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第171話

Penulis: 栄子
彼女は指先で髪をかきあげた。波の音に混じって、男の低い声が聞こえた。「今夜、お前の部屋に届ける。その時になれば、分かる」

綾はそれ以上聞かずに、振り返って向かい側の駐車場へと歩いて行った。

誠也も彼女に続いて振り返り、その姿を目で追った。

すらりとした後ろ姿。海風が彼女の長い髪を乱し、スカートの裾を揺らしていた。

彼は黙って視線をもどした。

......

ホテルに戻ると、誠也は電話を受け、車で出かけた。

丈は一緒に行かず、星羅と綾の部屋の前まで来て、ノックをした。

星羅がドアを開けた。「佐藤先生、何かご用ですか?」

「綾さんの具合はどうですか?診ましょうか?」

星羅は眉をひそめた。「あなたは外科の先生なんだから、内科は専門外でしょう?」

丈は言った。「おじいさんが漢方先生で、私も小さい頃から少し勉強しました。脈診くらいならできます」

漢方の脈診。

そんなの、絶対駄目に決まってるじゃない。

星羅は冷たく断った。「綾のことは私が一番よく分かっています。お構いなく」

そう言って、星羅はドアを閉めた。

ドアの外で、丈は閉ざされたドアを見つめ、眉をひそめた。

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