Masuk「マスター、お釣りはいらない。こちらのお姉さんの分も入ってるから」
「かしこまりました。いつもありがとうございます」
そして彼は私の手を引き、そのままバーを後にする。
「お姉さん、俺に着いてきて」
「……分かったわ」
彼は私のターゲット。ここまで来た時点で、私の勝ち。
彼と身体を重ね合わせれば、私の勝利だわ。 この身体を武器に、私はこうやって生きている。彼の後を着いていくと、着いた場所はちょっと高級そうなラブホテルだった。
「ねぇ、この部屋でもいい?」
「うん」
彼は手慣れた様子でホテルの部屋にチェックインすると、私の手を引いてエレベーターに乗り込む。
カードキーをドアにかざすと、私の先に部屋の中へと入れる。「先シャワー浴びてもいい?」
彼は先にシャワーを浴びたいと言い出す。私は「どうぞ」と一言声をかけると、ベッドへと腰掛ける。
「すぐに出るから、ちょっと待ってて」「焦らないでいいよ。……夜はこれから、でしょ?」
そう言って笑う私に、彼は「今日は最高の夜になりそうだな」と厭らしい言葉を吐き、そのままバスルームの扉を閉める。
その間に私は、ベッドの下にボイスレコーダーを設置し、彼から見えない場所に隠しカメラを設置していく。
これで証拠はバッチリと押さえられる。証拠はしっかりと残すのが、殺し屋の仕事だから。その後彼がバスローブを着てバスルームから出てきたことを確認し、私も手早くシャワーを浴びる。
ボスに何度も抱かれてきたこの身体を武器に、私は何人もの男を抹殺してきた。ターゲットの抹殺のためなら、私は自分の身体を犠牲にだってする。 初対面の男とこうやって身体を重ね合うことさえも厭わない。
それが私の殺し屋としてのやり方だからだ。このやり方が間違っているとも思ってはいない。 それに男に媚びない私には、これがピッタリのやり方だからだ。
このやり方で、私はターゲットを抹殺してきたのだから。「お姉さん、名前は……?」
私の身体を厭らしく触る彼は、私にそう聞いてくる。「……梓咲(あずさ)」
もちろん偽名だ。初対面の男に本名なんて教える訳はない。「梓咲か……。君にピッタリの名前だ」
「あなたは……?」
そう問いかけると、彼は私が殺し屋だということを知らずに本名を名乗った。
「今だけ、梓咲って呼んでいい?」
「……いいよ」
本当にバカな男だ。この男は私のことを全く疑わない。 本当に男って単純ね、呆れるくらいに。
「梓咲……っ」
「んっ……あっ」
理性を飛ばした直弥は、しばらく愛撫を続けた後、避妊具を纏い私の中に直接入り込んでくる。
「んっ、はっ……」
「ん……ヤバッ。梓咲の中、気持ちいいな……」
そう、私は直弥のこの顔が見たかった。この顔が……。
「気持ちいい……?」
「すげぇ気持ちいい……」
直弥はよほど気持ちいいのか、私の中を何度も上下しながら腰を揺らしていく。
そんな私を見つめながら、直弥は「梓咲も気持ちいい?」と聞いてくる。「ん……気持ちいい」
そう、男は単純だ。こうやって言っておけば、素直に喜ぶ。
でも確かに、直弥は何人もの女としてきたことが分かるくらいテクニックを持っているのは、確かだ。「ならこれからもっと、気持ちよくしてやる」
「あっあっ……! ダメッ」
直弥は私の身体を、今度は先程よりも激しく揺らしていく。
仰け反る私の身体をしっかりと掴み、私の腕をグッと力強く握ってくる。「梓咲の中……マジでヤバイ」
そう、この情事は計画的な情事にしか過ぎない。このセックスには愛なんてものは存在しない。
それどころか、たった濃密な一夜を共にするだけの関係だ。「そんな気持ちいい?」
「気持ち良すぎだって……。こんなに気持ちいいセックスは久しぶりだ」
なるほどね……。直弥の身体も満たされてはいないってことね。
直弥を満足させる女はいなかったってことか。「私もよ……こんなに気持ちいいセックス、久しぶりよ」
セックスなんてただの作業。淡々としてれば終わるもの。
「梓咲、もっとして欲しいって顔してるな」
潮江直弥、私はあなたと恋に落ちたりしないから、安心して。
身体の相性なんて、この時だけの気の迷いにしか過ぎない。「ん……もっとして……直弥」
