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第77話・人手が足りない

Autor: 新矢識仁
last update Última actualización: 2026-01-04 06:42:53

 それを一言でいえば、「壮観な光景」だった。

 荒れ果て踏み固められた大地が蘇り口を開けそこから芽が出て。

 まだ収穫時期じゃないから実までは実らなかったけど、もう豊作確実みたいな?

 すげえ。

 さすが穀倉地帯と言われ、聖域を守って来た地域。畑半端じゃない。これだけあればかなりの人を養えるだろう。……九人でどうやって収穫するのと思いもしたけど。

 落ちていた骨の欠片などからは、牛や馬、犬と言った家畜も【再生】して、きょときょとと辺りを見回していた。

 堀の辺りが限界になるよう【再生】したんで、堀の向こうの物悲しい荒地と緑豊かな畑の格差は滅茶苦茶激しい。

「すごい……生神様、ありがとうございます……!」

「いや、まだお礼を言われる段階じゃない」

 レーヴェも同じことを考えていたんだろう、難しい顔をしていた。

「これだけの耕作地帯で、家畜がいてもヒューマン九人で畑を回せるのか?」

「難しいだろうなあ……」

 俺が農家の子だったら……例えば耕運機とか、そういう物をガソリンとかじゃなくて神の力で動くような道具とか乗り物とかを作れたんだけど……。

 【創造】は駄洒落じゃないけど想像力がなければ創れない。例えば無限の種は、「魔獣の胃袋の中で無限に増えていく種」「魔獣の気を引く臭い」で創れたけど、耕運機は「何処にどう乗る」「どうやって畑を耕す」か全く想像がつかないために創り様がないのだ。

「えーと……」

 俺は少し考えてから口を開いた。

「少ない人数で畑を管理する方法って、何か考えてないか?」

「確かに九人全員で働いても、今再生していただいた畑だけでも手入れはできませんな……」

 民長も悩む。

「とりあえず助けた人を全員ここに連れてきたとしても、畑全部をフル稼働させるためには数十人は連れてこないと……」

 悩んでふと端末を見ると、また表示が出ていた。

【神威を込めた神具を作ったため、新しい神威を手に入れました】

 ああ、子供たち用に創ってみたあのペンダント。それで何のスキル?

【神威:神具創造1】

 神具創造?

【観察結果:神具創造/神の力を宿した神具を生み出す神威。レベルが低い間は一つだけ力を込めた使い捨て神具を創れる。レベルが上がれば複数の神威を繰り返し使える神具を創れる。神具を使えば神ではなくても【神威】を使えるようになるが、誰にでも使えるようにすると敵対勢力や邪な考え
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