Masukこんなにも愛おしいと思う人は、きっとこの先現れることはないだろう。私が選んだこの道が正しいのかは、わからない。それでもいつか、正しかったと思ってもらえるように努力をしたい。「かわいいこと言うな、朱里」「ん……かわいく、ないっ」真樹に「かわいいよ、朱里は。すごくかわいい」と唇を重ねられていくと、真樹と視線が絡んで恥ずかしさの反面、嬉しさが増していく。「真樹……もっとちょうだい」「ん? 欲しいのか?俺が」「……わかってるくせに、聞かないでよ」真樹のこういうところはずるい。分かってて聞いたりするから。でもそういうところも、なぜか好きだと思ってしまう。「やっぱり朱里は、最高の女だな」「ちょっと、そこはダメッ……」「ダメじゃないくせに」「やっ、ちょっと……んん」 その後は、私の身体が真樹に支配されていき、激しくベッドが揺れるほど、お互いを求め続けた。「っ……ごめん、イクッ」 「ん……私も一緒に、イキたい」 「ああ、一緒にイクぞ」私は果てるまで真樹に抱かれ続けた。 何度も手を握りしめ、愛してると呟いてーーー。✱ ✱ ✱日が沈み始めた頃、私は憐と爽の元へ帰宅した。真樹も一緒に。ハルキには「ありがとう」とお礼を伝え、ハルキの帰る姿を見送った。「憐、爽、ただいま。遅くなってごめんね」「ごめんな、待たせて」二人の寝顔はすごくかわいくて、すやすやと眠っている。家に帰る道中、私と真樹はお互い離れないように手を繋ぎながらここに来た。 真樹の手は温かくて、大きくてポカポカとしていた。「朱里の手は、小さいな」「え?そうかな」なんて付き合いたてのカップルみたいな会話をしながらここに来たけど、なんか嬉しかった。「憐と爽、大人しく寝てるといいな」「どうだろうな」「今ハルキが見てくれてるから、大丈夫だと思うよ」真樹はハルキの名前を出した時、「俺さ、この間アイツらに会いに行ったんだ」と言い出した。「それ、ハルキに聞いたよ」「そうか。聞いたのか」「うん。ハルキに、好きな女のこと守りたいなら、てめぇで守りやがれ!って怒鳴られたんでしょ?」私がそれを話すと、真樹は「なんだ、知ってたのかよ。……でもアイツの言う通りだなって思って、あの時何も言い返せなかったんだ」と私に言った。「俺って、意外と臆病だったんだなって気付かされて、自分が怖くなっ
この人をこの先、どこかで殺す日がもし来るとしたら……私はきっとそうするだろう。躊躇いなんて捨てて、そう出来たらいっそどれだけいいことか。「その日が来るまで、楽しみにしてるよ」「望むところよ、草原真樹。あなたは永遠に、私の敵なんだから」真樹はフッと微笑むと、「俺だって殺し屋だ。君が俺を殺そうとしたら、返り討ちにするかもしれないけどな」と私に返した。「その時は……本気で闘うから、私も」その時がもし来たら、私は真樹だろうが殺し屋としての意地を見せるしかない。「なら、お互いもっともっと愛さなくちゃな。 溺れるくらいに、深く深く」「そうね。 あなたの方が私を愛してるんでしょうから、その愛がなくならないように、気をつけなきゃね」「何言ってんだ。お前の方が、俺のこと愛してるくせに」「……それはお互い様じゃない」でもこうやって言い合いをすることも、楽しいと思えてしまう。 不思議なほどに、このやり取りすら愛おしいと感じる。「朱里?」「なに……?」名前を呼ばれた瞬間、私の身体は真樹にグッと引き寄せられ、そのまま唇を奪われる。「んっ……っ」真樹の唇は熱くて、情熱的だった。「朱里、愛してる」「私も……愛してる」私はやっぱり、この男には勝てないのだろうか……。この人に愛されることを強く望んでいる自分がいるのがわかるからこそ、悔しく感じる。「朱里……」「まさ、き……」私たちは再び、お互いの身体をピッタリと寄せ合い深いキスをした。 真樹とのキスは、控えめに言って最高だ。「ん……ちょっと、ボタンッ……」真樹が右側の手で、私のシャツのボタンを器用に外していく。「イヤだった?」そう聞かれると、素直になり「……イヤなわけ、ないじゃない」と答えてしまう。「素直でよろしい」「えっ! ちょ、ちょっと……!?」真樹は私をお姫様だっこし、そのまま寝室のベッドへと、私を運び込む。「懐かしいな。 このベッドで、何度君を抱いたんだろうな」「……さあ、何回だろうね」「数え切れないくらい抱いたな、君を」このベッドで真樹に抱かれた時の温もりや感覚は、忘れられない。本気で心地良くて、何度も身体に真樹を刻み込まれたから。「朱里……君は俺のものになったってことで、いいんだよな?」「……そうよ。私は、あなただけのものよ」大好きで愛おしい人が目の前にいる。彼の