そうやって背中に腕を回して縋る私に、直弥が「じゃあ遠慮なく」と笑う。
ハルキのその真剣な眼差しに捉えられて、目が離せなくなった。「朱里が後悔してるとの同じように、アイツだって……きっと、後悔してると思うけどな」「え……?」「実はアイツ……この間、俺たちのところに来たんだよ」真樹が……ハルキたちのところに? どうして……。「朱里のこと、心配してたみたいだった」「心配……?」「朱里のこと守って欲しいって、俺アイツに言われたんだけど」真樹が……ハルキにそんなことを……?「もちろん、断ったけどな」「えっ……?」断った……? どうして?「好きな女のこと守りたいなら、てめぇで守りやがれ!って怒鳴りつけてやった」「ハルキ……」ハルキは私に、「俺だって……本当は、お前のこと守りたいよ。俺が守ってやりたいって、そう思うよ」と子供たちの顔を見ている。「でもお前のことを幸せに出来る相手なんてさ……一人しかいねぇだろうが」ハルキのその悔しそうな顔を見たのは、初めてかもしれない。「ハルキ……っ」「お前はアイツのこと好きなのに、なに意地張ってんだよ。 アイツのこと好きなら、堂々としていればいいだろ」ハルキがこんなに真剣に私のことを考えてくれるなんて、思ってなかった。「好きなのに自分から距離をおこうとするなんて……お前はやっぱりバカだな。 泣くくらい愛してるんだから、離れられるわけがねぇだろうよ」ハルキにそう言われて、私はなにも言い返せなかった。 本当にその通りだと、思ったからだ。「朱里、いい加減くだらないプライドなんて捨てろよ」ハルキは、私にそう告げるのだった。「お前のことを守るべき相手は……俺じゃない」「っ……ハルキ……」悔しいけど、私の好きな人は……愛おしいと思う人は、本当に一人だけだ。「お前が幸せになれるのは……アイツしかいねぇだろ」「っ……」「いい加減、認めろよ朱里。 アイツのことどうしょうもないくらい好きなんだから、そんなプライド早く捨てろ」ハルキのその力強い言葉に、私は「うん……ごめんね、ハルキ……」と謝った。「ったく、お前は……世話の焼ける女だな」「うるさいよ……」そんな私の頭に手を乗せると、ハルキは優しく撫でて「お前が選んだ道なら、俺は応援するよ。 だから、行ってこいよ」と背中を押してくれた。「でも、憐と爽が……」憐の爽を置いていくことなんて、出来ないと思ったけど、ハルキが「
「朱里……それって……?」「勘違いしないで。……別に、あの人のことを許してはいない。 ただ、この子たちの父親であることには違いないから。この子たちの幸せを願うなら……きっと変わると思ってる。 私たちを平等に愛してくれるなら、きっと何かが変わる気がするのよ」真樹の気持ちなんて、わからない。 でも……信じることは出来るから。「朱里は……強いな」「強くなんて……ない。 だから私はこれから一緒に強くなっていくから、この子たちとね」千歳は私に「頑張れ、朱里」とエールをくれた。✱ ✱ ✱子供が産まれてから、早四ヶ月が過ぎた。「朱里、荷物持つよ」 「ありがとう、ハルキ」「おう」 子供が産まれてから、ハルキが時々こうやって手伝いに来てくれていた。ハルキが手伝ってくれるおかげで、私の気持ちは時々、晴れやかに感じる。「お、元気だな」「うん。二人とも、すごく元気なの」産まれた子供たちの名前は、千歳や真樹が考えてくれた名前と、自分の候補からいくつか上げて決めた。「で、どっちがどっちだ?」「この子が憐(れん)で、この子が爽(さわ)だよ」「憐と爽か。似てるからわからなくなるな」「だって双子だし」二人の子供を抱えてこれから生きていくのは、大変だと思う。一人じゃ多分、無理だと思う。でも私は……それを絶対にやり遂げたい。 愛した人の子供だからこそ、絶対に幸せにしたいと思う。気になっていた子供たち二人の血液型も後に判明したけど、やはり真樹と同じ血液型だった。 あの子たちの父親は、真樹で間違いない。「ねえ、ハルキ……」「ん?」 私はハルキに「ちょっと弱音を、吐いてもいいかな……?」と問いかける。 「ちょっとだけ……弱音を吐きたいの」そんな私に、ハルキは「俺で良ければ、話聞くよ」と言ってくれる。「……ありがとう」弱音を吐くことは、決して好きではない。 だけど、弱音を吐かないと自分が壊れてしまいそうな気がしてしまって……。「私……本当は、アイツと一緒にいたいんだ」「うん」「本当に、アイツことを愛してるの……。だから、本当は、一緒にいたい。ずっと一緒に……いたい」そんな私の弱音を、ハルキは優しく受け止めてくれる。「そっか。そんなに好きなのか、アイツのこと」「……うん。どうしようないくらい、好きなの」やっぱり、とうしたって忘れられ
