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第423話

Auteur: 栄子
柚と悠人は病院から戻ると、悠人の出生の秘密についてずっと考えていた。

正直なところ、悠人の出生の秘密を知ってから、柚の心境は複雑だった。

一方では、悠人が誠也の実子ではないと知って、もし将来自分が誠也と結婚した時、自分の子が正真正銘の碓氷家の後継者になれることに喜びを感じていた。

出生が不明な養子である悠人は、いずれ捨てられる運命なのだろう。

しかし、もう一方で、誠也が真実を知ったら悠人を見捨ててしまうのではないかと心配していた。

そうなれば、この家で自分の存在価値は全くなくなってしまうのだ。

だから、自分が誠也の妻になるまでは、悠人の出生に関する秘密は隠しておかなければならない。

柚は考えた末、思い切った行動に出ることにした。

翌日、学校が終わると、柚は悠人を外食に連れて行った。

彼女は個室を予約していた。

料理がすべて揃うと、店員は退出した。

個室のドアが閉まる。

柚は美味しそうに食事をする悠人を見て、微笑んでいた。

「悠人くん、昨日先生がお母さんと話した内容を知りたい?」

悠人は食べる手を止め、首を横に振った。

「本当に知りたくないの?」柚は優しく語りかけた。「悠人くんに関する、とても大切なことなんだよ」

悠人は眉をひそめ、顔を上げて彼女を見た。「僕のこと?」

「ええ。実は先生も、悠人くんに伝えるべきかどうか迷っていたんだ。もしかしたら、あなたにとって大きなショックになってしまうかもしれないからね」

悠人は急に不安になった。「柚先生、脅かさないでよ」

柚はため息をついた。「かわいそうに、悠人くん。あなたのお母さんは本当にひどい人ね。お父さんを騙していたなんて」

悠人は目を大きく見開いた。「騙す?母さんがお父さんを騙したって、どういうこと?」

「実はね、あなたはお父さんの子じゃないんだよ」

悠人はひどく驚いた。

「それはね、あなたのお父さんもずっと前から知っていたことなんだよ」

「お父さんの子じゃない......」悠人の顔色は真っ青になった。「柚先生、どういうことか分からない......」

「簡単に言うと、あなたのお父さんはあなたをずっと大切な友達の子供だと思っていたんだけど、実際はそうじゃなかったんだ。あなたのお母さんが彼を騙していたんだよ。でもあなたの本当のお父さんが誰なのかを、結局教えてくれなかった」

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