お母さん、お父さん……私を許してくれる? 私ね、二人を殺した殺し屋を、愛してしまったの。その人の子供まで産んだの。そんな私のこと……許してくれる?私……そもそも、許されるのかな。 禁断の恋をしてしまった私は……許されるのだろうか。「あなたのそばに……いたい」「朱里……」真樹は力強く、私のことを抱きしめる。そして「俺も……もし許されるなら、君のそばにいたい」と言ってくれる。「君のそばで……君と子供のために、償いたい」「真樹……お願い、ずっと私のそばにいて……」こんなに涙でぐちゃぐちゃの顔なのに、真樹は私の涙を拭ってくれる。「いいのか。……俺がそばにいても」私は真樹に「もう二度と……あなたと離れるのはイヤなの」と自分の気持ちを告げる。「朱里……俺、償うから。 君と子供のために、絶対に変わるから」「あなたの、子供なんだから……あなたは父親として、あの子たちにたくさん愛情を注いであげてほしい。……あの子たちの未来には、あなたが必要なの」真樹と私の大切な子供だから、絶対に守り抜きたい。幸せだと思えるように、産まれてきて良かったと思ってもらえるように、私たちはたくさん愛をあげたい。「……ありがとう、朱里。愛してる」「私も……愛してる」私たちは、決して結ばれるべきではなかった。本当なら結ばれることすら、許されない存在のはずだった。それでも、私たちはお互いを深く愛してしまった。 だけどそれは、私たちの生きる道になったことに違いはなくて……。「朱里……」「素直に……あなたを受け入れることが出来なくて、ごめんなさい」真樹はそんな私に「いいんだ。……気にしないでくれ」と微笑んでくれる。あなたを深く愛してしまったことで、私は何もかもを失うことが、とてつもなく怖かった。大切な人や大切なもを失ったら、私はこの先もきっと自分を恨むだろう、そう思えるほどだった。 だからこそ私は、この生き方を選んだつもりだった。 でも……そうじゃなかったことを分かった。私は本当に、ハルキの言うとおりバカだった。 もっともっと、自分に素直になるべきだったのに。「朱里……俺との結婚は、考えてくれるか?」真樹からのプロポーズみたいな言葉に、私は「うん、考えてあげる」と答えた。「そうか。じゃあ……結婚してくれる日まで、待たないとだな」「……待っててくれる?」
ハルキのその真剣な眼差しに捉えられて、目が離せなくなった。「朱里が後悔してるとの同じように、アイツだって……きっと、後悔してると思うけどな」「え……?」「実はアイツ……この間、俺たちのところに来たんだよ」真樹が……ハルキたちのところに? どうして……。「朱里のこと、心配してたみたいだった」「心配……?」「朱里のこと守って欲しいって、俺アイツに言われたんだけど」真樹が……ハルキにそんなことを……?「もちろん、断ったけどな」「えっ……?」断った……? どうして?「好きな女のこと守りたいなら、てめぇで守りやがれ!って怒鳴りつけてやった」「ハルキ……」ハルキは私に、「俺だって……本当は、お前のこと守りたいよ。俺が守ってやりたいって、そう思うよ」と子供たちの顔を見ている。「でもお前のことを幸せに出来る相手なんてさ……一人しかいねぇだろうが」ハルキのその悔しそうな顔を見たのは、初めてかもしれない。「ハルキ……っ」「お前はアイツのこと好きなのに、なに意地張ってんだよ。 アイツのこと好きなら、堂々としていればいいだろ」ハルキがこんなに真剣に私のことを考えてくれるなんて、思ってなかった。「好きなのに自分から距離をおこうとするなんて……お前はやっぱりバカだな。 泣くくらい愛してるんだから、離れられるわけがねぇだろうよ」ハルキにそう言われて、私はなにも言い返せなかった。 