無事に出産を終えてから私が退院した日、千歳が私の前に現れた。「え……千歳?」「退院おめでとう、朱里」千歳は出産の日、学校の行事で来れなかったそうだ。 予定日よりも早まってしまったため、立ち会いが出来なかったことを後悔しているらしい。「ありがとう」「お。朱里に似て、かわいいな」「うん。双子だから、二倍かわいいよ」千歳は「カバン、持つよ」と私のカバンを持ってくれる。「ありがとう」「兄貴、嬉しかったってさ」「え?」「朱里の子供が無事に産まれてきたことが、本当に嬉しかったって言ってた」確かにこの子たちの顔を見た時、真樹は本当に嬉しそうだった。 この子たちの未来が明るくて楽しくなることを、私は信じている。「この子たちの父親……千歳じゃないかも」「……そうか」「ごめんね」なんのごめんねなのか、そう聞かれると難しいけど、ごめんねって思ってしまった。「いいよ、別に。……朱里の子供が元気なら、俺はそれでいいし」千歳……あなたはやはり、優しいのね。こんな時なのに、優しい。「私……真樹とは一緒になるつもりないの」「え……?」病院の出口を出て少しした所で、私は千歳にそう話した。「結婚はしないし、一緒にもならない。今後も」「……それは、兄貴が敵、だからか?」千歳はきっと、悟っているのだろう。 私が、真樹に対してどう思っているのか。「そうね。……その通りよ」だけど千歳は、それを聞いても冷静なままでいる。「でも……俺とも一緒にはならないんだろ?」千歳からそう聞かれた私は、「そうよ。あなたとも、一緒にはならない」と答えた。「朱里が一人で生きていくことを決めたなら、俺はそれを応援したいと思ってる。 でも……一人で苦しまなくていい。辛い時、泣きたい時は、いつでも俺たちを呼べよ。すぐに飛んでいくからさ」千歳のその優しい言葉は、もう充分聞いている。 だからこそ、その優しさが自然と出るものなんだと気付いた。「……ありがとう、千歳」「朱里……兄貴も、朱里のこと想ってるよ」「え……?」千歳は私と歩幅を合わせながら、ゆっくり歩く。「だからこそ、兄貴のこと……もっと頼ってやってほしい」そんな千歳の優しさに、私はもっと感謝すべきだったのかもしれない。「あなたは……どうして私のことを、そんなに心配するの?」私が千歳にそう聞くと、千歳は表情を変
「手も足も、小さいね」「小さいな。……赤ちゃんだし、当たり前か」産まれきて我が子たちは、一卵性双生児だった。 二人とも全く同じ顔をしていて、本当に見分けが付かない。 本当にどっちがどっちなのか、私にもわからないくらいだ。「あなたに……なんとなく、似てる気がする」「そうか?」「うん……特に鼻とか、似てるかも」この子たちの顔を見て確信した。……この子たちの父親は、やはり真樹だと。鼻や口が、真樹にそっくりだ。 真樹と千歳は兄弟だけど、このこの子たちは千歳に似てる感じではない。もちろん血液型にもよるけど、多分真樹が父親で間違いない気がする。「そっか。 じゃあこの子たちの父親は……」「あなたかも、しれない。……血液型次第だけど」「まあ、そうだな」よりにもよって、こんなに憎いはずの男の子供を、私は産んでしまった。でも産んだことを後悔していない。 父親が誰であろうと、私の子供であることに変わりはないから。子供の母親は、一人だけしかいない。 この私だけだから。「でも、将来はあなたに似て……きっと美形になるわね」「だといいけどな」「なるわよ、きっと。……あなたは、私が愛するくらい、イイ男だもの」私にはかけがえのない宝物が二人も増えた。大切に大切に、育てていきたい。この子たちには、幸せに生きてほしいから。