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第781話

Author: 風羽
澪安は、胸を引き裂くような泣き声を聞いた。

思わず扉を開ける。

次の瞬間、彼は言葉を失った。

慕美の足もとには血が広がり、ズボンの片脚が真紅に染まっていた。

その血がどこから流れているのか――鈍感な彼でも、すぐに理解できた。

「慕美」

澪安は震える声で名前を呼び、彼女に歩み寄る。

抱き上げようとしたが、慕美はかすかに手を伸ばして彼を押しのけた。

冷たい床に身体を丸め、両腕で自分を抱きしめる――まるで、失われた幼い命を、最後まで守ろうとするかのように。

澪安の喉仏が、ごくりと上下する。

それでも彼は、彼女の身体を気遣いながら、強引に抱き上げた。

慕美は腕の中で必死に抵抗する。だが、女の力では男に敵わない。

彼の胸に閉じ込められ、まるであの夜、雪の中で逃れられなかった時のように――

慕美は、嗚咽混じりに泣き叫びながら、澪安の首筋に噛みついた。

その痛みに似た哀しみの声が、静かな部屋に響く。

澪安は、ただ黙って彼女を抱き締めていた。

――この瞬間、彼は後悔した。

あの夜、怒りに任せて扉を叩きつけ、彼女を置き去りにしたこと。

もしあの時、傍にいてやれたなら…
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