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96話

Penulis: 籘裏美馬
last update Tanggal publikasi: 2026-03-13 18:44:45

「もみじちゃん、おかわりもあるからね。沢山食べなさい」

「ふふっ、ありがとうおばあちゃん。だけど、沢山食べたらお腹がぱんぱんになっちゃうわ」

「腹が痛くなったらわしが診てやるし、良く効く薬もあるからな。たっぷり食べなさい。もみじ、お前は少し細過ぎるぞ」

もっと太れ、と言わんばかりにもみじのお茶碗にご飯をよそう祖父。

もみじは困ったように笑いながら、答える。

「おじいちゃん、私の胃腸が強いの知っているくせに。薬だって必要ないわ。私は健康だけが取り柄だから」

「そうだな。体が弱いのはどこぞの馬鹿だけだ」

祖父はふん、と鼻を鳴らして食事を進める。

そしてふと思い出したように祖母に顔を向け、話し出した。

「そうだ、お前。どこぞの馬鹿用に調薬した胃薬はもう必要無い。全て捨ててしまえ。あれはあの馬鹿用だからな、他の患者には使えん」

「はいはい、あなた。分かりましたよ」

「おじいちゃん、おばあちゃん。薬を無駄にしてしまってごめんなさい……」

もみじは、箸を置いて祖父母に頭を下げようとした。

だが、祖父はすぐに首を横に振って答える。

「もみじ、お前が謝る事じゃない。あの
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    ◇ コール音だけが耳に届く。 「──もみじさん」 一向にコール音は途切れず、もみじの声も聞こえない。 髙野辺は焦る気持ちを何とか抑え、ハンドルをぎゅっと握った。 「もみじさん、誤解してるよな……」 信号が赤になった所で、髙野辺はハンドルに額を落とす。 もし、逆の立場だったら。 きっと。いや、確実に誤解してしまう。 朝のあんな時間帯に、異性の声が聞こえてきたら。 もしかしたら昨夜から一緒に過ごしていたんじゃないか、と邪推してしまう。 しかも、その相手と自分の恋人が知り合い同士の雰囲気で話していたら。 「ああっ、くそ……っ、早く信号変われ……!」 信号が青になると、髙野辺はアクセルをぐっと踏み込んだ。 もみじの祖父母の家に着いた髙野辺は、急いで車から降りると玄関に駆け寄った。 何度もインターホンを押すが、もみじの返事はおろか祖母ルリの返答も無い。 「──おかしいな」 玄関横にある駐車場を確認した髙野辺は、そこでようやく祖父母の家に車が停まっていない事に気がついた。 もみじと髙野辺は、二人一緒に祖父母の家にやって来たため、一台の車で来た。 もみじの車は、髙野辺の家に停めたままだ。 今までは停まっていた祖父母の車がないと言う事は、もみじとルリ二人で車に乗って出かけたのだろう、と言う事はすぐに察せれた。 「……もみじさんとおばあ様が一緒に向かうとしたら……買い物か、おじい様のお見舞いか……?」 そう判断した髙野辺は、急いで車に戻るとエンジンをかけた。 きっと、もみじはルリと一緒に病院にいる筈だ。 髙野辺は目的地をもみじの祖父が入院している病院に決め、再びアクセルを踏んだ。 ◇ 「──あれっ」 自分のポケットを確認していたもみじは、戸惑ったような声を上げた。 「どうしたの、もみじちゃん?」 すると、真向かいの席に座っていたルリが不思議そうにもみじに声をかけた。 二人がいる場所は病院内にあるカフェだ。 有名なチェーン店で、全国展開しているお店。 そこで注文をし終え、席についてコーヒーを一口飲んだ所でもみじは自分のスマホを確認しようとしたのだが、ポケットを確認してもスマホがない事に気がついた。 タブレットやお財布は持っているのに、スマホだけが無い。 タブレットには、まだ髙野辺の連絡先を入れていないのだ。 だが

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    ◇ 髙野辺からの電話を終えた後、もみじは無言で立ち上がり、着替えを済ませた。 台所に向かうと、祖母のルリが忙しなく動いている。 「──おばあちゃん、おはよう」 「あら、もみじちゃん!おはよう、もうすぐ朝ご飯できるからね」 「うん、準備任せちゃってごめんね……」 「いいのよぉ!もみじちゃんが来てくれるだけで嬉しいんだから」 ルリはにこにことしながら作った食事を広間に持って行き、テーブルに並べて行く。 「今日もみじちゃんは1日お仕事よね?私はおじいさんの所に行ってくるから、帰りは遅くなると思うけど──」 「おばあちゃん、おじいちゃんのお見舞い私も一緒に行くよ」 「え?だけど……仕事に集中したいって言ってたけど、大丈夫なの……?私はもみじちゃんがいたらそりゃあ嬉しいけど……」 昨夜、ルリと話した時。 ルリは祖父の病院にお見舞いに行くと行っていた。 もみじはルリを送った後は家に帰ってくる予定だった。 デザインに集中したい、と言う理由だったが、髙野辺が戻ってくるからそれに合わせて家に居て、出迎えようと思っていたのだ。 そして、髙野辺と話し合いをした後、祖父母の交通事故についてまた近所に聞き込みに行こうとしていた。 だけど──。 今朝、髙野辺からかかってきた電話を思い出したもみじはむすっと表情を顰めた。 「大丈夫。おじいちゃんは個室でしょう?おじいちゃんが休んでいる時に仕事は出来るし……私もおじいちゃんが心配だから」 にこり、と笑うもみじに、ルリはそれ以上言う事はなく「分かったわ」と頷いた。 朝ご飯を終えたもみじとルリは必要な物を車に詰め込み、車に乗り込んだ。 祖父母の家から病院は、車で30分ほど。 病院に到着すると、先にルリを下ろしてもみじは駐車場に車を停めた。 トランクから荷物を取り出し、先に病室に向かったルリを追うように歩き出す。 鞄の中に入っているスマホに、着信が入ったのが分かったが、今は両手が荷物で塞がっている。 祖父の病室に着いてから折り返しを掛ければ良いか、と考えたもみじはそのまま病院内に足を進めた。 「──おばあちゃん、もみじです。開けてもらってもいい?」 祖父の病室前に着いたもみじは、外から声をかける。 すると慌てて扉に近付く気配がして、すぐに扉が開いた。 「もみじちゃん、荷物ごめんね、ありがとう」

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