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【第18話】南風家との契約①(アルカナ・談)

مؤلف: 月咲やまな
last update تاريخ النشر: 2026-02-09 14:12:30

「…………」

 まさか見えているのか?と疑問に思いながら、慌てて我が身を確認したが、季節に反して真冬向け並みの脂肪蓄えムッチリボディであるという問題点がある以外は至ってちゃんと姿を消せている。叶糸レベルが相手では通じないままだが、保有魔力が高めであろうが看破出来ないくらいにはしっかりと隠しているのにと不思議でならない。

 きっちりと跪礼されたままで、依然として御一行は頭を上げず、最前の中央に位置している一人以外は微動だにしていない。これでは埒が明かないなと考えはしたが、私はこのまま「……もしかして、私の姿が見えているのか?」と素直な疑問を口にした。

 即座に「——あ、楽にしてから答えて欲しい、ぞよ」とも付け加える。また変な見栄を張ってしまって恥ずかしくなったが、もう遅い。

 叶糸同様、彼らも私の変な言葉遣いを華麗にスルーしてくれ、まるで事前に訓練でもしたのか?と思うくらい綺麗に皆が一斉に顔を上げた。一番手前の中央で、一人だけずっと肩を震わせていた者が現在の当主である南風アルサだった。黒に近い茶色い髪色、同系色の瞳と褐色肌が特徴的な青年である。若いながらに一国の『宰相』という職に就いて
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  • 死に戻る君に救いの手を   【幕間の物語④】叶糸の三人目の——・後編(アルカナ・談)

     受け入れの為の準備期間を経て、五人の女性達が宮東家に居住まいを移したのは、叶糸達の結婚生活がもう直ぐ三年目に突入するかといった頃だった。当初は彼女達も弁えた態度を取っていた。夫夫の間に割って入る異物であると、五人全員でという無茶な提案を叶糸に受け入れて貰った側なのだと、自覚している様子でもあった。 五人とも過去に辛い経験をした女性達だ。きちんと契約書も交わしたと聞き、渋々ながらも宮東の意思決定に従い五人を屋敷に招き入れはしたが、叶糸は尚も不安だった。 彼氏の浮気に長年悩んでいたが、そもそも自分が本命ではなかったと知り、苦しんでいた子。 交際相手からのDVにより、精神的にも逃げられずにいたところを助けてもらった子。 成績でしか子供を評価しない親からの重圧に押し潰されそうになっていた子。 ホストにハマり、支払いの為に身売りをしていた子。 毒親の過干渉で、がんじがらめにされていた子—— 皆、一番苦しかった時に宮東に助けてもらった女性達だ。叶糸もその一人なので共感出来なくもないのだが、彼女達の妄執ぶりは、傍から見ていて異常に感じられる程だった。学生時代は宮東が何処に行くにも彼女達が周囲を囲み、かいがいしく彼の世話を焼き、何をするにも一緒だった。その為だけに全員同じ学部に転部までしたそうだ。しかも、どう見ても全員宮東に惚れている。そんな子達と同じ屋敷に住んで、本当に何もなく終わるのだろうか、と思うのは当然の疑問だった。 同居を始めるなり、早速彼女達はメイドが如く屋敷内で働き始めたのだが、その労力は全て宮東の世話のみに注がれていた。彼の食事だけを作り、部屋の掃除をし、風呂の手伝いまでしていたらしい。屋敷の管理や仕事の手伝いまで買って出る者もいたのだが、宮東に『それは叶糸の役目だから』と一線を引かれ、……芽生えた対抗心は叶糸へと向いた。 だけど、宮東の言う通り『屋敷の主人』はあくまでも叶糸なのだ。 貴族夫人達との交流も、屋敷で働く者達への指示管理も、領地経営の補佐といった秘匿義務のある作業も全て。子供が産まれれば出て行くと約束している者に任せるはずがないのに、既に彼女達にはその事に思い至る事など出来なかったみたいだ。 叶糸としては『妊娠』に関しては体外受精でもするのだろうと思っていた。同性婚の場合は大半がその選択をしているからだ。だが、宮東は

  • 死に戻る君に救いの手を   【幕間の物語②】叶糸の一人目の婚約者②(アルカナ・談)

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     叶糸の中で何かしらの心境の変化があったおかげで“変身”魔法が使える状態になったため、早速私は自身の姿を変える事にした。まずは一瞬だけ時間を止めて、『元から私は此処に居た』と周囲に“誤認”させる魔法をかける(こちらの魔法も違法の部類だが、まぁいい!)。そして得た数秒の間にヒトの姿をイメージしてこの場に構築していく。 記憶に残り難いように透明感のある雰囲気で。だけど強欲な惺流の気を引けるように種族は『人間』よりも“獣人”の方が良いだろう。長い髪は夜会らしく結い上げて、主催者が星澤家である事を考慮して服装は和洋どちらも組み合わせ、且つ動きやすく。刺繍という形で和柄も随所に取り入れる。古風なライ

  • 死に戻る君に救いの手を   【第11話】皮算用(アルカナ・談)

     この『ハコブネ』の『管理者』である私の『後継者』たる資格を持つ叶糸を救おうと、私が彼の元に来てから一ヶ月程経過した。その間は比較的平穏に過ごせていた方だと思う。まぁそうは言っても、義家族達から、小さいながらも保持している領地の管理や運営計画の書類作成や大学院の課題などを押し付けられてはいたけれど、理不尽な折檻が今は無いだけでも、見ていて多少はほっとした。 彼が大学の講義を受けている最中などの時間で、私は私で、自分の『お仕事』をひっそりとこなす。異空間に居る補佐達から送ってもらった惑星管理関連のデータを元に『ハコブネ』の環境の微調整をしたり、今後起こる可能性の高い災害の対策を立てた

  • 死に戻る君に救いの手を   【第8話】君に伝えるべき事②(アルカナ・談)

    「よし。まずは、この『ハコブネ』についての話を先にしようか、のう」 「小学や中学の時点で全て習っているぞ?」 「あ、いや。地理、構造や主成分とかに関しての話ではない、のじゃ。もっと根底の、始まりについてといった所だ、じゃな」などと、己の言葉遣いへの違和感をガン無視し、遠い目をしながら私は、私も前任の『管理者』から随分昔に聞かされた話を彼に語り始めた。  ——悠久の昔。 原初の宇宙に黒い靄の様なモノが誕生した。意思があるが、ただそこに『ある』だけで、何の目的も存在理由も無く、真っ暗な宇宙の中で身近にある全てを強欲に飲み込みながら、その『モノ』は、ただただ意味も無く彷徨い続けた。

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