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カシラと呼ばれる男

Author: rinsan
last update publish date: 2026-05-05 12:22:14

翌朝 京司の足は組事務所へと向かっていた。

薄暗い事務所のドアを開けると、使い古されたエアコンの稼働音、

微かに漂うタバコのヤニ臭さが京司を迎えた。

「お疲れ様です!」

短く挨拶を投げると、ソファに深く腰掛けていた若衆達が慌てて背筋を伸ばす。

京司はそれを手で制し、部屋の奥へと足を向けた。

組事務所という場所は、世間がイメージするような怒号が常に飛び交う修羅場ではない。

むしろ、停滞した空気の流れる気怠い待合室に近い。壁に掲げられた代々の組指針、神棚の線香の匂い、

そして常につけっぱなしのテレビから流れるニュース番組。

京司がそこに座っているだけで、事務所の空気はわずかに密度を増す。

彼は自分から多くを語らない。ただ、手元の灰皿に吸い殻が積み重なっていくのを眺めながら、

時折、誰かが持ってきた書類に目を通したり、

電話の応対をする組員の背中を黙って見守ったりしている。

「カシラ、お茶淹れ直しますか?」

京司は短く「いい」とだけ答え、煙を天井に吐き出した。

“カシラ”…組の皆京司のことをそう呼んでいる。

若衆たちの口から「カシラ」という呼び名が放たれるたび、

京司の脳裏には昨日の鈴華の
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