本当にその通りだと、思ったからだ。「朱里、いい加減くだらないプライドなんて捨てろよ」ハルキは、私にそう告げるのだった。「お前のことを守るべき相手は……俺じゃない」「っ……ハルキ……」悔しいけど、私の好きな人は……愛おしいと思う人は、本当に一人だけだ。「お前が幸せになれるのは……アイツしかいねぇだろ」「っ……」「いい加減、認めろよ朱里。 アイツのことどうしょうもないくらい好きなんだから、そんなプライド早く捨てろ」ハルキのその力強い言葉に、私は「うん……ごめんね、ハルキ……」と謝った。「ったく、お前は……世話の焼ける女だな」「うるさいよ……」そんな私の頭に手を乗せると、ハルキは優しく撫でて「お前が選んだ道なら、俺は応援するよ。 だから、行ってこいよ」と背中を押してくれた。「でも、憐と爽が……」憐の爽を置いていくことなんて、出来ないと思ったけど、ハルキが「
「朱里……それって……?」「勘違いしないで。……別に、あの人のことを許してはいない。 ただ、この子たちの父親であることには違いないから。この子たちの幸せを願うなら……きっと変わると思ってる。 私たちを平等に愛してくれるなら、きっと何かが変わる気がするのよ」真樹の気持ちなんて、わからない。 でも……信じることは出来るから。「朱里は……強いな」「強くなんて……ない。 だから私はこれから一緒に強くなっていくから、この子たちとね」千歳は私に「頑張れ、朱里」とエールをくれた。✱ ✱ ✱子供が産まれてから、早四ヶ月が過ぎた。「朱里、荷物持つよ」 「ありがとう、ハルキ」「おう」 子供が産まれてから、ハルキが時々こうやって手伝いに来てくれていた。ハルキが手伝ってくれるおかげで、私の気持ちは時々、晴れやかに感じる。「お、元気だな」「うん。二人とも、すごく元気なの」産まれた子供たちの名前は、千歳や真樹が考えてくれた名前と、自分の候補からいくつか上げて決めた。「で、どっちがどっちだ?」「この子が憐(れん)で、この子が爽(さわ)だよ」「憐と爽か。似てるからわからなくなるな」「だって双子だし」二人の子供を抱えてこれから生きていくのは、大変だと思う。一人じゃ多分、無理だと思う。でも私は……それを絶対にやり遂げたい。 愛した人の子供だからこそ、絶対に幸せにしたいと思う。気になっていた子供たち二人の血液型も後に判明したけど、やはり真樹と同じ血液型だった。 あの子たちの父親は、真樹で間違いない。「ねえ、ハルキ……」「ん?」 私はハルキに「ちょっと弱音を、吐いてもいいかな……?」と問いかける。 「ちょっとだけ……弱音を吐きたいの」そんな私に、ハルキは「俺で良ければ、話聞くよ」と言ってくれる。「……ありがとう」弱音を吐くことは、決して好きではない。 だけど、弱音を吐かないと自分が壊れてしまいそうな気がしてしまって……。「私……本当は、アイツと一緒にいたいんだ」「うん」「本当に、アイツことを愛してるの……。だから、本当は、一緒にいたい。ずっと一緒に……いたい」そんな私の弱音を、ハルキは優しく受け止めてくれる。「そっか。そんなに好きなのか、アイツのこと」「……うん。どうしようないくらい、好きなの」やっぱり、とうしたって忘れられ
無事に出産を終えてから私が退院した日、千歳が私の前に現れた。「え……千歳?」「退院おめでとう、朱里」千歳は出産の日、学校の行事で来れなかったそうだ。 予定日よりも早まってしまったため、立ち会いが出来なかったことを後悔しているらしい。「ありがとう」「お。朱里に似て、かわいいな」「うん。双子だから、二倍かわいいよ」千歳は「カバン、持つよ」と私のカバンを持ってくれる。「ありがとう」「兄貴、嬉しかったってさ」「え?」「朱里の子供が無事に産まれてきたことが、本当に嬉しかったって言ってた」確かにこの子たちの顔を見た時、真樹は本当に嬉しそうだった。 この子たちの未来が明るくて楽しくなることを、私は信じている。「この子たちの父親……千歳じゃないかも」「……そうか」「ごめんね」なんのごめんねなのか、そう聞かれると難しいけど、ごめんねって思ってしまった。「いいよ、別に。