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第8話

Author: 名もなき
案の定、両親は期日を過ぎても一銭も振り込んでこなかった。

弁護士が正式な督促状を送ると、母から何十件ものLINEの音声メッセージが届いた。

「薄情な娘だ」「家の恥を外に晒すなんて」「莉緒はあんたのせいで寝込んでしまった」と、身勝手な非難ばかりだった。

私は、そのどれにも返事をしなかった。

1か月後、簡易裁判所で民事調停が始まった。

私は振込記録と、両親とのメッセージのやり取りを印刷した資料を持って調停に臨んだ。

父はまだ納得がいかない様子で、席に着くなり不満を口にした。

「親子のことなのに、わざわざ裁判所にまで持ち込むのか!」

調停委員は双方の話を聞いたあと、手元の資料に目を通し、静かに父へ確認した。

「こちらのお金については、紗英さんのマンションの頭金に充てるため、紗英さんから借りたものだった、というご説明ですね」

父がうなずく。

調停委員は振込記録を示した。

「ただ、提出された資料を見ると、このうち300万円は莉緒さんの口座へ振り込まれ、その後、留学関係の費用に使われたようです。

当初お話しされていた使い道とは異なるようですが、この点についてはどうお考えで
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