だから私は、この子たちに全力でたくさんの愛を捧げたい。「これからは……この子たちと一緒に、生きていくわ。 あなたのことを愛してるけど……あなたは、私の敵だから」私がずっとずっと、復讐したい男。 なのに、深く愛しすぎてしまったーーー。「わかってる。 俺にとって君は、復讐の相手だろ?」「そうよ。……だから私、あなたと一緒にはならない」真樹と一緒に生きていけたら、本当はすごくいいのかもしれない。 それがこの子たちにとっても、一番いいはずなのは分かってる。それでも私は……それを選べない。 私にとって真樹は、復讐の相手で。今でもずっと、殺したい相手だから。「……そうか。君のことをどれだけ想っていても、君の一番にはなれないか」そう言った真樹の表情は、少し悲しそうにも見ええてしまう。「だけど……私はこれからも、あなたを愛すると思うの」「え……?」愛するはずなの。 この気持ちに、ウソは付けない。「だからこそ、一緒にはなれない……わかって
「もうすぐ……会えるからね」「楽しみだな」「……うん」私はこの子たちの母親になる。 父親が誰であろうと、私がこの子たちを守り抜く。「真樹……あなたは、この子たちの父親になる覚悟が……今でもあるの?」真樹の気持ちが知りたい。「その覚悟なら、とっくに出来てる」「……そう」私は……真樹とどうなりたいのだろうか。本当は、殺したいくらい憎いはずなのに……。私はその気持ちが、わからなくなっていた。「……朱里」私の頬に触れる真樹のその手が、妙に温かくて……。「真樹……」その手の温もりが心地良く感じる私は、その真樹の手をつい取ってしまう。「朱里……?」 私はその手を振り払えなくて、そのまま真樹の唇に自分の唇をつい重ねてしまう。「私……あなたのことが好き」「俺も……好きだ。愛してる」私はイケない人間になってしまった。 こんな男を愛してしまうなんて……。こんな冷酷な男を愛してしまうなんて……私はイケない人間になってしまった。こんな憎い男を愛してしまうほど、私は落ちぶれてしまったんだなと、つくづく実感する。こんなはずじゃなかった。……こんなはずじゃ、なかったのに。なんで私は、この男のことを愛してしまったんだろうか。 どうして……。そんな虚しくなる気持ちを抱えてしまうほど、私は弱くなってしまったのだろうか。「朱里……?」「好きだよ……真樹。 大好きだよ……」でもこの気持ちだけは、どうしても止められそうにない。 私の気持ちだけは、もう止まらない。✱ ✱ ✱それから数日が経った頃ーーー。「おめでとうございます、お母さん。 元気な双子の男の子ですよ!」私は、双子の男の子を無事に出産した。 予定日よりも数日早い出産となったが、無事に産まれたことが嬉しかった。思えば、買い物の途中に破水してしまい、急遽病院に運ばれて、そのまま病院で出産することとなった。初めて陣痛は、どうしようもなく痛くて、死にそうだった。「おめでとうございます。 元気な双子の男の子ですよ」「そうですか。……良かった」その隣にいるのは、真樹だ。「お父さんに似て、美形なお子さんですね」「それは嬉しいです」急に出産することになったと伝えたら、真樹はすぐに病院に飛んできた。 一人では不安だろうから、付き添いたいと言ってくれたのは、真樹だった。 真樹は私のそばに
私が紅茶の中の砂糖を混ぜながらそう答えると、真樹は「出産の日……一人なのか?」と質問してくる。「……そうだけど、なんで?」真樹はなぜ、そんなことを聞くのだろうか。 私たちは夫婦ではないのだから、立ち会ってもらうつもりは私にはないのだけど……。「なら、俺たちが……立ち会ってもいいか?」「え……?」今、俺たち……って、言った?「立ち会うって……二人でって、こと?」「ああ。 俺と千歳、二人で立ち会いたい」「……どうして? どうして、そこまで?」私のために、そこまでしてくれる理由がわからない。 私は一人で産む決心をした。なのに、なんで……立ち会いたいだなんて言うのだろうか。「見たいんだ。……子供が産まれる瞬間を、純粋にこの目で見たいと思ったんだ」命が尊いからこそ、その瞬間をこの目に焼き付けたいのだと、真樹は私に懇願した。