……朱里の子供が元気なら、俺はそれでいいし」千歳……あなたはやはり、優しいのね。こんな時なのに、優しい。「私……真樹とは一緒になるつもりないの」「え……?」病院の出口を出て少しした所で、私は千歳にそう話した。「結婚はしないし、一緒にもならない。今後も」「……それは、兄貴が敵、だからか?」千歳はきっと、悟っているのだろう。 私が、真樹に対してどう思っているのか。「そうね。……その通りよ」だけど千歳は、それを聞いても冷静なままでいる。「でも……俺とも一緒にはならないんだろ?」千歳からそう聞かれた私は、「そうよ。あなたとも、一緒にはならない」と答えた。「朱里が一人で生きていくことを決めたなら、俺はそれを応援したいと思ってる。 でも……一人で苦しまなくていい。辛い時、泣きたい時は、いつでも俺たちを呼べよ。すぐに飛んでいくからさ」千歳のその優しい言葉は、もう充分聞いている。 だからこそ、その優しさが自然と出るものなんだと気付いた。「……ありがとう、千歳」「朱里……兄貴も、朱里のこと想ってるよ」「え……?」千歳は私と歩幅を合わせながら、ゆっくり歩く。「だからこそ、兄貴のこと……もっと頼ってやってほしい」そんな千歳の優しさに、私はもっと感謝すべきだったのかもしれない。「あなたは……どうして私のことを、そんなに心配するの?」私が千歳にそう聞くと、千歳は表情を変
ボスに「朱里」と名前を呼ばれた私は、「はい」と返事をした。「お前は体調が落ち着くまで、仕事を休みなさい。 なにか辛いことがあれば、俺たちを頼りなさい。……分かったな?」「……はい」その後ボスは「ハルキ」とハルキの名前を呼ぶ。「ハルキは、朱里のことを守れ。 朱里に身に危険が晒されたりしたら、お前は全力で死ぬ気で、朱里を守れ」ハルキはボスに「言われなくても、ちゃんと守る。……コイツは、俺たちの大切な仲間だからな」と言ってくれた。「朱里が妊娠していると知ったら、レッド・アイはなにを仕掛けてくるか分からない。……慎重にな」「……はい」私は、あの二人を抹殺するまで絶対に諦めない。 私の
「ボス……アンタ、朱里になんてことを! 何が報酬だよ、ふざけんなよっ!」ハルキがボスの言葉に怒りを顕らにして、ボスの胸ぐらを掴む。「ボス、やめてください! ハルキ、本当に違うの!私か悪いの……。全部、私が悪いの!」だからお願い……もうやめて……。「朱里、お前……なんで庇うんだよ」「……違うの、本当に違うの。お腹の子の父親は、ボスじゃない。 だからお願い……その手を離して、お願い……っ」ハルキは私がそう言った後、掴んでいたその手を離した。「……朱里、なぜ俺を庇おうとした」ボスは私にそう言ってくる。「だって……ボスが悪者になろうとしたから……」「朱里、もう一度聞く。 本当に
「……朱里、怒鳴って済まない。 でも、今はお前の身体を一番に考えるべきだ。何かあってからじゃ、遅いだろ」私は溢れた涙を拭えなくて、ただ下を向くことしか出来ない。「朱里、お前はもう、この仕事を引退しなさい。……お前には、やはり危険すぎる。 身体にも、負担がかかるし」「ボス……ごめん、なさい……ごめんなさい……」そんな私を優しく抱きしめてくれるボスに、私は涙が止まらなかった。「朱里……俺はお前が心配なんだ。お前がボロボロになってまで、あの男に復讐をしようとするんじゃないかって、心配なんだよ。……お前をこの世界に入れてしまったことを、俺は後悔しているよ」「っ……え……?」「お前が自分
だとしたら、お腹の子の父親はーーー。心当たりがあるのは二人のどちらかだ。ボスとも一週間前にセックスはしたが、その時はきちんと避妊していたし、ボスな訳はない。 千歳と真樹、両方と近い日にセックスをした。しかし、その時は避妊は……してなかった。 だとしたら、あの二人の、どっちかだ……。「……っ」ボス……ごめんない。 私……妊娠したかもしれません。「……調べなきゃ」私は急いで病院に行くことにした。 ✱ ✱ ✱ 「……妊娠。私が……妊娠」 病院に行ったその結果、やはり私は妊娠していた。この事実に、頭の中も心も困惑している。 私はどうしたらいい? このことを、二人に言