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■85

Author: 水沼早紀
last update publish date: 2026-04-07 13:48:04

「朱里だって、自分に責任を感じてるんだろ? 今回のことで、より一層責任を感じたはずだ」

「それは……」

ハルキの言うとおりだ。なにも間違ってない。

「お前が選んだ生き方を、俺は否定はしない。 朱里が望んだことなら、尚更否定出来るわけはないからな。 それが朱里の望んだ生き方なのなら、俺たちにはそれを見守る権利がある」

「ハルキ……優しいね」

「俺が優しいのは、お前にだけだ」

「え……?」

ハルキは私の隣で「お前とこうして過ごす時間は、俺にとってかけがえのないものになってる。 空っぽだった俺の心に火を灯してくれたのは、お前だから」と照れ臭そうに話している。

「ねえ……それって、どういう意味……?」

「まあつまりは、お前がいないとダメってことよ」

「……それって、もしかして告白してるの?私に」

私がそう聞くと、ハルキは「まあ……告ってるかな」と正直な反応を見せた。

「え……? 本当に告白?」

もう一度そう聞いたら、「だから、そうだって言ってるだろ」と返された。

ハルキが、私に告白した……?

ハルキは恋愛になんて興味がないと思っていた。

思えば、ハルキから恋愛の話なんてあまり聞いたこともなか
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  • 殺し屋は愛に復讐を誓う。   □86

    「ハルキは、私の大切な家族だよ」「家族……そうか」「私はあの時から、ひとりぼっちだった。 でもハルキたちと出会って、私は一人じゃなくなった。一人でいることの寂しさを分かってるからこそ、私にはみんなが必要なの。……ボスに拾われたこの命だもの。大切にしなきゃって思ってる」 ハルキは私の頭をポンポンと撫でると、「それでこそ朱里だな。お前はやっぱり、強くなったな」と笑った。「……ハルキも強いよ」「俺なんて心はボロカスだよ。メンタルもだいぶ弱ってるしな」そう言われて、私は思わず「なんで弱ってるのよ?」と聞いてしまった。「わかるだろ? お前にフラレたからだ」「え……私のせい?」「俺はフラレたんだぞ、お前に。……だってお前は、アイツのことが好きなんだろ?」これは多分……ハルキの嫉妬、なのかな?「あのさ、違ったらごめん。 もしかして……嫉妬してる?」「……ああ、してるよ。  俺だって嫉妬くらいする」もしかして……あの時、ハルキがボスにあんなに怒ったのも……。「ハルキ……もしかしてボスにも、嫉妬してたの……?」「そうだよ。……本当のこと言うと、嫉妬した」「だから、あんなに怒ってくれたんだね。私のために。……あの時、私本当に嬉しかったよ」ハルキは少しだけ照れ臭そうに「そうか」と言うと、「朱里、引き止めて悪かった。俺帰るわ……じゃあな」と、私の前から背を向けて立ち去ってしまった。 「ハルキ……ありがとう」ハルキは誰よりも思いやりのある人だって、私分かってるから。それから私は、身体のことを考えてしばらく殺し屋の任務から離れることになった。妊娠しているこの身体では、まともに動き回ることも出来ないと感じたからだ。つわりもひどくなっているので、これが一番だと自分でも感じた。学校にも妊娠していることを話し、時を見て教師を辞めることも伝えた。学校側は驚きつつも、私のことを受け入れてくれたことがありがたかった。辞めなくても産休という形にすればいいのにとも言われたが、もうこの世界に戻れないと悟った私は、教師という仕事から離れることに決めたのだった。そう……これは、私なりの覚悟だ。 この世界ではもう、私は生きていけない。✱ ✱ ✱そんなある日のことだった。私の家のインターホンが突然鳴った。 玄関を開けると、そこに立っていたのはーーー。「朱里

