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不死身青年と殺人鬼少女の青春Ⅲ

Penulis: kumotake
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-27 20:14:54

 着替えた後は、再び洗面台に行き、髪の毛をワックスで整える。高校時代はワックスで髪を整えて登校するなんて習慣が無かったせいか、これが未だに上手くできず、かなり手こずってしまう。

 そんな風に手ごずりながら、とりあえずはイイ感じに髪型をセットしようと、試行錯誤をしていると、後ろの方から急な言動が飛んでくる。

「それはそうとさ、どうして君は昨日、あんな所で殺されていたんだい?」

「......」

 髪の毛をいじる手を一度止めて、正しい返答を考える。

 そして考えながらも、彼についても考える。

 彼からしてみれば......

 異人の専門家で、僕を管理することを仕事の一環としている彼からしてみれば、その質問を僕にすることは、考えなくても当然のコトなのかもしれないけれど......

 しかしそれでも普通、そのとき殺された本人に対して、その時のことについてそんなに安易に、尋ねてしまえるモノなのだろうか。

 死なないだけで、不死身なだけで、別に痛みがないわけでも、苦しくないわけでもないのに......

 そんな風に彼に対して、単純に、嫌悪的な気持ちになりながらも考えた、あまりにもつまらない返答は、僕の口から零れ落ちる。

「......よくわからないんです......どうしてあんなことになったのか」

 そしてその零れた言葉に対して、彼はいつもと変わらない静かな口調で、言葉を返す。

「そっか......まぁ、わからないことを訊いても仕方がないよね.........」

「......」

「けれど荒木くん。あまり、無理をしてはいけないよ?」

「えっ......」

「不死身の異人とは言え、君はほんの前までは普通の人間だったんだ。あんな切っ掛けで、今は後天的な異人体質者になってしまっているけれど、それでも、心が身体と同じ速度で、その異質さに追い付けるとは限らない......」

「えっと......何が言いたいんですか......?」

「単純だよ、『何かあったら相談しろ』って、そう言いたいんだ」

「......」

 無言になってしまう僕に向けて、彼はそのまま言葉を続ける。

「僕はこう見えて異人の専門家なんだ。だからもしも、それ絡みのことで何かあるなら、頼れるときは頼ってくれて構わない......」

 その言葉の後の、数秒の沈黙の後に、僕は口を開いた。

「......そうですね、そうし
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