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第274話

Author: 風羽
翌日——

栄光グループ、本社ビル最上階・社長室。

京介は一人、オフィスの革張りチェアに腰をかけ、指先に煙草を挟みながら、静かに煙を吸っていた。

薄青い煙が、ゆらゆらと天井に溶けていく。

彼は——ある人物を待っていた。

ほどなくして、中川がドアを開け、ひとりの男性を案内して入ってきた。

やってきたのは、周防家と縁深い弁護士、石川弁護士である。

彼は空気を読むのが早い。京介の表情を見るなり、ただごとではないとすぐに悟った。

だが顔には穏やかな笑みを浮かべ、ソファに腰を下ろしながら軽く聞いた。

「社長、何かご依頼ですか?」

京介は煙草の火を静かに消し、静かに頷いた。

「……少し、大事なことを頼みたい」

石川弁護士の表情が少し引き締まる。

京介は、机の引き出しから一枚の譲渡契約書を取り出した。

その声はごく静かだった。

「名義上、私の持つ栄光グループの30%の株式を、婚姻関係にないまま、葉山舞に贈与したい。これで、彼女の持株比率は40%になり、実質的な筆頭株主として一票決定権を持つことになる」

石川弁護士は静かに息を吐いた。まるで胸の奥につかえていた何かをようや
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