うわあぁー!』と叫んでしまったあの時の様な声で訊くと、「あー……」と少し気不味そうに叶糸がこぼす。

「や、ほら、アルカナは小さくって可愛いから、会場内をウロウロしていたらボールみたいに蹴られちゃうんじゃないかな」

 そうか、姿が見えないが故の弊害か。大学の校内は広いのでまだ未経験だが、ゴロゴロと蹴られに蹴られて会場中を転がる自分の姿を想像すると段々悲しくなった。永年この惑星を管理している我が身がただのボール扱いをされてしまうとか、悲惨でしかない。——と、その惨状ばかりに気を取られ、そもそも触れられない様にしたらいいだけじゃないかという考えにまで至らずにいると、急に叶糸が嬉しそうな表情をした。

「あ、でもアルカナのドレス姿は見てみたいな」

 手近な椅子に座り、当たり前の様に私を膝に乗せる。そして背後から優しく抱きしめながらうっとりとした声で言われたが、こんなずんぐりボディじゃ何を着ようが絶対に似合わないだろ。だが私は諦めきれない。

 一度目は義家族に殺されるという惨事に見舞われた彼だが、二度目以降は全て、『婚約者』達が原因で死んでいるからだ。

 今回の夜会の会場にその原因となった歴代の者達がいないとは限らない。相手は全て都内在住の高位貴族だったから参加している可能性が高いとも思うんだ。

「よし。ならば私も人の姿になって参加しよう、かのう」

 やや振り返りつつキリッとした顔で言ったのに、また叶糸は顔を手で覆って悶えている。こちとらすごく真剣なのだが……だがまぁ、君が癒されているのなら良しとしよう。

「でも、どうやって?」

「叶糸が、私を『変身も出来る者だ』と『認知』を書き換える必要がある、ぞな」

 もう癖になりつつあるこのアホみたいな喋り方には高度なスルースキルを発揮しつつ、叶糸が「……『認知』、か」と呟き、唸りながら目を瞑る。多分、早速
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