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【21】⑦

last update Date de publication: 2025-09-12 22:00:12

「……考えが変わったんだ。俺たちの感情は『悪』じゃない。ふたりで未来を築けるなら、その道を選びたい」

 瑞希を失いかけた恐怖で心境が変わったことを告げつつ、俺は綾乃と別れた夜の会話を思い出していた。

 あのとき綾乃は、瑞希への想いを「悪」だと断じた。だが、どうしてもその言葉は飲み込めなかった。

 もちろん、世間がそう考えるのも理解できるし、否定はしない。

 だが俺と瑞希は戸籍上、きょうだいですらない。法を犯しているわけでもなく、結婚だって可能だ。障害になるのは周囲の偏見だけ。

 ならば、それを乗り越える努力をするだけだ。

「あなたたちは家族なのよ。血がつながっていなくても、汚らわしい。絶対に上手くいかない」

 冷静さを装っていた綾乃の声は、次第に感情の色を帯びて荒くなる。

「そう思う気持ちは否定しない。でも俺たちは理解してもらいたい。だから今、その準備をしているんだ」

 どんな言葉を浴びても、怒りは湧かなかった。

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  • 禁愛願望~イケメンエリート医師の義兄に拒まれています~   エピローグ③<了>

    「――いただきます」 その日の夜。ふたり暮らしの部屋。 引っ越しを機に購入した二人用のダイニングテーブルで、私と漣くんは食卓を囲んでいた。「今日もおいしい。いつも仕事で疲れてるのに、ありがとう」「ううん、漣くんこそ、いつもお仕事お疲れさま」 私の手料理を、漣くんは毎回かならず褒めて、お礼を言ってくれる。 家事を担っているのは九割が私。正直、フルタイムで働きながらだと大変なときもあるけれど、漣くんのその一言で報われるから、全然構わない。 住まいは少し手狭だけど、ふたりとも日中は留守がちだし、掃除も楽。 越してきた当初は『漣くんの部屋』という認識だったけれど、一年も暮らすうちに、すっかり『私たちの部屋』になった。「そういえば、今日、久しぶりに綾乃に会ったよ」「今、ERにいるんだっけ?」 漣くんがうなずく。「やりがいがあるって言ってた。環境的には外科よりハードだけど、そのぶん経験値も一気に上がる場所だから。向上心の強い綾乃には向いてるんだろう」「そっか……私が言うのもおこがましいけど、頑張ってほしいな」 私との一件が異動に影響したのかは不明。でも、新庄さんは昨年の四月付けで、外科から人手不足だといわれる緊急外来に移った。 漣くんへの想いも断ち切り、今は仕事に全力投球しているらしい。 私はもう彼女に会うことはないけれど……あのとき謝罪の場でかけてもらった言葉は、今も私のモチベーションになっている。 だから、彼女も彼女の場所で輝いていてほしいと願った。「そうそう。さっきお母さんから電話があってね。お父さんの知り合いから美味しいお肉が届いたから、週末にでも食べに来なさいって。日曜なら空いてるよね?」 食後のお茶を飲みながら、ふと思い出して訊ねる。「うん。……母さん、いろいろ理由つけて俺たちを家に呼ぼうとす

  • 禁愛願望~イケメンエリート医師の義兄に拒まれています~   エピローグ②

     友人として仲を深めるにつれ、プライベートな話題も増えていった。 『彼氏はいるの? どんな人?』と訊かれたとき、私は思い切って、身の上のことや、漣くんが義兄であることを打ち明けてみることにした。 茉実ちゃんは信頼できる人だ。だからこそ、もし彼女の反応が辛辣なら、それが世間の評価だと受け止める覚悟もあった。 なによりも、悪いことをしているわけではない。だから、もう隠し立てはしたくなかった。 意外にも、茉実ちゃんの第一声は『なんかドラマチックだね!』だった。さらに『小さいころからずっと一緒なんて、憧れる』と目を輝かせる。 そんな風にさらりと認めてくれる彼女の存在は、大きな勇気になった。 ――やっぱり私たちは、堂々としていていいんだ、と。「それよりさ、最近、同棲中の彼氏とは上手くいってるの?」「うん。勤務の関係とかで顔を合わさないことも多いけど、楽しくやってるよ」「いいな~。瑞希の彼氏ってものすごいイケメンだし、瑞希のこと溺愛してそうだもん。私もそんな完璧な男と出会いたい……」 頬杖をついた茉実ちゃんが盛大にため息をついたあと、ぱっと顔を上げ、満面の笑みを浮かべる。「――今度、彼氏の友達紹介してっ」「わかった、訊いておくね」 漣くんの友人にも、まだ特定のパートナーがいない人が多いと聞いたことを思い出して、私はうなずいた。「ありがと~! やっぱり持つべきものは同期の友達だねっ」 ご満悦の茉実ちゃん。その様子がかわいらしくて、私はふふっと笑ってしまった。 彼女と話していると、ふと「翠と似ているな」と思うことがある。明るくて無邪気、でも頼りがいがある――そんな雰囲気を茉実ちゃんから感じるのだ。 翠も今は都内のクリニックで検査技師として勤務している。週に一度は連絡を取り合い、どんなに忙しくても二ヶ月に一度はお茶をして、近況報告を欠かさない。『実はさ、来月の連休に亮介と旅行するんだ』 先週会ったとき、彼女はそううれしそ

