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第249話

Author: 雨の若君
その言葉に、素羽はまつ毛を震わせ、思わず動きを止めた。

司野は、清人先輩が私を助けてくれたことを知ったのだろうか。

いや、そんなはずはない。もし知っていたなら、こんなにも落ち着いていられるはずがない。

素羽はとっさに思いついた口実を口にした。

「おばあちゃんの体調が、よかったから」

司野が短く相槌を打つ。

「それは、確かにいいことだ」

車は静かに発進し、夜の道路を滑るように進んでいく。

素羽は終始、注意深く司野の表情を窺っていたが、いつもと変わらぬ様子を確認し、ようやく胸を撫で下ろした。

夜。

普段は仰向けで眠る司野が、なぜか最近は、決まって素羽を抱き寄せるようになった。

以前なら嬉しかったはずなのに、今はただ煩わしさしか感じない。

素羽は、彼が眠りに落ちるのを待ち、その腕の中から抜け出そうとしていた。

だが、司野が寝息を立てるよりも先に、低い声が耳元に届く。

「退職の件、考えは決まったか」

素羽の体がびくりと強張り、視線を伏せたまま答えた。

「……まだよ」

司野は彼女の腰を掴み、ぐいと引き寄せて、自分の方へ向かせる。

声に抑揚はなかったが、そこには
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