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第382話

Auteur: 清水雪代
千尋は半信半疑で言った。「本当なの?」

「もちろんさ」祐介の声は、嘘なほど誠実に響いた。「俺たちは二人とも過ちを犯した。おあいこだ。もう薫には会わない。君も俺の妻として、ちゃんとやってくれないか?」

千尋は、喉元過ぎれば熱さを忘れるところがあった。

祐介の言葉を、本気だと信じたかった。

彼らがどれほど激しく憎み合っても、彼の心の片隅には、まだ自分がいるのだと。

そうだ、幼馴染としての絆は、他の誰にも代えられないはずだ。

「分かった。メイクするから、ちょっと待ってて」

電話を切ると、千尋はまるで命を吹き込まれたように生気を取り戻した。

自分の結婚生活にも、まだ希望はあると感じた。

たとえ今は妊娠できなくても、きっと他に方法はあるはずだ。

祐介は車を走らせて佐藤家へ戻った。

千尋は華やかに着飾り、彼の車に乗り込んだ。

「この服、似合ってる?」と上目遣いで尋ねた。

祐介は頷いた。「ああ、似合ってる」

千尋ははにかんだ。「あなたが褒めてくれるなんて久しぶりね」

「聞きたいなら、毎日でも褒めてやる」

祐介は根気よく彼女の機嫌を取った。

渡辺グループの危機を乗り切れるのは、佐藤家だけだ。

一刻も早く千尋に大輔を説得させなければならない。

千尋は再び彼への執着に溺れていった。

彼が自分を愛してくれるなら、以前の傷など何でもない。

愛し合う二人に、誤解や行き違いがないわけがないのだから――

……

祐介はこの数日、理想的な夫を演じきった。

毎日決まった時間に帰宅して千尋と食事を共にし、彼女の前で薫に電話をかけ、別れの手切れ金として二千万円を渡し、きっぱりと関係を断った。

千尋は彼のその「誠意」に大いに満足した。

祐介が自分のために心を入れ替えたのだと思い込み、二人の関係は以前にも増して甘いものになった。

千尋が恋に我を忘れたところで、祐介は彼女に渡辺グループの副社長就任を持ちかけた。

千尋は驚いた。「どうして急に、私に会社の役職に就いてほしいなんて?」

祐介は言った。「以前、仕事で自分を証明したいと言っていただろう?」

「そうよ。兄さんは私の能力では佐藤グループで管理職は無理だって言うの。でも平社員なんてまっぴら。人に使われて働くなんてごめんよ。だから兄さんが、起業資金を出してくれるって言ったの」

それに、自分の起業が、あ
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