  • 禁愛願望~イケメンエリート医師の義兄に拒まれています~   エピローグ①

     一泊二日の旅行は夢のような時間だった。 現実に引き戻された三月下旬、ようやく試験結果が出た。恐る恐る自身の受験番号を確認すると――合格。  うれしい報せを受けた翌日、私は再び夢のなかにいた。 三月二十八日、私の誕生日。漣くんは、お気に入りだというビストロに連れて行ってくれた。 聖南大附属病院の近くにあるその店は、気取った雰囲気ではないのに、出てくる料理はすべてが唸るほどおいしい。 合格前祝いのときに連れて行ってくれたレストランも、もちろん素敵だったけれど、漣くん行きつけのお店に連れて行ってくれたことがうれしい。 オーナーシェフとは顔なじみのようで、私を『妹』ではなく『大事な人』と紹介してくれたのがうれしかった。「瑞希。誕生日おめでとう」「ありがとう」 食事の前に手渡された小さな包みを開けると、雫型のネックレス。 着けた私を見て「似合うよ」と微笑む漣くんは、真剣な眼差しで続けた。「大学を卒業したら検査技師の仲間入りだ。不安なことも多いだろうけど、責任感を忘れずに頑張って。瑞希ならできる」「ありがとう、漣くん」「俺もサポートできることがあればするから。遠慮なく頼って」 ――そう。念願叶って、これからは憧れの検査技師として働き始める。 と同時に、住まいを漣くんのマンションに移して、一緒に生活することになった。つまり、同棲。 里親制度での同居が終了となるため、新しい住まいを探していたのだけど、なかなか条件が合う物件が見つからなかった。 そこで漣くんが、「いい物件が見つかるまで、俺の部屋に来れば?」と言ってくれたのだ。 両親も、私に急に独り暮らしさせるよりは、漣くんのそばにいてもらったほうが安心だと考えたのだろう。話はすぐにまとまって、最低限必要なものを運び出して、引っ越しは完了。 四月からは、漣くんとふたりでの生活が始まる予定だ。私がうなずく。「うん……これから、よろし

  • 禁愛願望~イケメンエリート医師の義兄に拒まれています~   【29】⑧<R18描写を含む>

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  • 禁愛願望~イケメンエリート医師の義兄に拒まれています~   【29】⑦<R18描写を含む>

    「っ、はぁっ――んんっ、はぁっ、あぁっ……」 どう動けばいいのかなんて、全然わからなかった。 けれど、繋がっている場所に少しでも刺激を与えようと、私は必死に腰を前後に揺らす。 呼吸はすぐに荒くなり、思った以上に体力を消耗していく。 普段は漣くんにリードされてばかりで、私は受け身のまま快感を与えてもらってきた。 だからこそ今、自分が能動的に動くことが、こんなにも大変で、そして照れくさいことなのだと思い知らされる。 それでも――「きもち、いい……?」 息を切らしながら恐る恐る尋ねると、漣くんが短く息を呑んでから、掠れた低い声で答えてくれる。「うん……中が擦れて、気持ちいいよ」 ぎこちない動きであるのは十分にわかっているから、上手にできている自信なんてない。 だけど、彼が笑ってくれるから……うなずいてくれるから、私は頑張れる。「っ、はぁっ、う――んんっ、あぁあっ……」 だんだんと、私自身の中にもじわじわと快感が広がっていく。 奥まで深く受け入れるたび、熱が増して、甘い声が勝手に漏れ出てしまう。「かわいい声……もっと聞きたい。聞かせて?」「は、恥ずかしい……勝手に、出ちゃうからっ……」「それくらい気持ちよくなってくれてるのがうれしい。最初のころは、つらそうにしてたから」 そう言われて、初めて気づいた。私は必死に声を抑えようとして、片手で口を覆う。 けれど、漣くんはそんな私を優しく見つめ、そっと接合部に手を添えた。「っ!」「……でももう、俺の形にすっかり馴染んだな」「っぁ!」 次の瞬間、両手で腰を支

