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第262話

Author: 栄子
「誠也、復帰することにしたの」遥はそう切り出した。

煙草を吸っていた誠也の手は一瞬止まり、彼は彼女の方に目を向けて「決めたのか?」と聞いた。

「ええ」遥は頷いた。「先週、記憶が戻ったの」

誠也は眉を上げ、黒い瞳で彼女を見つめた。

遥も彼を見つめていた。

互いの目はその瞬間合った。

しかし、その一方は冷たく、探るような視線だった。

もう一方は隙だらけで、屈託のない態度を見せていた。

「今までは記憶を失っていたから、今記憶も戻ったことだし結婚式を挙げてほしいっていうお願いはなかったことにしよう。あなたは航平の親友でしょ、お世話になっているだけでも十分感謝しなきゃなのに、さすがにあなたの幸せを犠牲にするわけにはいかないよね」遥は彼を見つめて、少し微笑みながら言った。

誠也は眉間に少し皺を寄せた。

航平。

もう何年も口にしていない名前だ。

「お前は悠人の母親なんだから、面倒を見るのは当然だ」誠也は少し間を置いてから言った。「でも、今復帰するのはあまりいいタイミングとは言えないな。お前の病気はまだ......」

「兄が前に海外で見つけてくれた薬がすごく効いてるの。先週検
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