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11話

last update 최신 업데이트: 2025-11-29 21:22:18

〝王様〟はあっさりとそう言った。

だが眉を顰めた私を見て、すぐに肩をすくめてみせる。

「嘘だ。〝先生〟殿が特別に許してくれたんだ。これが……最後になるかもしれないから」

「最後……?」

〝王様〟はすぐには答えず、代わりにこちらをじっと見つめた。

「で、お前は、どこに行こうとしていたんだ?」

〝王様〟のところに。

……なんて、言えるはずがなかった。

私が何も言わずにいる間、〝王様〟は黙って、そばに咲く純白のバラをそっと撫でていた。

巧みで優しい〝王様〟の指先のもと、バラは喉を鳴らす猫のようにゆらゆらと揺れる。

私は、そんな彼の指に目を奪われていたことに気づき、慌てて視線を逸らした。

〝王様〟は、最初に会ったときよりも、明らかにやつれていた。

頬は一層こけ、目の下の隈は濃い。

何より——

あの苛烈に燃えていた眼差しの光が、今は霞み、消えかけていた。

まるで今にも、闇の中に溶けてしまいそうなほどに。

「外に出たい……?」

気づけば、私はそう尋ねていた。

〝王様〟はハッと顔を上げ、再び足元に視線を落とす。

「……わからない。もう、今は」

王様の表情は初めて会ったときに見せた、諦めきったような寂しい笑顔と、まったく同じだった。

ことり。

胸の奥で、小さく何かが動いた気がした。

(……これが、感情というものか?)

そんな気もしたが、そう名づけるには、あまりにも頼りなく、淡いものだった。

「どうした……?」

沈黙していた私の顔を、〝王様〟が心配そうに覗き込んでくる。

「……いや、何でもない」

「そうか。なら、いい。それより──」

ふと、〝王様〟の表情が険しさを帯びる。

「あれから、何か思い出せたことはあったか?」

突然の質問に戸惑う私に、〝王様〟はさらに強い口調で言い直した。

「昔のことで、何か思い出せたことはあるかと聞いてい

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