  • 禁愛願望~イケメンエリート医師の義兄に拒まれています~   【29】⑥<R18描写を含む>

    「すごい、さっきよりもびしょびしょだ。……俺のを舐めて、こんなにしちゃったんだ?」「っ……」 漣くんが私の浴衣を脱がせて腰を撫でる。それから下腹部をまさぐり、くすりと笑った。 羞恥で顔が火照る。奉仕している間じゅう、心も身体も熱くなってしまって……心と体が連動しすぎている自分が、たまらなく恥ずかしい。「うれしいよ。そういう風に感じてくれて」 漣くんは柔らかく笑うと、避妊具を手際よく装着し、熱を帯びたそれを私の秘部へ宛がった。「だから……もっとかわいい瑞希を見せて――」「漣くんっ……んんっ……!」 次の瞬間、ぐっと押し込まれる感覚。 太いものが内側を擦り上げ、強烈な衝撃が全身を貫いた。堪らず鼻にかかった甘い声が漏れる。 好きな人で自分の身体をいっぱいにされる幸福感は、いつだって特別だ。 奥まで刀身を収めた漣くんが、ゆっくりと律動を始めると、内壁に触れるたびに甘い痺れが走った。「ねえ、瑞希……?」「な、にっ……?」「どうして今日は、さっきみたいに……積極的に頑張ってくれたの?」 私の中を緩く穿ちながら、興奮を抑えたような声で問いかけてくる。「……だって、お母さんのことも、旅行のことも……漣くんのおかげだって思ってるし……。いつも私はしてもらってばかりだから……なにか、返したくて。今ので返せたとは思ってないけど……」 息を乱しながら、それでも正直な気持ちを伝える。 こうして今、漣くんに抱かれていられるのは、彼が支えてくれたから。 だからこそ感謝

  • 禁愛願望~イケメンエリート医師の義兄に拒まれています~   【15】⑤

    「うん?」 自然に聞き出す方法を模索したけれど、回りくどい言い方では真実に辿り着けそうにない。 胸がきゅっと締めつけられるのを感じながら、私は思い切って核心に触れた。「……新庄さんと付き合ってるって、本当なの?」 声に出した瞬間、心臓が早鐘を打ち始める。 返事を待つわずかな間が、とてつもなく長く感じられた。どうか、あの人の言葉がうそでありますように――そう祈らずにいられなかった。 けれど。「……どうして、そ

  • 禁愛願望~イケメンエリート医師の義兄に拒まれています~   【15】④

     自宅に戻ると、家の中は静まり返っていた。 両親はふたりとも勤務中で、まだ帰宅していない。誰もいないのは寂しいけれど、無理に元気な顔を作らなくていいのは助かる。 私はそのまま二階の自室へ向かい、バッグを放り出すように床へ置くと、力尽きたようにベッドへ倒れ込んだ。 シーツに顔を押しつけ、ぎゅっとまぶたを閉じる。『あなたのおかげで、また付き合い始めることができたの。今、すごく幸せ』「っ……」 忘れようと思っても、新庄さんの言葉が何度も脳裏で再生される。

  • 禁愛願望~イケメンエリート医師の義兄に拒まれています~   【15】③

    「えっ?」「あなたのおかげで、また付き合い始めることができたの。今、すごく幸せ」 ――付き合い始めた? 兄と新庄さんが?「そんな……うそです」「うそ? どうしてそう思うの?」「っ……それは……」 『俺もずっと、瑞希のことが好きだったんだ』  兄自身の言葉が蘇る。だけどそれを新庄さんに告げるわけにはいかない。「疑わしいなら、漣に直接訊いてみたら? かわいい妹になら、本当のこ

  • 禁愛願望~イケメンエリート医師の義兄に拒まれています~   【15】①

    「はぁ~、今日も疲れたね」「そうだね」 生理検査室での実習が続く週の半ば。 夕方、ロッカーで着替えを終えた私と翠は、それぞれバッグを抱えて職員用通用門へ向かう廊下を歩いていた。 翠がオーバーにため息をつく横で、私がうなずく。 すると突然、彼女がぴたりと立ち止まり、くるりとこちらを向いた。「もうっ、瑞希。ここ最近ずーっと顔が暗いよ! どしたの?」 ちょっと怒ったような顔で言うと、小首を傾げて覗き込んでくる。「えっ」「私が気づかないと思う? 

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