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第1150話

Autor: 風羽
やがて、黒いワゴンは周防本邸へと滑り込んだ。

前回、二人でここへ戻ってきたのは――もう、三年近く前になる。

三年という時間はまるで隔世の感があった。

車が停まると、運転手は空気を察して車を降りた。

願乃も続いて降りようとしたが、彰人が彼女の小さな腕を強く押さえ、行かせまいとする。

闇の中、その瞳にははっきりとした乞い願う色が浮かんでいた。

「少しだけ、話さないか、願乃。こうして言葉を交わすのはもう本当に久しぶりだ」

かつて、あれほど親密だった二人。

風呂上がり、彼女はいつも甘えるように彼の肩に寄り添い、その日起きた些細な出来事を話した。

新しく覚えた小さなケーキの作り方。

結代が学校で起こしたちょっとした出来事。

どれも取るに足らない話なのに、彰人はいつも根気強く聞いていた。

彼女の小さな口が止まらなくなるのを眺めながら、やがて堪えきれなくなって彼女を抱き倒し、二人は絡み合った。

――あの頃はどれほど甘美だっただろう。

その甘さはほぼ十年も続いた。

だが誰が想像しただろう。

鈴音という存在が割り込んでくることを。

今に至っても、願乃は「なぜ離婚しなけれ
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