  • 殺し屋は愛に復讐を誓う。   ■85

    「朱里だって、自分に責任を感じてるんだろ? 今回のことで、より一層責任を感じたはずだ」「それは……」ハルキの言うとおりだ。なにも間違ってない。「お前が選んだ生き方を、俺は否定はしない。 朱里が望んだことなら、尚更否定出来るわけはないからな。 それが朱里の望んだ生き方なのなら、俺たちにはそれを見守る権利がある」「ハルキ……優しいね」「俺が優しいのは、お前にだけだ」「え……?」ハルキは私の隣で「お前とこうして過ごす時間は、俺にとってかけがえのないものになってる。 空っぽだった俺の心に火を灯してくれたのは、お前だから」と照れ臭そうに話している。「ねえ……それって、どういう意味……?」「まあつまりは、お前がいないとダメってことよ」「……それって、もしかして告白してるの?私に」私がそう聞くと、ハルキは「まあ……告ってるかな」と正直な反応を見せた。「え……? 本当に告白?」もう一度そう聞いたら、「だから、そうだって言ってるだろ」と返された。ハルキが、私に告白した……?ハルキは恋愛になんて興味がないと思っていた。思えば、ハルキから恋愛の話なんてあまり聞いたこともなかった。好きな人がいるというのも聞いたことがないし、誰かと付き合っているということも、聞いたことがなかったかもしれない。まさかそんなハルキから、告白されるなんて……。「好きなの……?私のこと」「……まあ、好きじゃなきゃ告ってないからな」ハルキってば……あなたって本当に……。「相変わらず?素直じゃないのね」「……うるせぇ。素直じゃなくて悪かったな」ハルキの耳が猿みたいに赤くなっている。 こんなハルキ、見たことないかも……。「ハルキって、意外とかわいいとこあるのね」「はあ? かわいいってなんだよ……」「耳が真っ赤よ。お猿さんみたいにね」「う、うるせぇよ……」こんなハルキを見れる日が来るなんて……。「朱里……俺のこと好きになっていれば、良かったのにな」私はそう言われて、思わず「……本当にね」と答えた。「もし俺がお前なら、俺は迷わず俺を選ぶけどな」「うわっ、自意識過剰」「はあ? 言っとくけど、俺みたいなイイ男、なかなかいねぇと思うけど?」「それ自分で言う?」でもハルキといると、気持ちが楽になるのは確かだ。 気が楽なのは、心を許している証だと思うから。私に

  • 殺し屋は愛に復讐を誓う。   □84

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  • 殺し屋は愛に復讐を誓う。   ■83

    「……私は、あなたと結婚する気はないわ。なにを言われても……結婚する気はない」「今はまだ結婚するかどうかは、決めなくてもいい。……ただ、君のためじゃなくて、お腹の子のために決めるべきだ」そんな真樹の言うことを、私は聞く気はない。「私……ずっと考えてた。 どうやったら、私は幸せになれるのか。……分からないの、今でも」ただ、私は幸せになるために生きてるわけじゃなかった。 幸せなんて、求めてなかった。「……真樹、私とあなたは敵よ。 だから、私たちは一緒にいるべきじゃない。ましてや、結婚なんて……考えるべきじゃない」そんなの……絶対に無理だと思う。 「俺は……お前のためなら何でもやる覚悟だ。 お前と子供のためなら、俺はなんでもすると誓う」「あなたはレッド・アイでしょ? 私の知っているレッド・アイは、そんな優しい人なんかじゃない。あなたは冷酷で、残酷な人よ。 私は……そんな優しいあなたなんて知らない」真樹と千歳は、まるで正反対。真樹は冷酷な人で、父親は優しい人。 それでも……。「……確かに、俺は冷酷な人間かもしれないな。 殺し屋をやってるんだ。冷酷で当たり前だよ」「私だって冷酷な人間よ。私は千歳みたいに、優しくはない。私の心だって、とっくに腐ってる。……この仕事をしてるんだから、私だって優しくなんてなれない」私には、もはや生きる道が見つからない。「やっぱり俺たちは、似た者同士なんだな」「……そうね。似た者同士ね」だからこそ、私たちは一緒になれない。「私はいつか、あなたに復讐するわ。……必ず」「ああ、その時は……俺を殺せばいい」私ももう、潮時かもしれないわね……。「その時は、覚悟してね」「分かってる」お父さん、お母さん……レッド・アイが今ここにいるの。私の目の前に。復讐したいって思ってたの、ずっと。……なのに、出来ない。それは……私が彼を愛しているからだと思う。「真樹……教えてほしいことがあるの」「ん」「あなたは……どうして今も、ボスを殺さないの?」私はその理由を聞いていない。なぜボスを殺さないのか……。「お前らの前で、殺してやろうと思ったんだ。 お前らの前で、俺はKENGOに復讐してやろうと思って、今まで殺さずにいた」ボスに復讐したい真樹と、真樹に復讐したい私。 私たちは決して交わることはない。「私は……あなたに復