「……立ち会いたいなら、別にいいけど」真樹は「本当か?」と私を見る。「うん……もちろん」真樹は私の前に来ると、私をそっと抱きしめる。「え……? 真樹?」「俺……自分の子供が産まれることって、想像してなかった。でも……今はすごく楽しみなんだ」自分でも信じられない。真樹が……真樹じゃない。 これは私の知っている、真樹じゃない。私の知っている真樹は、冷酷な人なはずだ。 「俺が何を言ってるのかって思うだろうけど……本当に、そうなんだ」「……そっか」真樹は変わったと思う。 あなたはレッド・アイで……最強の殺し屋だと思っていたのに。こんなに優しい人じゃないと、思ってた。「真樹……」「ん……?」私は真樹の手を握りしめ、真樹を見る。「あなたのこと……今でも愛してるのは、変わらないわ」「朱里……?」「だから、あなたに優しくされると……」優しくされると……困るのよ。 そう言いたいのに……なかなか言えない。「優しくされると……何だよ?」真樹は私の顔を覗き込んでくる。「……なんでもない。忘れて」私は真樹から目を逸らし、紅茶を口にする。 そんな私に、真樹は「朱里……」と私の肩に触れる。「あなたの優しさに触れると……私、惨めになるの」「え……?」「あなたは冷酷で、残酷な殺し屋で……。私はあなたが悪くて仕方ないのに……あなたの優しさに触れると、私は惨めに感じるの。 母親になることを決めて、強くなろうと思ったの
「っ!? あ、アンタたちは……!?」「な、なんでお前らがここにいるんだよ!?」二人は慌てていて、なぜ被害者たちがここにいるのかと驚いている。「雅人、報道陣スタンバイさせて」「了解」私は再び「こちらのスペシャルゲストの方たちから、お二人にとっておきのプレゼントを用意してもらいました! では、皆様どうぞ!」と私は視線の先にいる彼らに合図を送った。「おい、ほのみ!どうなってんだよ!」「私に聞かないでよ!私に聞かれたって分からないわよっ!」ついに二人は口論を始める。「僕たちは、ここにいる鍵谷ほのみさんに騙されてお金を巻き上げられました」「結婚しようと言われて、結婚資金を一緒に貯め
「ハルキ、雅人、映像が始まったら私たちは捌けるわよ」「了解」「報道陣と警察はすでに待機させてるから、頃合いを見て私たちはここから出ましょう」そんな私に雅人は「お前、どうやって報道陣を呼んだんだ?」と聞いてくる。「週刊誌にタレコミの電話をしたのよ、匿名でね」 そのおかげか、報道陣はたくさん集まったわ。これならもっと社会的抹殺に相応しいわ。「週刊誌ってどこだよ?」「そんなの、奏出版に決まってるじゃない」「おいおい、マジかよ」「まあ、今日は見ものね。ワクワクしちゃうわね」どんな結末になるのか、見ものだわ。 これぞ社会的抹殺だってことを見せてあげるわ。「さて、そろそろ主役の登
「そうなると、山藤にもなにか動きがあるかもしれないわね」「そっちは任せた」「OK。山藤のカバンの中に盗聴器を仕掛けてるから、なにか分かるかもしれない。 山藤のスマホにもバレないようにGPS仕掛けてるから、なにか動きがあればすぐに分かるようになってる」「さすが朱里。根回しが早いな」 「なにか分かったらすぐに連絡する。 ハルキ、アンタはとりあえずそのまま、ほのみに騙されたフリを続けてて」私がそう言うと、ハルキは「朱里、なにするつもりだ?」と聞いてくる。「きっと山藤とほのみ二人で詐欺を仕掛けてくるはず。 だから、二人一緒に捕まえる」「二人同時に抹殺するってことか?」 「そういう
「そういや朱里、お前彼氏いるんだろ?」ハルキにそう聞かれたた私は、「ああ、千歳のこと?」と聞き返す。「だっけ? その彼氏のことはいいのかよ、ほっといて」「いいのよ。……多分、そろそろ潮時かもしれないから」私がそう言うと雅人が「潮時?」と聞き返してくる。「今会うのを控えてるの、彼とは」「なんでだよ?」「ウザくなってきたのよ。……束縛が」その言葉を聞いた雅人は「うわー。束縛する系?」と私に言う。「ちょっとね。 愛してるとか言われるけど、なんにも響かないんだよね。 最近私が浮気してるんじゃないかとか疑ってるし、マジでウザイ」「お前って、マジで恋愛には向かない女だな」「私もそう