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第281話

Author: 風羽
名声も地位も、とうに過ぎ去った幻にすぎない。

残されたのは、ただ一つ——責任。

京介は書斎の引き出しを開け、一箱のタバコを取り出した。

包装を破り、一本を唇に咥える。火を点ける指先は微かに震えていたが、それを気にする様子もなく、深く一口吸い込んだ。

白い煙が、彼の暗い瞳に絡みつく。

そのとき——

書斎の扉が、きい、と音を立てて開いた。

京介が反射的に怒声をあげた。

「誰だ?」

入ってきたのは中川だった。

彼女は静かに答えた。

「……私です」

京介は力を抜き、椅子の背にもたれた。

低く、疲れた声で呟いた。

「……お前か。こんな時間にどうした」

中川は近づき、散らかった机の書類を整えながら答えた。

「会社がやっと落ち着いて……どうしても気になって見に来たんです。やっぱりまだ作業されてたんですね」

彼女の指先が一冊の手帳に触れた。

それが何かを察すると、すぐにそっと閉じた。

一瞬ためらったあと、彼女は静かに口を開いた。

「……お身体、もう無理が効かないんです。宗田先生もおっしゃってました。こんなふうに昼夜働き続けたら、本当に壊れますよ」

京介は苦く笑
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