  • 殺し屋は愛に復讐を誓う。   □82

    私にそんなことが出来るわけはない。「あなたはボスをずっと恨んできたんでしょ?……それは私も同じよ。私もずっと、あなたのことを恨んでるから」「……なんとなく、出会った時からそうだと思ってたよ。 千歳から君を紹介された時は気付かなかったけど、君の顔を見た時に、似た顔を見たことがあると思った。……君はきっと、俺が殺した二人の娘なんだろうって勘付いたのは、その後だよ」私は真樹のその言葉に、「さすがレッド・アイね。……正解よ」と答えた。「千歳と付き合ってると聞いた時、君はきっと俺に復讐するために近付いたのだと悟ったよ。……千歳がいながら俺にセフレになろうと言ったのも、すべて俺に近付くためだと確信したんだ」「……やっぱりわかってたのね」レッド・アイなら当然、そうだろうと思ってた。 私の勘は、間違ってなかった。「私、あなたに聞きたいことがあるの」「なんだ?」 「どうして私とのセフレ関係を承諾したの? 私を殺すことなんて、あなたには容易に出来たはずじゃない。簡単に殺せたはずよ、私なんて。……なのにどうして、殺さなかったの?」私が真樹にそう聞いた時、真樹は「……君を愛してしまったからだ」と答える。「え……?」「俺も君が俺に復讐しようとしていることは、わかっていた。だが、それにはあえて気が付かないフリをした。……なぜなら俺は、君を心から愛してしまっていたからだ。 君を愛しているからこそ、君を幸せにするために、気が付かないフリをするべきだと悟ったんだ」どうして……。そんなのレッド・アイらしくない。草原真樹、らしくない。 「……私を愛しているから、子供を産んでほしいって言ったの?」「そうだ。俺は君と君の子供を、幸せにするべきだと感じた。 君にもし拒否されようと、俺は無理矢理にでも君のそばにいると言ったと思う。……これは本心だ。ウソなんかじゃない」どうして……。どうして、私を困らせるようなことを言うの?私にそんなことを言う必要なんてないのに。「……私は、決して幸せになんてなれない。 ううん、幸せになるべきじゃない。 私はこの子を守ることが、きっと出来ない気がするの。私は強くなんてないし、幸せになることを望まれていない」「そんなことない。君は幸せになるべきだ。 大切なものが出来ただろ?」「……大切なもの」真樹は私の手をぎゅっと握りしめると、「君のお

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    「その殺し屋は……一体誰なの?」真樹の口から語られたその名前はーーー。「……KENGOだよ」「……っ!?」えっ……。えっ? ボス……?ボスが、真樹の恋人を……? そんなの……信じられない……。「俺の恋人を殺したのは……君のボスだよ、朱里」「ウソ……。ウソよ、そんなの……」絶望する私に、真樹は「だから俺は……殺し屋になったんだ。 君と同じだよ、朱里」と告げた。「……ボスが、あなたの恋人を殺したの?」「そうだ。……だから俺は、君のボスに復讐するために殺し屋になった」そんな……。真樹は、ボスを恨んでるんだ……。「……あなたも、私と同じなのね」同じ境遇の私たちは、似た者同士ということなんだ。……私も真樹も、同類だったんだ。「……朱里、俺は君のボスを許すことが出来ないよ。君と同じで、一生許すことが出来ないと思う。 大切な人を奪われた悲しみは、君も充分に分かってるだろ」「……あなたの言うとおりよ、真樹」「でも俺は、君を愛してる。……愛する人が出来たんだ、俺にも。君という人が」私は……なんて言えばいいのだろうか。 彼を恨んでるのは確かで、そうしたいと思ってた。でも……分からなくなった。なにも言うことは出来ない。「朱里、俺はどうなっても構わない。 だから、千歳を開放してくれないか。千歳は何も悪くないんだ。何も関係ないんだ。 だから……頼む、千歳を開放してやってくれ」「……わかった。開放してあげるわ」 私は真樹からの頼みを受け入れた。 ハルキに連絡をして、千歳をすぐに開放するように伝えた。 ハルキは驚きながらも「ああ、わかった」と了承してくれた。「約速通り、千歳を開放したわ」「ありがとう……朱里」真樹、これであなたは満足なの?「真樹、あなたボスに会いたい?」「え……?」私は真樹を見つめながら、「ボスに会いたいなら、会わせてあげる」と伝えた。「……なぜだ?」真樹は不思議そうに私に問いかける。「ボスに復讐がしたいんでしょ?……だったら、復讐すればいいじゃない」なぜこんなことを言ってしまったのか、私にも分からない。 でも、私がこの男に復讐したいのと同じように、真樹もボスに復讐したいと思っていた。「君のボスだろ? いいのか、君はそれで」「……私もあなたと同じよ。だから、復讐したければすればいいわ。 ボスだってきっと、復讐し

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