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8.美人だけど、すごい嫌な感じのする女⋯⋯。

last update Dernière mise à jour: 2025-06-19 17:52:35

 私は異世界転生案内人『カイ』。今日も私の元に来客が来る。死んだ人間に私は選択肢を示す。異世界に転生できるなら、貴方は次はどんな人生を選びますか?

 今日、初めてのお客様が来た。

 櫻涼太17歳。

 若くて、実家も金持ちで、頭も良いしルックスも良い。

 周囲から愛されているのに、彼は皆が常に自分に夢中でないと我慢できないらしい。

 それが例え男でも⋯⋯。

 彼は、私から見ればとても幸せな人。

 中高一貫校の男子校の姫ポジだった櫻涼太は悩んでいた。

 最近、みんな大学受験に備えて塾に行き始めた。

「なんか、塾で本当の女子を見ちゃうと涼太って可愛くなくね」

「よく見ると髭も生えてるよな」

 トイレの個室、そんな話を聞いたら表に出ていく勇気がなかった。

 俺は中学から入学して5年間、男子校の姫ポジとして可愛がられてきた。

 先生も同級生も俺を男のようには扱わない。

 みんな俺のことを可愛い女の子のように、猫可愛がりで丁寧に扱う。

 そのポジションを俺は気に入っていた。

「3年の優太先輩も可愛かったのに、ゴツくなったよな。やっぱり、本当の女には敵わないよ」

 その言葉を聞いて気が遠くなり始めた。

 何がいけなかったのだろう、俺の方が絶対に女子より可愛いのに。

 小学校の時は普通にスクール水着の女子にときめく男の子だった。

 しかし、中学受験で男子校に進学して俺の運命は変わった。

 可愛がられるというポジションの美味しさを知ってしまったのだ。

 終わってしまう、この時が。

 絶望に打ちひしがれながら、トイレの扉を開けるとそこには美しい金髪碧眼の美女がいた。

「私は異世界転生案内人のカイと申します。すみません、私自身も新人なのであなたも転生体験ということになるそうです。まあ、憑依という形ですね⋯⋯あなたが親しんでいるゲーム『悪役令嬢は今日も痛ぶられる』の主人公になれるそうですよ。いってらっしゃい!」

 彼女がバカにしたように俺を語るのが気になった。

(美人だ
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    「女神様ではありません。私は異世界転生案内人カイです。あなたが選べる道3つをお示しします。1つ目は断罪直前の悪役令嬢であるリンド公爵令嬢、2つ目は貧しいけれど特殊能力持ちなので貴族界に入る平民レオナ、3つ目は世界を旅するユアンです。さあ、どれを選びますか?」「全部、モテなそうですね。選びません。どれもキモい人間の人生です」 私は目を瞑って自分の罪について考えた。 流されてしまった瞬間が確かにあった。 唯一愛したいと思っていた捨てた息子は自分を殺した。 ならば、私の存在には何の価値もない。「モテなければ、キモいですか? あなたがモテた瞬間がありましたか? 高校教師はあなたでなくても若い肉体を持っている女なら誰でも良い人間でした。あなたが結婚相手を条件で選んでいた通り、結婚相手も頭が悪くて扱いやすいあなたを顔だけで選んでましたよ」 カイはとても辛口に私が既に知っている事実を反芻する。私が誰よりも自分に対した価値がないと知っている。「価値はありましたよ⋯⋯少なくてもあなたの親御さんと、息子さんにとっては⋯⋯」 カイは私に苦い言葉を投げかけた「私は、私に価値があると信じた人間を捨て殺されたのですね。もう、何の未練もありません。無になりたいです。私は十分に生き恥を晒しました」 私が「生」への未練を持った瞬間、私は「無」になった。「カイ⋯⋯あなたは裁判官にでもなったつもりですか? あなたに権限は与えられています。しかし、あなたがするべき事は異世界転生を案内する事です」 頭の中でまた声がこだまする。 私は人を裁く裁判官になった気などない。 ただ、目の前に現れる人たちが新しい人生を望んでない。 私は未練を残して死んだが、意外にもそうではない人間が多く存在する。「人を裁いているつもりはありません。私は自分が罪人だと自覚しています。ただ、予想外に死を迎えた人間たちがいて⋯⋯案内人としての役割を自分なりに果たしているだけです⋯⋯」 頭の中にこだまする声に反発するように私は1人呟いた。 この孤独な時間

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